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225.どーん!

 首都ウェルノーに滞在したのは五日間。その間にも、ベエーレさんとの商業契約をしたり、追加の情報収集をしたりと、結構忙しなく動いていた。そのせいで、ゆっくりと市場を覗く暇がなかったのが残念だ。アルビローダの件が片付いたら、また来たいね。


 例のモヒカン冒険者たちには、結局会うことができなかった。少し気がかりだけど、アルビローダに関してはベエーレさんという伝手がある。アルビローダにも知り合いがいるそうなので、情報はそちらから得ることができるはずだ。


 そんなわけで、つい先日、僕らはウェルノーを発った。目的地はもちろん、西のアルビローダ。二日ほど歩いたため、すでに国境に近い。アルビローダとレブウェールに正式な国交もないので、この辺りまで来ると街道すらないんだよね。


「気をつけろよ。この辺りはもう、賊の縄張りだ。まあ、あんたらなら心配はいらないかもしれないが」

「いえ、わかりました」


 案内してくれているベエーレさんの注意に、僕らは頷く。


 これまでの草原地帯とは一転、周囲には背の高い木々が増え始めた。山が近いせいか、目の前には緩やかな丘陵が広がり、見晴らしが良いとはいえない。身を潜めやすい環境が整っているんだ。


 ベエーレさんの言うとおり、ただの盗賊なら撃退するのはそれほど難しくもない。とはいえ、積極的に戦いたいわけでもないからね。変に目立つことをして、不要な遭遇を引き起こすようなことは避けたい。


 と思ったところで、賊の方から接触してきたら、どうしようもないんだけど。


『む。人の気配だ。結構、多いな。向こうの丘の木のそばだ』


 日が傾きはじめて、そろそろ野営地を決めようと考えたころ、シロルが人の気配を察知したみたい。ベエーレさんは思念伝達の対象に含めていないけれど、僕らの様子を見て状況を察したのか、僕らと一緒に足を止めた。


「盗賊かな」

「そうなんじゃない?」


 ハルファとスピラがこそこそと話している。僕らが足を止めたことで、身を潜めた連中も察知されたと思っているかもしれない。でも、確証は持てていないはずだからね。わざわざ、知らせてやる必要もないから、小声で話しているんだ。


「まあ、盗賊だよね」

「こんなところをうろつく物好きは多くないだろうからな」

「俺たち草人なら、少数で忍びこむ。複数ならまず賊だろう」


 そう結論づけたところで、次の相談だ。


「どうしようか? これから潜入することを考えると、アルビローダに警戒されるのは避けたいけど」

「すでに捕捉されているのなら、戦いを避けたところで意味がないだろうな。むしろ、ここで全員叩きのめした方がいい。向こうの事態把握を遅らせることができるからな」


 交戦を避けるべきか否か。ローウェルは戦うべきという意見だ。たしかに一理ある。


「やっつけた方がいいよ。だって、これからどこかを襲うつもりなんでしょ?」

「そうだよね。そんなこと、許せないよ」


 ハルファとスピラも戦うことに賛成。潜伏者がアルビローダの盗賊ならば、その目的が単なる散歩ということはないだろう。周辺の村々を襲うために出てきたことになる。未然に防げるのなら、その方が良い。


 シロルとガルナはどちらでも、といった感じ。ベエーレさんも制圧できるのなら問題ないと異論は出なかった。


 というわけで、盗賊たちは倒しちゃうことに決定。とはいえ、あまり派手にやり過ぎると、あの集団以外にも誰かが潜んでいたら、警戒されてしまうかもしれない。なので、できるだけ、密やかに事を運ぶ必要がある。




 小さくバチリと音が響くと、また一人、盗賊と思しき男の体から力が抜ける。僕が背後からライトニングタッチで襲いかかった結果だ。間違いなく盗賊だと思うけど、確定はしていないから非殺傷攻撃で無力化しているんだ。


 僕は単独……というか、プチゴーレムズと一緒に、潜伏者たちの背後から襲いかかっている。彼らはまだ僕の存在に気がついていないようだ。ローウェルたちが歩いてきている方を一生懸命見張っている。


 背後を取るのはそれほど難しくもなかった。まずは、プチボディのアレンに闇ゴーレムをくっつけて先行させる。アレンが気付かれずに背後に回ったところで、シャドウリープを使って移動したんだ。でも、この感じだと、シャドウハイディング状態なら普通に背後を取れたかもしれない。だって、全然気がつかないんだもの。


 気絶した賊は、空気ゴーレムが受け止め後方に送っていく。そこで、アレンたちがぐるぐるに拘束して動けなくするんだ。


 潜伏者の数は全部で20ちょっと。すでに半分は気絶させているから、このまま全員を無力化することもできそうだね。


「おい、もうそろそろだぞ。お前ら――って、何!?」


 残りあと一人というところで、最後の賊が突然こちらを振り返った。どうやら、彼がリーダー格みたい。ちょうどローウェルたちが近づいてきたから、襲撃の合図を送るつもりだったんだろう。とはいえ、もうすでに指示を出すべき相手はみんな気絶してるんだけどね。


 騒がれる前に彼も気絶させようとしたところで――……


「どーん! これでおしまい!」

「な……」


 いつの間にか忍び寄っていたピノが鈍器でリーダー格の男を殴打した。その一撃でうまく意識を刈り取ったみたい……だけど、男には大きなタンコブが出来てしまった。


 ま、まあ、ローウェルたちに襲いかかろうとしていたから、賊だよね。

 もし、違ったら全力で謝るしかない!


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