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223.情報料

 さて、儲け話が知りたいということなんだけど、ちょっと困ってしまった。


「儲け話か。何か、あったっけ?」

「ベルヘスでルランナさんと会ったときに、全部話しちゃったんじゃないの?」


 ハルファの言うとおりなんだよね。これまでの冒険でお金になりそうな話は、すでにルランナさんに伝えてある。まだ商品化していないけど、商業契約は結んであるから、ベエーレさんに話すわけにもいかないんだよね。


 意外にも的確な助言をくれたのはシロルだった。


『なんだ、食べ物の話か? カレーはどうなんだ?』


 シロルの中で、儲け話イコール食べ物という図式ができあがっているみたい。ハンバーガーとたこ焼きのイメージが強いのかな。


 それはともかく、カレーという案は悪くない。ベルヘスの酒場で披露したときには、お客さんの反応も悪くなかった。本当ならルランナさんに教えてあげようかと思ったけど、タイミングが合わずに伝えられずじまいだったんだよね。


 というわけで、儲け話はカレーのレシピに決定。さっそく、ベエーレさんに教えてあげよう。


「……という感じの料理があるんです」

「ほーん? ちょっと変わった料理みたいだな。物珍しさはアピールポイントにもなるし、悪くはなさそうだが……問題は客を集められるかどうかだな」


興味はあるみたいだけど、意外と慎重な反応だ。とはいえ、いくら考えたって実際に食べてみないことにはわからないと思うんだよね。




 というわけで、僕らはブエダさんの実家にお邪魔することになった。


「すみません、押しかけることになって」

「いや、僕も気になってたからね」


 ベエーレさんにカレーを振る舞うにあたって問題になったのが場所なんだよね。実を言えば、カレーは調理済みのものが収納リングの中に入っているので、すぐにでも用意できる。だけど、迂闊に出すわけにもいかないんだ。カレーの匂いって、すごく食欲を誘うからね。商業ギルドで披露しようものなら、ティラザの肉串のときよりも大変なことになっちゃう。


 そんなわけで、場所を移すことを提案した結果、ブエダさんが実家に招待してくれたというわけだ。


 そこで僕らを迎えてくれたのは、大勢の子供……に見える草人たち。ブエダさんの祖父母に両親、そして奥さんに子供らしい。でも、年齢的な違いが分かるのは、ブエダさんの子供のデンネ君くらいだ。彼はまだ8歳らしくて、流石に幼いとわかる。一方で、祖父母と紹介された草人は……違いがわからないね。


「ねえ、ソレって」


 僕の外套を見て驚いた顔を見せたのは、フェンナさん。ブエダさんの奥さんだね。彼女の反応にブエダさんが笑顔で答えた。


「そうそう。彼がキグニルで君の外套を買ったトルト君ね」

「へぇ? 大切に使ってくれてるみたい。嬉しいな」


 そういえば、この外套は冒険者だったフェンナさんが使っていたものなんだっけ。草人の勇者と呼ばれるほどの冒険者だったらしいけど、とてもそうは見えないね。それを言ったら僕らだってBランク冒険者には見えないだろうけど。


「うんうん、翼人の女の子も一緒なのね。やっぱり、翼人と縁があるのかも」

「私? 何か関係あるの?」

「実はこの外套、翼人の郷を訪れたときに授かった物なの」

「そうなんだ!」


 なんと、フェンナさんは翼人の郷を訪れたことがあるらしい。ハルファを見ているととてもそうは見えないけど、本来、翼人は閉鎖的な種族だったはず。どんな経緯で訪れることになったんだろうね。


 色々と話を聞きたいところだけど、とりあえず目的を果たしてしまおう。まだローウェルたちとは別行動の最中。あまり時間をかけすぎて合流が遅れると、心配をかけてしまうからね。


「じゃあ、カレーを出しますよ。お皿を借りてもいいですか?」

「もちろんだよ。というか、すまないね」

「いえ、せっかくですから」


 ブエダさんが謝っているのはカレーのことだね。さすがに、人の家にお邪魔してキッチンだけ借りるのは申し訳ないから、ブエダさんの家族にもカレーを振る舞うことにしたんだ。


 人数が多いだけあって、ワイワイガヤガヤと賑やかな食事風景だね。デンネ君の分には個別に蜂蜜を混ぜているから結構な甘口になっているはず。そのおかげか問題なく食べられるようだ。


「へえ、これは美味しいね!」

「そうね」

「くはは、これなら儲けられそうだな」


 ブエダさんとフェンナさんにも好評。ベエーレさんは早くも商売のことを考えているみたい。ともかく、カレーは草人の口にも合ったみたいだ、ひと安心だね。


『僕も食べるぞ!』

「ローウェルたちと合流してからにした方がいいんじゃない?」

『そのときもちゃんと食べるぞ。心配するな!』


 そんなことを言って、シロルまで食べている。

 仕方がないなぁ、もう。


「よし、情報料としては十分だ! 作り方を教えてくれ」


 早くも平らげたベエーレさんが、レシピを教えろと急かしてくる。こういうとき、口約束だけではダメだとルランナさんに教わったので、後日商業契約を結ぶことになった。契約内容は、ハンバーガーショップと同じような条件になる予定。つまり、僕がオーナーになるわけだね。


 ティラザの肉のときもそうだったけど、きっちりと僕らにも利益を分けてくれるんだよね、ベエーレさん。がめついと言われていたけど、その辺りは商人としての矜持があるのかもしれない。


 さて、肝心のアルビローダの情報だけど。


「アルビローダのことなら何でも聞いてくれ。何度も足を運んでいるから、かなり詳しいぞ。というか、ここまでの儲け話をもらった以上、半端な情報じゃバランスがとれないな。もし、アルビローダに潜入したいなら手助けするぞ。俺が案内してやろう」


 情報だけじゃなく、ベエーレさんがガイドをしてくれることになった。

 というか、潜入前提なんだね。いったい、どんなところなんだろう……。


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