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221.知らないダンジョン

 ディラザの肉でひと騒動があったものの、首都ウェルノーには予定通りの日程で到着した。都市の入り口では大勢の人が行き来している。街の四方に門があってここと同じように人で溢れているらしい。さすがに首都だけあって活気に溢れているよね。


「それじゃあな。あんたらのおかげで退屈しなかったぜ! また、儲け話があったら声をかけてくれよな!」


 街に入ったところで、ベエーレさんは去って行った。ティラザの肉でひと儲けしたからか、道中ずっと機嫌がよさそうだったんだよね。逆にシロルは肉の取り分が減って少し不満そうだったけど。それでも、肉が必要になればまた狩ればいいと言ったらすぐに機嫌はなおった。


 東門から続く大通りを進むと、そこでは自由市場が開かれていた。多くの商人たちが所狭しと商品を並べ、それを目当てに多くのお客が訪れているみたい。周辺は人で溢れかえっていて、まっすぐに歩くのも難しいくらいだ。


「ちょっと寄っていってもいい?」

「いいけど。本当にトルトは市場が好きだね?」


 せっかくだからと思って提案すると、ハルファから少し呆れた声でそんなことを言われた。元々の予定では今日は宿でしっかりと休んで、翌日に覗いてみようという話になっていたのだから、そう言われても仕方がない。でも、この賑わいを見たら、ちょっとくらい確認してみたくなるよね。


 まあ、いざ市場巡りをすると、はしゃぐのは僕よりもハルファとスピラなんだけど。


「うわぁ! すごい綺麗な指輪!」

「こっちのもキラキラして綺麗だよ、ハルファちゃん!」


 今も装飾品の露店で目を輝かせて商品を見ている。良い反応に、店主のおじさんもニコニコだ。


「はは、ありがとよ。品揃えには自信があるぜ? この中の半分はダンジョン産のマジックアイテムだ。冒険者にも人気が……って、あんたらはえらく上等な指輪をしているな。さすがに、それには及ばんかもしれんなぁ」


 ここぞとばかりに商品を勧めるおじさん。だけど、その勢いはすぐに萎んでしまった。彼が気にしたのは、僕らが身につけている邪気転換の指輪だ。たしかに、この指輪は普通のマジックアイテムが霞むくらい有用な装備。それを一目で見抜くなんて、このおじさんもすごいよね。


 邪気を転換して身体能力を向上させるという性質上、本来はダンジョン外で装備しても意味が無いアイテムだった。でも、今はガルナと一緒に行動している。彼女が無意識に発する邪気でも十分な効果が得られるんだ。結果として、邪気転換の指輪の有用度がさらに上がった。


 とはいえ、戦闘用の装備とオシャレアイテムとでは用途が違う。マジックアイテムはともかく、普通の装飾品ならあってもいいんじゃないかな。指輪なら戦闘時に邪魔にならないし、邪魔だとしても街にいるときだけ身につけたって良い。


「せっかくだから、買っていこうか? ハルファとスピラはどれがいい?」

「いいの?」

「もちろんだよ。というか、僕の管理しているお金は、みんなの分も入っているんだから、もっと自由に買って良いんだよ」


 そう伝えると、二人ははしゃぎながら指輪を選び始めた。最終的に、ハルファは角度によって輝きが変わる不思議な白い石の指輪を選んだ。スピラは深い青と明るい緑が溶け合ったような石の指輪だ。残念ながら指のサイズがあっていないけど、クリエイトゴーレムを使えばいくらでも調整できる。


「ローウェルたちはどう? いらない?」

「俺か!? いや、俺は必要ないな……」

『僕もいらないぞ! そんな物より食べ物をくれ!』


 一応、提案してみたところ、ローウェルとシロルから返ってきたのは必要ないという言葉。まあ、予想通りではあるね。ただ、ガルナからは返事がない。


「どうしたの、ガルナ? 何か欲しいものでもあった?」

『む? いや、私も必要はない。じゃが、少し気になることがあってな。これらの指輪はダンジョン産といっておったよな。それがどこのダンジョンなのか、聞いてくれんか』


 ガルナが気にしていたのは指輪じゃなくて、マジックアイテムの出所だったみたい。彼女の指示通り、店主のおじさんに聞いてみたところ、商品を買ったこともあって機嫌良く教えてくれた。


「何でも、最近新しくダンジョンができたらしくてね。ダンジョン産のアイテムがよく流れてくるんだ」

「そうなんですか? どこにできたんですか?」

「ん、あんたらも興味があるのか? でも、あまりオススメはしないな。ダンジョンができたってのは、西のアルビローダって話だ」


 アルビローダはレブウェールにとって西の隣国。もっとも、国と言っていいかどうかは微妙だ。あそこは無法者が支配する地域。住人の多くは山賊や盗賊だなんて話もある。誇張された噂話に過ぎないんだろうけど、国境付近では実際に略奪が絶えないらしい。


 当然ながら周辺国からは忌み嫌われている。いつ攻め滅ぼされてもおかしくはないんだけど、あの地域の大半は険しい山々だ。行軍には不向き。しかも、地の利はアルビローダにある。ゲリラ戦を展開されると人数差なんてあっと言う間にひっくり返るんだ。だから、今日に到るまで、アルビローダは無法者たちの国として栄えているのだとか。


 まあ、おじさんが言うとおり、好んで行きたい場所ではないね。でも、そうも言っていられないかもしれない。何故なら、おじさんの話を聞いたガルナが茫然とした様子で呟いたんだ。


『私の知らないダンジョンじゃと……? どうなっておるんじゃ?』


 ダンジョンはガルナの管轄。彼女が把握していないダンジョンなんてものは、あり得ないんだ。何が起こっているのか、確かめる必要があるかも。


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