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214.わからせる

『何をする!? ……って、貴様はルーライナか! アステリオンまで! そっちのチビは……誰じゃ?』

『チビって言うほどチビじゃないだろ!? 僕はラムヤーダスだ!』

『貴様がっ! 毎度毎度、私の邪魔をしおって! 貴様のせいで間に合わなかったではないか! 貴様のせいで~~! うわ~~ん!』

『えぇ……?』


 ガルナラーヴァは古くから存在する神。幸運神様と精霊神様は顔なじみみたいだね。一方で廉君は後から邪神対策として神に任じられた新人。二柱が対面したのはこれが初めてみたい。


 長い間敵対関係にあったわけで、お互い思うところは当然あるはず。喧嘩にでも発展しそうな勢いだったんだけど……ガルナラーヴァが突然泣き出したので、廉君も戸惑っている。


「おい、俺はいったい何を見せられているんだ」


 デムアドさんは自分の頭上で突然始まった騒動に困惑している。とはいえ、わけがわからないのは僕も同じだ。僕だけじゃなくて、ハルファたちも事態の変化についていけずにポカンとしている。アバルムさんの目には完全に光がない。


「ひょっとして、あれがガルナラーヴァなのか? 俺が聞いていた声は、もっと威厳のある男のものだったんだが……。どうなってるんだ」

「僕に聞かれても……」


 ガルナラーヴァのイメージが壊れたのは僕も同じだ。現れたときは威厳のある女性という雰囲気だったけれど、いつの間にか幼女のようにちんまりとした姿に変わっている。わんわんと泣きわめく姿はとても邪神には見えない。もちろん、試練神にも。


 幼女を簀巻きにしておくのは体裁が悪いと考えたのか、いつの間にか拘束も解かれている。まあ、泣くばかりで逃げたり抵抗する素振りはないからね。必要ないと判断したのかも。


『神は姿や声なんていくらでも変えられるもの。ガルナちゃんは見栄っ張りなところがあるから、自分を格好良く見せようとしていたんでしょ』


 困惑している僕たちに幸運神様が解説してくれた。たしかに、幸運神様も初めて見たときは凄い格好だったからね。姿や声を自由に変えられるっていうのは間違いないんだろう。つまり、デムアドさんが聞いてた声は信徒向けに作られた声だったわけか。


「それで、ガルナラーヴァは何で泣いてるんですか?」

『それは分からないわ。間に合わなかったっていうのは、あの銀の腕のことよね?』


 事情を聞き出そうと考えて呼び出したのに、ガルナラーヴァは泣きわめくばかりでちっとも情報を引き出せない。だけど、何かを知っていそうな雰囲気ではあるね。


「トルト、また来るぞ!」


 ローウェルが警告を発した。

 さすがに騒ぎすぎたのか、また銀の腕がこちらに反応したんだ。さっきと同じように腕を震わせている。銀色の異形兵を呼ぶつもりらしい。


『ほれ、見よ! 現れたぞ、異界の尖兵が!』


 異形兵を見たガルナラーヴァがヒステリックに叫ぶ。だけど、相手にしている場合じゃない。今のところ、あの異形兵は僕にしか倒せないから。


 大量に出てきたものだね。だけど、今度は相手が動き出すのを待ってやるつもりはない。シュレッディングストームで一掃する!


『無駄じゃ! 奴らを滅するには、肉体を一気に消滅させるほどの高威力の攻撃を叩き込むしか――……』

『ガルナちゃん、ガルナちゃん。あいつら、順調に滅んでるみたいだけど?』

『何を言っている。そんな馬鹿な話が……な、なんでぇ? なんで塵になってるんじゃ? どういうことなのじゃ?』


 ガルナラーヴァの認識では、銀色の異形兵はかなり厄介な相手みたいだ。実際にローウェルたちの攻撃を無力化していたから、普通に考えれば手強い相手なんだと思うけどね。でも、何故か僕が攻撃するとご覧の通り。魔法の暴風が晴れると、異形兵の姿は消えている。


 また異形兵を呼ばれると困るので、僕らは再びゴーレムの影に隠れた。


『おい、ラムヤーダス! 貴様のところの信徒はどうなっとるんじゃ? どうやって、奴らを倒したんじゃ!』

『なんだよ、うるさいな! そんなこと僕にもわからないよ! 瑠兎のことだから、どうせ幸運がらみだよ!』

『幸運でどうにかなるかぁ!』


 ガルナラーヴァは泣き止んだものの、今度は廉君に掴みかかってる。見た目が幼女だから、お兄ちゃんにわがままを言っているみたいに見えてちょっと微笑ましい。デムアドさんは手で顔を覆ってるし、アバルムさんは沈痛な表情で顔を伏せているけど。


「ちょっと、ガルナちゃん! トルトの幸運を甘く見ちゃ駄目よ!」

「そうだよ!」


 そうこうしているうちに、二柱の言い争いにハルファとスピラまで参戦した……けど、論点がちょっとおかしい。しかも、幸運神様の呼び方が移ったのか、ガルナちゃん呼びだ。


 こうやって対面しちゃうと邪神って感じがしなくなっちゃうのは、わかる。ただ、彼女がやってきたことを考えると、こんな距離感でいいのかって気もするけど……。


『よいか? 人の幸運などで奴らがどうにかできるのなら苦労はせんのじゃ。たしかに、幸運が全く関係ないとは言わんが、奴らを滅ぼせる確率がどれほど小さいと思っておる。ましてや、あの数を一度に滅ぼすなど、幸運に頼っていては不可能じゃ!』

「ガルナちゃんには現実を見せてあげないと駄目みたいね!」

「そうだね! トルト君、やっちゃって!」


 気がつけば話が変な方向に進んでる。さすがに銀の腕を放置するわけにはいかないと思うんだけど……。


『そういうことなら任せて! 私の神域をカジノ仕様に戻すから! 神域なら時間の経過はほとんどないから、思いっきり勝負できるわよ!』


 と、幸運神様がノリノリで提案するので、結局、僕とガルナラーヴァで運試しをすることになった。


 まあ、結果は――……


『なんでじゃ! なんで勝てんのじゃ~! 人間のくせに! 人間のくせにぃ!』


 とりあえず、僕の幸運が普通じゃないことは分かってもらえたと思う。


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― 新着の感想 ―
 神すら凌駕する豪運ってなんですかねぇ…これで好運神の使徒じゃないとか、そら好運神だって納得できんわ(笑)
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