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194.東へ

 ギュスターさんによって唐突に開かれた宴の翌日、僕らは改めてデムアドさんに話を聞いた。もちろん、双子を浄化するための見返りとして、教えてくれることになっていた情報についてだ。結局、彼女たちは洗脳されていなかったわけだけど、一応クリーンは試したし、彼女たちが奴隷落ちしないように協力したからね。当然、情報を受け取る権利はある。


 ちなみに、デムアドさんの借金もドルキス氏族傍系の三男による詐欺被害ということで帳消しになっている。もちろん、僕らが支払ったデムアドさんの保釈金も戻ってきた。


「邪神の声は大抵、誰それに試練を課せだの、どこそこで騒ぎを起こせだの、碌でもない内容ばかりだな」


 そう前置きしてはデムアドさんの話は始まった。基本的に邪神からの指示は聞き流しているらしくて、内容もほとんど覚えていないみたいだ。


「だが、少し前から変わった指示が届くようになってな。邪神の指示通りに動く気はないんだが、今までと違った毛色の内容がどうも気になって、気がつけばセファーソン方面に足が向いていたのさ」


 その指示と言うのが、セファーソンの東端に近い場所の様子を確認しろ、という内容だったみたい。情報としてはそれっきりで、そこに何があるのかはわからない。だけど、邪神が気にしている何かがあるんだ。もしかしたら、邪神への対抗手段になるかもしれない。確認しておくべきだろうね。


「そうだったんですね。それなら、僕たちは東に向かってみます」

「東の都市ベルヘスから更に東って話だ。まあ、ひとまずはベルヘスに向かうといいだろうさ」

「ありがとうございます。デムアドさんはどうするんです?」

「俺か? 俺は……もう邪神の声を気にするのはやめにした。なんだかんだ振り回されて、あいつらを危ない目に遭わせてしまったからな。だから、何があるのか、確認するのはお前たちに任せる」


 そう言って微笑むデムアドさんの視線の先には、ハルファたちとお喋りをしているアウラとキーラの姿があった。デムアドさんも、ちゃんと双子と向き合うことにしたみたい。

 まあ、アイングルナの邪教徒たちはかなり数を減らしたから、デムアドさんに干渉してくるような連中はもういないと思う。今までよりは落ち着いた暮らしができるんじゃないかな。





 そんな話をしていたのが、十日ほど前になる。

 予定通り、僕らはベルヘスへの途上にあった。ちょっと予定と違ったのは、ギュスターさんの護衛として雇われたこと、かな。


 何かの折りに、ベルヘスへ発つことをギュスターさんに漏らしたのがきっかけだ。実はもうそろそろ、ベルヘスで氏族会議というセファーソンの有力者の集まりがあるんだって。ギュスターさんも氏族会議に出席するためにベルヘスに向かうことになっていた。目的地が一緒なら、とギュスターさんが道中の護衛を指名依頼として出したらしい。僕らとしても、何か依頼を受けながら移動しようと思っていたので、それを引き受けることにしたんだ。


 オルキュスからベルヘスまでの移動は容易とは言い難い。なぜなら、都市間に砂漠が広がっているからだ。馬車なんかを走らせるわけにもいかないから、移動手段は基本的にラクダになるそうだ。


 とはいえ、僕らはラクダに乗ったことがない。だから、代わりに3体の多脚ゴーレムをつくって乗って移動している。僕とシロル、ハルファとスピラ、そしてローウェルと三組に別れての分乗だ。八本足だから重量が分散して砂にボディが沈み込みにくい……のかどうなのか、本当のところはよくわからないんだけど、今のところは問題なく移動できている。ラクダでの移動なんて考えてもいなかったから、上手くいって良かったよ。


「サンドワームだ! 散開しろ!」


 突然、前方から声が上がった。魔物の襲撃みたい。サンドワームは砂漠に出現するでっかいミミズのような魔物だ。ミミズと違ってきざきざと凶悪な歯を持っている。普段は砂の中に隠れていて、獲物が通りかかると足下から襲いかかってくる危険な魔物だ。ランクは通常Cランク。ただ、成長に従って巨大化し、場合によってはBランク相当にまで育つこともあるらしい。


「よし、僕たちは魔物を倒すよ!」

「ああ!」


 僕らは護衛として雇われているけど、ギュスターさんの発案で急遽組み込まれた人員だ。本来の護衛計画に僕らは組み込まれていない。なので、遊撃として敵を殲滅するのが役割となる。


 サンドワームの一番厄介な点は、潜伏からの奇襲でラクダを狙ってくるところだ。移動手段を潰されると砂漠では生死に関わる。その点、多脚ゴーレムならリスクは少ない。一本くらい足が無くなったって移動できるし、クリエイトゴーレムをかけ直せば補修も難しくないからね。


「ここは任せてください! 僕らのこれはゴーレムなので!」

「おお! 助かる!」


 他の護衛の人にも退いてもらい、多脚ゴーレム三体で囮を務める。ゴーレムの足に食いついてきたサンドワームを仕留めるだけの簡単なお仕事だ。


『あんまり強くないな?』

「まあ、そうだね」


 奇襲と食いつきの威力によってCランクとされているけど、耐久力の方はそうでもないみたい。シロルの放つ雷撃でワームたちは簡単に絶命していく。


 全部で三十体くらいワームを倒しただろうか。襲撃は散発的になってきたし、そろそろケリがつきそうだと思っていたときだった。ギュスターさんたちが避難しているはずの方向で悲鳴が上がったんだ。


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