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156.追加注文入りま~す

 ハルファたちの意見で、妖精たちへの対価はソフトクリームということになった。

 それなら、ちょっと考えていたことがあるんだ。提案してみよう。


「せっかくだから、シャーベットも作ってみようか」

『おお? 新しい食べ物か?』

「まあ、作り方はあんまり変わらないけどね。牛乳と生クリームの代わりに果物の果汁を入れれば作れるんじゃないかな」

「へぇ、おいしそう!」


 特に反対もなかったので、シャーベットも作ることに。本格的なものはともかく、僕が作ろうとしているのは簡単なもの。砂糖と果汁を冷やしながら混ぜるだけだ。ソフトクリームを作る魔道具を使えば、たぶん同じように作れるはず。


 とりあえず、ソフトクリーム作りはハルファたちに任せて、僕は果汁の用意をしよう。果物はちょくちょく買い足しているから収納リングのなかに確保できてる。今回は……りんごっぽい果物と柑橘の果物の二種類で試してみようかな。


 果汁を手絞りするのは大変なので、ここはゴーレムの出番だ。以前、たこ焼き器とした鉄の塊を使い回す。作るのは圧搾機型のゴーレム。詳しい構造はわからないけど、それっぽい形に作れば、あとはゴーレムが適当にうまいことやってくれるはず。うまくいかなければ、クリエイトゴーレムを使い直せばいいだけなので、特に難しく考える必要は無い。気軽に変形させられるのが、ゴーレム方式の便利な点だね。


 用意した果物をある程度の大きさに切ってから圧搾機にかける。ギギギとちょっと不安になるような音を立てているけど、どうにか機能しているみたいだ。ぼとぼとあふれる果汁は、圧搾機の下に置いた容器が受け止めている。


『おお!』


 容器を食い入るように見つめていたシロルが歓声を上げた。目をキラキラ輝かせて尻尾を振る姿は可愛いけど……盗み食いを警戒して抱え上げておこう。念のためね。


 果汁を絞っている間に、ソフトクリーム作りは進んでいる。妖精サイズに合わせてミニソフトだけど、それでも妖精たちにしてみれば大きいはず。容器は妖精たちが持参した葉っぱをカップ状にしてるみたい。


「冷たいし甘いわ! こんなに美味しいものがあったのね!」


 ロロを筆頭に妖精たちはみんな気に入ったみたい。中には踊り出している妖精もいる。ずいぶんと気に入ってくれたみたいだね。


 ソフトクリームの材料が終わったら、次はシャーベットだ。魔道具をクリーンで綺麗にしてから材料をセット。スピラに氷を追加して貰ってから魔道具を起動させれば、後はできあがるのを待つだけでいい。


 待つこと少々。出来は……うん、悪くない。ちょっと酸味があるところが、またいいね。


「こっちも美味しいわ~!」


 ロロがくるくると回りながら、シャーベットを褒めるとソフトクリームを食べ終えた妖精たちが我先と魔道具の周りに集まりだした。


『美味しいぞ!』

「本当だね~」

「ね~!」


 妖精たちに配りながらも、ちゃっかりと自分の分を確保したハルファたち。仲間たちの評価も悪くないみたいだ。


 そんな中、ローウェだけがただ黙々と作っては配ってを繰り返している。あいかわらず真面目だね。妖精たちの勢いを見ると、食べ尽くされちゃいそうなので、ローウェルの分はこちらで確保しておこう。収納リングに入れておけば溶けちゃう心配はないからね。


 予想通り、妖精たちはソフトクリームもシャーベットも綺麗に食べ尽くした。まあ、花の妖精だけでもかなりの人数がいるからね。ロロが美味しい美味しいと絶賛するたびに、どこからともなく現れて、今ではたぶん100人はいる。いや、花畑に転げて遊んでいる子もいるからその倍はいるかも?


 とはいえ、結構な量を作ったし、なにより妖精はプチゴーレムズと同じくらいの手乗りサイズだ。みんな満足できるくらいには食べられただろう。そう思ったのに――


「えっ、まだ食べるの!?」

「だって美味しいんだもの。もしかして、対価のもらいすぎかしら?」


 単純に食べ過ぎを心配したんだけど、ロロはそうは受け取らなかったみたいで周囲の妖精に呼びかけた。


「みんな! 珍しいお花を探すのよ! 草でもいいわ! そうすればもっとアイスクリームが食べられるのよ!」


 呼びかけの効果は抜群で、近くで遊んでいた妖精たちが一斉に散った。たぶん、採取に向かったんだと思う。


 そういうことなら、ソフトクリームを作り足しておかないと。そもそも、市場価格でいえば、ゴルドディラを数株でソフトクリームとかの代金は十分賄えちゃうからね。さらに追加で素材が貰えるなら、こちらも全力で提供しないといけない。


 結局、僕たちの持っている材料を全て使ったところで、ようやく妖精たちは満足してくれた。本人の体積以上食べたんじゃないかと思うんだけど、みんなケロっとしているのが凄い。妖精って不思議な生き物だね。


 僕は僕で貴重な素材がたくさん確保できた。妖精たちは素材としての価値がわかっているわけじゃないから、中には珍しいだけで使いようのない植物もあったけどね。


 とはいえ、得るものが多い訪問だった。プチゴーレムズがいれば行き来できるみたいだから、素材が不足してきたらまた来たいね。


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