出会い
六月も終わりのことだった。
突然降りだした夕立に彼女は金髪の髪の上に手提げカバンを掲げ、急いで近くの神社へと駆け込んだ。
彼女は神社の軒下に守られて少し濡れた髪の毛をカバンから取り出したタオルハンカチで拭いた。
いつまで降るのだろうか。彼女はそんなことを考えていた。
黒い雲が茜色に染まっていく。
カバンに折りたたみ傘を入れておけばよかったと思った。
そこに青の長靴と黄色い傘を差した短パン姿の少年が鳥居の前を通った。
そして、少年は気付く。
碧眼と白い肌、少し濡れた金髪、白いTシャツから少し下着が見えた状態で困っている彼女を見た。
少年は鳥居を通り抜けまっすぐ彼女の元へと歩を進めた。
そんな少年を彼女は見つめていた。
少年は彼女の目の前に立つと傘をずらし彼女を見上げる。
すると、少年は傘を彼女に差し出した。
驚いた彼女はどうすればいいのかを考えていた。
しかしその瞬間、少年は彼女の前に傘を落とし、神社の外へと駆け出した。
彼女は唖然としながらも小さな黄色い傘を拾う。
傘のネームバンドにはほだかまもると書かれていた。
彼女はその傘を差し家路に向かった。
少し微笑み、そして少年を心配した。
彼女が家にたどり着く少し前に黒い雲が通り過ぎ空は真っ赤に染まっていた。
彼女は玄関の傘立てに黄色い傘を立てる。
そして、電話機の目の前に貼られている村内名簿からほだかという苗字を探す。
すぐに見つかり、受話器を持ち上げ電話を掛ける。
呼び出し音が聞こえた。
「もしもし。穂高です」
女性の声だった。
彼女はそれに応える。
「私、三木さんのおうちにお世話になっているエーデル・フランクと申します」
「ああ三木さんちの。お噂は聞いております。どうかされましたか」
「そちらに、まもる君はいらっしゃいますか?」
「今びしょ濡れで帰ってきたところでお風呂に入ってるんですよ。傘は持って行ったはずなのに失くしたって言ったので怒ってたとこだったんですよ」
「その傘私が持っているんです。私が雨で困っていたところに傘を渡してくれたんです」
「まあ、そうだったんですか」
「あの、まもるくんに傘ありがとうって私が言っていたと伝えてもらってもいいですか」
「もちろんです。わかりました」
「お願いします。失礼します」
彼女は電話を切るとまた笑った。また会えるかな。そんなことを思いながら。