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俺の彼女はダンジョンコアッ!  作者: やまと
1章
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厄災 七九五日目

 師匠の家に厄介になって早二年が過ぎた。

 この二年間、俺は馬や牛の世話をしつつ付近の魔物を狩ってきた。

 涼葉も率先して避難民の世話をし、随分と慕われるようになってきた。

 皆、リョカやホワィとも親し気に話をするようにいなっていた。

 これなら涼葉がダンジョンコアであることがバレたとしても皆、黙っていてくれるだろう、と思う。


 この国の状態も幾分安定してきており、インフラはほぼ回復したと言っていい。

 それは役割(ロール)の【復興者】の持つ(ジョブ)【建築師】や【大工】、【医師】や【看護師】が活躍を見せたからだ。勿論、他にも大勢の役割や職の人達だって活躍の場を得ていた。

 肝になった役割は【王】だろうか。

 【王】は国に一人はいるらしく、国の纏め役になっている。彼無くして復興は不可能だったとまで言われている。縁が有れば一度会ってみたい人物だな。


 だがそれでも、相変わらず電波だけは復興しなかった。その為スマホは使えず、使える連絡手段は有線の家電(いえでん)のみとなった。何故か短距離無線ですら使えず仕舞いだ。

 厄災直後は家電(いえでん)すら使えなかったが、今では使えるようになったのが救いと言える。

 そのお陰かどうかは定かではないが、海外のどの国も似たような状態だと判明した。つまり、何処からも援助はないと言うことが分かったんだ。

 幾つか国が成り立たなくなり、潰れてしまった所も在るらしい。ここよりも強力な魔物が出たということだ。


 俺は少しでも戦力になれるように、師匠との手合わせを幾度となくこなしてきた。

 師匠は相変わらずの化け物で、いくらやっても、どれだけ死力を尽くしても一本も取る事が出来ないでいる。

 涼葉とも相談し戦略を組んでもみたが、どれも駄目だった。二人掛でも手も足も出ない。

 そんな師匠が俺達に言った。


「二人共大分マシになってきたな。今ならホワィにも勝てるんじゃねぇ?」


 即試してみた。


「ぎゃぎゃぎゃ、参っただぎゃ!」


 勝てた。

 初めて会ったときは動きすら見えなかった相手に、辛くも勝つことが出来た。

 ホワィは俺に負けたことが余程悔しかったのか、燿子さんに手ほどきを頼んだようで日々修行の日々を過ごしている。

 そんなある日、またも師匠が言った。


「んじゃ、そろそろダンジョンに挑んでみるか?」


 その師匠の言葉に、俺は即座に賛成した。

 挑むのは俺と涼葉。リョカとホワィとアルヒコは涼葉の影の中に潜み連れて行く。アルヒコとは涼葉が創造したダンジョンで初めに産まれた竜の子だ。今は涼葉の頭部程の大きさまで成長している。

 名付けのことで俺に相談しに来た涼葉だが、俺にネーミングセンスはないと分かり、双子が言っていた師匠に名付けてもらうこととなった。

 最初、ドラコと名付けようとしたのは、断固として拒否した涼葉だった。ドラコとは竜を意味する言葉で安直すぎるって言っていた。

 なんでもアルヒコとは、ギリシャ語で最初を意味するとか何とか?

 これもどうかと思ったが、当の本人?が気に入ったらしく、正式にアルヒコとなった。


 (つむぎ)(あざな)が同行を求めたが、師匠に却下されていた。

 「娘はやはり心配ですか?」と尋ねたら「やり過ぎないか心配だな」とボヤいていた。

 しかし、その直後にセフィーさんが現れ、「私も行く」と言い張り師匠が慌てて止めていた。「じゃあ、代わりに二人を連れて行って」と結局双子姉妹も同行する運びとなった。


 と言うことでいよいよ、二年もかかったがダンジョンデビューの日がやってきた。

 俺達は師匠ん家から五㎞ほどだろうか、離れた場所に出現していたダンジョンの入口に来ている。

 目的はコアの破壊だ。コアを破壊すれば魔物がこれ以上増えることはない。


「わぁ~、これがダンジョンか~」


 と、涼葉。

 お前には自前のがあるだろうがと思いもするが、それは黙っておこう。

 取り敢えず、唯一の男である俺が先頭に立ち入る事にした。


「おお、暗いな。涼葉のとは違い光源がないから先が見通せないなこりゃ」


 ダンジョン内は暗く、涼葉のダンジョンのように光る岩なんかはないようだ。


「私達は夜目が効きますけど、創可さんはそうではありませんからね。夜目に効果のあるスキルなんか覚えるのも良いかも知れません」

「でも、スキルって狙って取得出来るモノなのかな? 私達には無いから分かんない感覚だね」

「ボクには広域気配探知があるから大丈夫なんだよ。でも、創ちゃんはライトが無いと辛いね」


 俺はリョカの影収納から懐中電灯を一つ取り出して貰い明かりを灯す。

 女性陣は夜目が効くらしく要らないと、片手でも塞がるのを嫌がった。

 俺達の装備は、俺が練習に使用していた師匠に貰った刀、涼葉は嘗て俺が等価交換で入手した銀の剣だ。双子の姉妹は俺と同じく、それぞれが刀を持っている。

 防具は特に無く、只の洋服を着用しているだけだ。正直に言うと、防具の製作に必要な材料は魔物の素材が有るが、それを加工する技術が無く渋々諦めたのだ。半端な防具では油断を招くからな。


 ダンジョンは洞窟のように狭くはなく、二人の大人が横に並んでも余裕を持って通れる程の幅がある。


「近くに魔物の気配は感じられないが、油断しないようにな」


 ダンジョン内はシ~ンと静まり返っており、何も音が聞こえてこない。それどころか、生き物が住みついている痕跡すら見当たらない。


 実は今、複数発生している主人公ミッションの報酬の中に、暗視の代わりとなるモノが含まれている。

 内容は、『パーティーを組み鬼人を討伐せよ』だ。報酬が『真眼』と『身体強化』と、破格とも言える報酬だったりする。しかし、鬼人とは何なのか分からず今まで放置していたんだ。

 このダンジョンで見つかればいいのだが。


「うん、大丈夫なんだよ。ボクには広域気配探知があるから、でも、気配を消せる魔物は見逃しちゃうかもだよ」

「ですが、このライトの光に寄ってくる虫系の魔物も居ると思います」

「飛んで火にいる夏の虫だね。どんとこいッ!」


 どこか呑気な糾が心配だが、彼女達の実力は誰よりも俺が知っている。毎日のようにボコられているからな。どれだけ成長しようとその上をいく姉妹たちなのだ。


「実はボクのミッションの中に『鬼人討伐』があって、報酬が『感知』と『第六感』なんだけど、これは気配探知と何が違うのかな?」

「なっ、お前も『鬼人討伐』ミッションがあるのか? 俺も有るんだよ。『感知』じゃなく『真眼』と『身体強化』だけどな」

「ええぇ、じゃあ同じミッションがあっても報酬は別物なんだね」


 俺達はミッションが発生しても手を着けなかった。それは師匠に言われ地の力をつける事を優先したからだ。その為、ミッションが貯まっているんだよ。

 少し勿体無いかなと思わなくもないが、地力の無いままに巨大な力を手にしては危険だと言われ手をつけなかったんだ。

 地力が乏しいままにスキルに頼るより、地力をつけてからスキルを利用しろと教えられた。頼るなら冥閬院流(めいろういんりゅう)にしなさいと付け加えていたっけ。

 話は続き感知と探知の違いを、紡が説明してくれた。


「『感知』と『探知』の違いは、()()()()()のが『感知』、()()()()のが『探知』ですね」


 なるほど、要は直感か探して見つけるの違いか。


「それにしても、鬼人討伐など無茶な注文する神様ですね。鬼人と言えば人とオーガの上位種、並みの人間では歯が立ちませんよ」


 やはり鬼人は強いのか。それより気になったのが、この事件の黒幕は神なのだろうか?ってことだ。

 ってか、紡は何でんなこと知ってるんだ? 人とオーガの上位種ってなんだ? 人が進化すると鬼になるのか?


「紡、鬼人って言ったら冥閬院流の上弟子が対処するレベルだよね。そんなのの討伐って、そりゃ無茶だよ」


 このダンジョンで鬼人が見つかればいいと思ったが、出てこないことを祈ろう。

 上弟子が出張る案件なら俺には討伐不可能だ。


 不安になるような話を聞いた後に進むのは気が引けるが、そうも言ってられない。

 俺達は暫く進むと分かれ道に出くわした。

 片方は今まで通りの大通り、もう片方は小道になっており二人並んでは行けない細道だ。


「どうする?」


 振り返り聞いてみると、「どっちでもいい」だの「創ちゃんが決めて」だの言われた。

 俺が決めるのか? と、思うが、男は俺一人だ、責任は俺が背負おう。


「じゃあ、このまま大通りを進もう。細道は魔物に襲われた時に対処し辛い」


 一人しか通れない幅で背後から襲われれば助けに行けない。そんな危険は避けなければならない。

 それに何となくだが、細道の奥からは何やら嫌な気配がする。

 必要なら引き返しせばいいと判断した。


「うん、分かったんだよ。ボクもその方が安心なんだよ。細道の先からは強力な魔物の気配を感じるんだよ」

「ええ、おそらくはこの気配は、ホブゴブリンよりも上位のゴブリンソルジャーが居ますね」

「うん、そうだね。尖ったような、攻め立てるようなこの気配はソルジャーで間違いないね」


 紡と糾が細道の先にはゴブリンソルジャーとやらが居ると言う。

 彼女達は、スキルではなく、当然のように地の力で探知をやってのける。

 詳しく訊いてみると、ソルジャーは単体ではホワィの足元にも及ばない程度の実力だそうだが、彼等の真価は団体戦で発揮されるそうだ。

 コンビネーションを活かした戦術を旨とし、罠を仕掛け嵌まった獲物を集団で狩っていくそうだ。

 最低でも二桁の人数で行動し、助け合い戦闘をこなしていく。細道で出くわせば、少々厄介な相手だそうだ。


「よし、それじゃ大通りを進むぞ。って、何だッ!」


 前方から複数重なるようにブォーンという音が鳴り響く。羽音だ!


「どうやら魔蟲ですね」

「うへぇ、蟲は苦手なんだけどなぁ」


 と双子。


「蟲には嫌な思い出があるんだよ。けど、まだ距離が在るね」


 涼葉は両親を魔蟲に殺されている過去がある。仇は討ったが、それでも許せない気持ちが残っているのだろう。

 彼女の言う通り羽音はまだ遠い。このままここで迎え撃とうか考えていると、双子が打って出ようと提案してくる。


「ここでやり合えばソルジャーを刺激し挟み撃ちに成り兼ねません」

「だったら先に進み、とっとと蟲を全滅させちゃおうよ」


 このままここで戦えば、その戦闘音は細道の奥へと響き、その奥に潜むモノを誘い出しかねないってことか。

 無数にいるだろう魔蟲とソルジャーを同時に相手取るのは得策ではないな。


「分かった。このまま進み魔蟲を全滅させよう。もし、ソルジャーが出てくるようなことが有れば魔蟲を優先して倒し、その後にソルジャーだな」

「うん、それでいいと思うよ」


 俺達は羽音の元まで駆け出した。

 途中、羽音の音が尋常ならざる数だと分かり冷や汗が流れたが、女子陣は至って平常だった。

 どんだけ場馴れしてんだと思わなくもないが、頼もしいとも思う。だが、涼葉は俺と同じく戦闘経験は少ない筈なんだが?どんだけ肝が据わってんだっての!


 通路の先は大きな広場と成っており、拳大の蜂型の魔物が大量に飛び交っていた。

 蜂は天井からぶら下がる大きな巣から出てきている。あれを叩けばもっと出てくるだろう。


「うへ、ざっと見て万は居るぞ、どう対処すりゃ良いんだ?」

「問題ないよ。全部たたっ斬れば良いんだよ!」


 涼葉が気楽に言ってくる。

 確かに大きい的だ斬りやすくはある、が、数が数だ、一人でも刺されれば毒が厄介である。

 この魔蟲はポイズンビーと呼ばれ、稀に少数飛んでるのを見かける。

 此方から手を出さなければ襲ってくる事はないが、狙いを定められれば仲間を呼び寄せ集団で襲い掛かってくる。コイツも数が最大の武器だな。

 

「あっ、ボク、ミッションで『ポイズンビークィーンのテイム』が有ったんだった! 報酬は『毒耐性』なんだよ!」

「よし、じゃあ兵隊蜂を狩りつつ女王蜂を探し、見つけたら涼葉がテイムするってことでいいか?」


 こうして蜂の魔蟲退治が始まった。

 目を見張るのは双子の活躍だろう。

 彼女達はお互いの死角を埋め合うように移動し、刀を振るう度に複数の魔蟲を両断していった。それも、俺の動体視力では霞む程の速度でだ。

 みるみる内に数を減らしていく魔蟲達、人間にあんな動きが可能なのか?と疑う程の速力に驚かされた。

 俺との模擬戦では見せなかった動きだ。本当に加減してくれてたんだな。


 俺と涼葉もお互いを庇い合いながら戦闘をこなしていく。

 双子程ではないが、俺達とて二年間修行を積んできたんだ、そうそう遅れは取らない。

 リョカは触手を延ばし涼葉の補佐をし、ホワィは単体で魔蟲を素手で叩き落としている。たまに食べてたりもするな。

 アルヒコは小さな身体で涼葉に近づく魔蟲を捕えては引き千切っていく。

 時々ガスバーナーの様な炎を吐き出しては燃やしている。


 暫く戦闘が続き、兵隊蜂の数が目に見えて減ってきた頃、不意に紡が声を上げる。


「出ました! クィーンですッ!」


 この女王蜂、拳大の兵隊蜂と違いその三倍はある。

 一際大きな個体、威厳に充ちた堂々たる立ち居振舞い、纏う覇気すら兵隊とは格が違うと一見して分かる王の風格。

 そのクィーンが巣の外壁に止まり、威嚇なのかギィギィと牙を咬み合わせ、羽を激しく羽ばたかせながら涼葉と見つめ合う。


「涼葉、テイムを!」

「うん、やってる! けど、弾かれてるみたいなんだよッ!」


 涼葉のテイムが効いていない。少し弱らせる必要があるのか!?


「少し弱らせるか!」

「ダメッ! そんなことしたら嫌われるだけなんだよ! ここはボクに任せて欲しい!」


 言って無謀にも前に出る涼葉。

 気が気ではないが、彼女にはリョカとアルヒコが付き添っている、彼らに任せよう。


「ぎゃぎゃ、大丈夫なんだぎゃ?」


 いつの間にか俺の横に並んでいるホワィ。


「何時でも庇えるように身構えていよう」

「大丈夫だと思います」

「うん、ほら、クィーンの威嚇が止まったよ」


 紡と糾も俺の横へ、いつの間にか兵隊蜂の攻撃が止んでいた。

 見つめ合う涼葉とクィーン。

 クィーンはフワリッと宙に舞い、涼葉の胸の中へと飛び込んだ。


「涼葉ッ!」

「大丈夫なんだよ。テイムに成功したんだよ。うん、よしよし、かわいい娘だね」


 娘って、ソレは沢山の子供を産んだ肝っ玉母ちゃんなんだけどな。

 それにしてもヒヤヒヤさせられた。今後は勘弁願いたいな。


「さて、何時までもここに居ると魔物が集まって来そうだ。急いで先に進もう」

「あっ、ちょっと待って、この子達を影からボクのダンジョンに送っちゃうから」


 影からダンジョンへの移動。リョカの影移動のスキルを使ってテイムしたクィーンを送ると言う。

 クィーンが従えば、そのクィーンに従う他の蜂達も従ってくれる。

 どうやるのか観ていると、涼葉の足元からリョカの大量の触手が延び、巨大な蜂の巣を覆い尽くす。すると、そのまま巣をもぎ取ると涼葉の影の中へと収納してしまった。

 取り残された蜂達も一斉に影へと飛び込み消えていった。

 最後に残ったクィーンも、何かを語り合うかのように涼葉と見つめ合い、その後影へと飛び込んでいった。


「うん、これで安心なんだよ。ボク達がいない間に討伐されたら悲しいからね」

「そうだな、涼葉のダンジョンも大分賑やかになったんじゃないか? コアとしての性能も上がってるんじゃないのか?」

「うん、前まで造れなかった施設や罠が造れるようになったんだよ。今は十二階層まで出来上がってるんだよ」


 と、嬉しそうに話す涼葉。話に乗っかり紡と糾も話に加わってくるが、そろそろ先に進まないとな。

 「話は後にして先に進むぞ」と伝えて先へと進む

 懸念していたソルジャーの襲撃はなかった。


 奥へと進むに連れて魔物と出くわす頻度も増え、戦闘になる事が多くなってきた。

 俺も涼葉も既にホブゴブリン程度では苦戦することなく討伐できるようになっていた。

 そして下の階層へと繋がる階段を見つけた広場、そこで俺達はこれまでとは比べ物にならない強敵と出くわした。


「創ちゃんッ! そっちに行ったよ!」

「おう! 任せろッ!」 


 相手は素早く、何よりも魔法の様な物まで使う強敵だ。

 俺は手にしていたライトをその場に捨てて、僅かな光源を頼りに戦闘に参加する。


 敵は三体。

 一体は巨体でありながら羽のように舞い、敏捷性を武器として戦うダンシングオーガ。

 二体目は、闇に溶け込み姿を隠し、隙あらば鋭い一撃を仕掛けてくるアサシンゴブリン。

 最後に前述の魔物を従える魔術師、ゴブリンソーサラー。


 俺はダンシングオーガの重い拳を躱す。

 その際に刀を腕に這わせて脇を斬り裂き後方へと移動する。

 悲鳴を上げるオーガに剣筋を曲げ、円を描くように背中を斬る。そして即座に飛び退くと、元居た場所に裏拳が振るわれる。

 跳び退いた後も止まらずに動き続ける。アサシンが狙っているからだ。

 奴は動きを止めた瞬間に現われては一撃入れていく。その為に止まる事が出来ないでいるんだ。

 今はホワィが牽制してくれてはいるが、流石に姿を消す相手に苦戦を強いられている。


「くそッ、浅かったか!」

「大丈夫だよ、動きが徐々に緩慢になって来てるんだよッ!」


 奴の身体には俺と涼葉の付けた傷が無数に刻まれている。

 初めはソーサラーの奴が即座に回復魔法をかけて傷を癒していたが、今はそんな余裕はない。

 ソーサラーに回復魔法を使わせないために双子の姉妹(つむぎ)(あざな)が向かった。あの二人が相手では回復魔法を掛ける余裕などないだろう。

 放たれる火球も業火も、二人は危な気なく華麗に躱していく。

 気づけば奴の持っていた杖は両断され、身に纏っていたボロローブは既に形を保っていない。

 更に今まさにトドメとばかりに糾が刀を一文字に薙ぎ払った。 

 次の瞬間にはゴブリンソーサラーの上半身は宙へと舞い、下半身は大地へと倒れた。


「あっちは呆気なく終わったようだな。俺達も終わらせようッ!」

「うん! いっくよー、冥閬院流(めいろういんりゅう)・波風ッ!」


 涼葉が銀の剣に闘気を纏わせ薙ぎ払う。すると、剣を振るった範囲に剣圧の波が生まれる。

 剣圧の波は前方へと勢いを持って進み、巨体のオーガにぶち当たる。

 この剣圧に攻撃力はほぼ無い。だが、圧に押され敵の動きを封じることは出来るんだ。巨体を誇るオーガとて例外ではない。オーガは完全に動きを止めた!

 しかし、ほんの一瞬、涼葉の動きも止めてしまう。

 その隙を見逃すアサシンなど居ないだろう。

 涼葉の背後に姿を現すゴブリン、最大の隙を作った涼葉に向けて刺突が迫る。


 ――!!! だが、その隙を狙っていたのはアサシンだけではない!


 この瞬間、俺は水歩を使い素早く涼葉へと近づき刀を振るう。


「冥閬院流・残光ッ!」


 残像しか見せない超速抜刀術。アサシンの伸ばされた腕を斬り飛ばし、返す刀で首を刎ね飛ばした。本当の狙いは、隠れて姿を現さないゴブリンの方だったんだ。

 涼葉との阿吽の呼吸でこそ成せたことだ。

 と思っていたら、オーガの停止時間を利用して、紡がオーガの首を刎ね飛ばしていた。

 流石と言うべきか、一瞬の隙も見逃さない紡だった。

 ふ~、これで敵を全滅させることに成功した。


「お疲れさん、皆。流石だな紡に糾、それに涼葉もな」

「ふひひっ、創ちゃんもね!」

「いえ、創可さんも見事な動きでした。二年前と比べると雲泥の差ですね」

「うんうん、お兄ちゃんは成長してるね」


 一通り褒めちぎり合い、女性陣は休憩に入る。

 俺はと言うと、倒した魔物の魔石掘りだ。

 ホワィは疲れたと言ってアルヒコと影へと消えていった。

 魔石取りは最近慣れてきた。魔物の身体を斬り裂き魔石を引き抜く。そう時間も掛からずに取り出す事が出来るようになった。


「ふぅ、疲れた、俺も少し休むよ。少ししたら下へ向かおうか」


 少し休もうと腰を下ろした時、階下から人の悲鳴が響いてきた。


「な、なに? 今のは人の悲鳴?」

「ああ、化け物の悲鳴には聞こえなかった。おそらくは俺達同様にダンジョン攻略に来た人が襲われているんだろう」

「どうする創ちゃん? このまま助けに行けば連戦になるよ?」


 皆十分な休息は取れていないが、それでも放っとけないだろう。


「行こう、見捨てる訳にはいかないだろう。最悪救出して直ぐに逃げればいい」

「そう簡単には逃げられるかなぁ。でも、大丈夫だよ、私達はまだ余裕があるから。お兄ちゃんと涼葉ちゃんぐらいなら護ってあげるよ!」


 と糾が言ってくる。有難い言葉だが、護るのは男の役目だ。


「何があろうとも無茶はするなよ。自分の命を第一に考え行動すること、いいなッ! 駄目だと思ったら一人でも逃げろよ」

「うん、創ちゃんも無茶しちゃダメなんだよ」


 こうして俺達は階段を下る。その際も絶え間なく悲鳴や怒号が聞こえてくる。


「急ごう。間に合わなくなる」


 急ぎ下へと降りると、そこには凄惨な光景が広がっていた。

 人であったであろう肉片が辺りに散らばり、床は血の海へと変貌しいる。最早何人が犠牲になったのか人数が分からない状態だ。

 死んだ人達の物だろうか? そこかしこに光源となるライトが落ちており視界は良好だ。


 その広間に立っていた者は三人の男と四人の女。

 その内、男一人に二つの鋭い角が生えており、二人の女には一つの角が生えている。

 角の生えた人物は、角を除けばまるで人間そのもの。人間に角を移植したようだった。

 そいつらはその場に立っているだけで、こちらの心臓を握りつぶすような圧迫感を放っている。

 これは殺気だ。

 並みの人間では同じ空間に居るだけで心肺停止を起こすだろう。


「うそ、鬼人が三人も居る」


 紡の呟きが聞こえた。あれが鬼人なのか!

 先程の敵も強敵と思ったが、鬼人は格が違った。

 身体は自然と震え出し、止めどもなく汗が吹出す。まるで動かば死ぬぞと身体が教えているようだ。


「お兄ちゃん、気を保ってッ! そのまま吞まれたら動く事も出来ずに殺されるよッ!」

「お、おう……」

「そ、創ちゃんッ!」

「わ、分かってる。もう大丈夫だ」


 闘気を高め殺気を相殺する。すると、身体の震えはなんとか止まってくれた。


「これは付いて来て正解だったかな? ねぇ紡」

「ええ、創可さん達だけでは歯が立たないでしょうね。取り敢えず生きてる人を保護しましょう」

「男二人に女二人かぁ、ちょっと逃げるのはキツくない?」

「それでも見捨てる訳にはいかないでしょ?」


 紡と糾が相談している。その声もどこか遠くから聞こえていくるようだが、駄目だ、こんな事じゃ護るべき者も護れないぞッ! 気合を入れろッ!


 辺りを観察する。

 男二人は戦士風の格好をしており、二人共剣と盾を構えている。

 女二人は魔法使い風の格好をしており、共に杖を握っている。

 彼等四人掛りでも鬼人一人にも敵わないだろう。どうあっても助けは必要になる。


「よ、よし、行くぞ。俺が鬼人の気を引くから、その間に四人を逃がすんだ。いいか、戦おうとするなよ」

「駄目です。創可さん、冷静になって下さい。申し訳ありませんが、創可さんでは四人を逃がす間の時間稼ぎすらままなりません」

「うん、私達がそれぞれ鬼人一人を相手するから、お兄ちゃんと涼葉ちゃんで残りの一人をお願いするよ」


 二人はサシで鬼人の相手をすると言う。


「そんな――」

「それしか方法はありません。それともこのまま上層へ逃げますか? 私はそれでも構いませんよ?」

「そうだね、まだ見つかってないし、それが一番利口な選択だね」


 紡と糾は、俺に四人を見捨てて逃げろと言うのか?

 いや、それも一つの手ではある。でもそれは無理だな。

 正直、鬼人の足に勝てるとは思えない。一歩でも動けば見つかるだろう、逃走は不可能。

 よしんば追い付かれなくても、奴等をダンジョンの外へ導いてしまうだけだ。それだけはやってはならない。

 

「くそッ、涼葉、お前は大丈夫か? 辛いようなら……」

「ちょっとちょっと、ボクを除け者にしようだなんてあんまりなんだよ!」


 彼女も覚悟を決めているのか? なら一人の鬼人を速攻でボコり、直ぐ様二人の加勢に行けば良い!


「よし、なら鬼人二人を紡と糾に任せる。俺と涼葉で残りの一人を殺る!」

「創ちゃん急ごう! 鬼人に残りの人達を殺される前に!」

「何だったら、私達だけで彼奴ら殺っても良いんだよ?」


 と、糾。


「駄目だ!」

「「ぶぅ~」」


 即答すると、二人が頬を膨らませて抗議する。が、二人だけで戦わせる訳にはいかない。


「はぁ、仕方ありませんね。では、私達の大技で隙を作ります。その隙に四人を安全圏へ誘導して下さい」

「へへっ、最初の一撃で終わっちゃうかもよ!?」


 二人は呑気に言うが、いくらこの双子でも鬼人に簡単には勝てないだろう。

 だって言ってたじゃないか、鬼人は人の上位種なんだって!


「ふふ、では参りましょうか糾」

「うん、行こう紡」


 二人は息を合わせ駆け出す。


「神敵必滅ッ!」

「悪鬼退散ッ!」


 二人は一瞬で四人の冒険者の前へと躍り出る。


「「女神流(おみながみりゅう)刀術」」


 俺達も二人の後を追い、四人の冒険者モドキの手を取る。


「「冥府魔道の太刀ッ!」」


 双子は冥閬院流ではなく女神流(おみながみりゅう)と言った。

 俺の知らない流派だ。二人の苗字と同じ流派名なら、師匠が正式に継承している流派だと考えれる。

 二人の放った技は、俺には何が起きたか全く分からなかった。

 気づけば鬼人の三人が吹き飛び壁に激突し、崩れた壁の残骸に埋もれていたんだ。

 っと、それは後にして、今は四人をどうにかしないと!


「おい、あんたら、此方だ! 早く、奴らが起き上がる前に俺達の後ろにッ!」

「なっ、なんだ!? 何が起きたんだ?」

「あんたら誰だ? 助けてくれるのか?」


 急な闖入者に混乱する冒険者。

 そこへ――、

 激しい爆音を伴い崩れた瓦礫が弾け飛んだ!


「アハハハハハッ、すげぇじゃねぇーか。今のは良いぞッ! この俺様達を吹き飛ばす女が居るなんてな! クククッ、こりゃ嫁にしたら面白いかもしれんぞ!」


 三人の鬼人達が瓦礫を弾き飛ばして立ち上がった。

 彼等はダメージは受けていないのか、笑いながら会話を始める。


「若様、何を笑っているのです? 笑い事ではありません! 人ごときに一撃入れられるとは、何たる様ですかッ!」

「キャハハハッ、そう言うサフィニアもじゃん! たまにはこうした刺激もないとやってらんないよね! ねぇ、フィカス様」

「何を言っているのですかミルトニアッ! 若様を甘やかす事は赦されませんよ! 旦那様に何と報告するつもりですッ!」


 女鬼人二人はメイド服の様な物を着用している。男鬼人の召使なのかもしれない。

 それよりも、今の攻撃が効いていないのは非常に問題だ。

 先程の女神流(おみながみりゅう)とやらは、間違いなく冥閬院流(めいろういんりゅう)の上位互換だ。その技が効かないとなると、俺や涼葉の技は一切効かないことになる。

 そんな事を考えていると、俺達の背後に回った冒険者達が声を掛けてきた。


「た、助かった、礼を言うよ。でも、大丈夫なのか? 奴等、無傷に見えるんだけど?」

「ね、ねぇ、私達は足手纏いになるから先に帰ってもいいかな?」

「おいっ、おまえ、それは余りにも――」

「だって、皆死んじゃったんだよッ! 拓真も歩美ももう死んじゃったんだよぉ! 私達に何が出来るのよッ!」


 俺達の背後で言い争いが始まった。正直、俺達は彼等に構っている余裕がない。

 ここはとっとと退場してもらった方が得策だろう。幸いにも向こうから言い出したことだし、角は立たないだろう。


「あんた等はそのままダンジョンを出ろ。ここは俺達が抑えておくから、正直足手纏いだ」

「うん、その方が良いと思うんだよ。ホワィも出し辛いし」


 涼葉の言葉は後半尻窄みになっている。ホワィのことは彼等には聞こえていないだろう。


「わりぃな。先に脱出させてもらうわ。気をつけろよ、奴等は強くて容赦ないぞ」


 俺達の背後にある階段を駆け上がっていく足音が聞こえる。

 どうやら鬼人達は彼等に興味が無いようで、未だに仲間内で話をしていた。


「おいおい、二人共やめろや。俺が嫁を取るのがそんなに嫌なのかよ」

「ですから、若様の子を増やす事は賛成します。ですが、その相手が人間であることが許されないのです!」

「キャハハッ、でも、面白いんじゃない? 人間との間に出来るガキが鬼人なのか人間なのか興味ない? ねぇねぇ、どっちだと思う? ヒヒヒッ」


 こいつ等、紡と糾の事を言ってやがるのか! なにが嫁だよ、聴いてるだけで不愉快だッ!


「話し中に申し訳ないんだけど、そろそろ殺し合いを始めませんか?」


 と紡。


「うんうん、ちょっと不愉快だよね。私達を嫁にしたいんだったら、うちのお父さんを超えてから言って欲しい。まぁ、不可能だけどね」


 と糾。

 って、何言ってんだ! 怒らせるようなことを言って油断を誘うつもりか?

 と、二人を見ると、既にそこに二人の姿は無かった。

 次の瞬間には女鬼人が二人共再び吹き飛び、再度瓦礫の下敷きになっていた。


「はぁ、鬼人とはこの程度ですか?」

「拍子抜けもいいとこだね」

「テッ、テメェ等ぁあぁぁ、調子に乗ってんじゃねぇぞ。いくら嫁にするとはいえ、痛めつけないとは言ってねぇからなぁ!!!」


 男鬼人フィカスが両腕の長く鋭い爪を槍の様にして突きを仕掛ける。

 突きは一瞬で無数に放たれ、俺から見たら腕が千手観音みたいに見える。

 しかし、双子の姉妹はその全てを躱しきる。

 それも、反撃を交える余裕を持っている。

 い、いける! あの二人がここまで強いとは思わなかった。


「涼葉ッ! 俺達も行くぞッ!」

「うん、修行の成果を見せつけてやるんだよッ!」


 俺と涼葉も三人の攻防戦に参加するべき駆け出した。

 丁度その時、サフィニアとミルトニアが瓦礫を吹き飛ばし復活を果たした。

 しかし、今度はダメージを受けているのか、身体の彼方此方から血を流している。

 はぁはぁと肩で息をしているのを見る限り、ちゃんとダメージが通っているようだ。


「クッ、何ですかあの攻撃は! まるで回復が追いつきませんね」

「グフッ、くそっ、あのアマァー、よくもこの玉の肌に傷を付けてくれやがってぇッ! ぜってぇ殺してやるからなぁ」


 怒り狂う二人の鬼人を放っておく訳にはいかないか。


「涼葉、予定とは違うが俺達であの女鬼人を殺るぞッ!」


 紡と糾はあのフィカスとかいう男鬼人に集中させたい。

 となると、残りの二人は俺達が相手する他ない。

 俺がサフィニア、涼葉がミルトニアの相手をする。


 俺は、水歩を使い相手に接近し残光を放つ。

 最速で近付きの超速抜刀術で頸を狙う。

 サフィニアはニヤリと笑みを見せ、俺の抜刀をその指で摘まみ取るようにして受け止めてしまった。


「なにッ!」

「フフフッ、貴方はあの女性とは違い、とても弱いのですね? 残念です、私もたまには強敵と戦ってみたかったのですよ」


 即座に蹴りを放ってくるサフィニア。だが、それは俺とて読んでいた、透かさず後方へと跳ぶ。

 後方へ跳躍した筈なのにサフィニアとの距離が離れない!

 奴も前方へ出ながら蹴りを放っていたんだ。


「ぐッ!」


 腹部を蹴られ飛ばされてしまう。すぐさま立ち上がり、構えを取る。

 奴はまたしても目の前に、今度は鋭い爪を突き立ててきた。


「ちぃー」


 鬼人の伸ばされた腕に、両手で持つ刀の柄を下から跳ね上げる。左手で力任せに押し上げるようにして鬼人の腕を弾き飛ばした。

 瞬間刃は背後へと背負う形となり、右腕一本で弾くようにして前方へと押し戻す。

 一歩前へ、体重移動を利用し振り被った刀を振り下ろす。

 この一連の動作を冥閬院流(めいろういんりゅう)戒光(かいこう)と呼ぶ。

 本来は槍などの長物の突きを弾き、そのまま武器破壊に繋げるものだ。それを鬼の人体でやってのける。

 刀は吸い込まれるようにしてサフィニアの身体を斬り裂く。

 しかし、浅い。

 奴は返る刃を見て、いち早く後ろへ一歩後退していたんだ。


「おのれ、おのれッ人間風情がぁ! よくもこの私の体に傷を付けたなッ、最早容赦はしない。我が魔道の神髄を知れッ『アイシクルショット!』」


 サフィニアの力ある言葉を口にした瞬間、それは起きた。

 奴を取り巻く空間の至る所から波紋が発生し、その中心部から掌サイズの氷の塊が現れたんだ。


「くそッ、魔法かよッ!」

「フフフッ、あら貴方、余りにも無知と言うものではなくて?」


 さっきの怒りは何処へやら、人を小馬鹿にしたように笑うサフィニア。

 いちいち感に触るが、そんな事に構っている場合ではない。アレを放たれれば俺は蜂の巣にされてしまう。

 ざっと見ても三十はあろうか? アレの全てを躱すなり弾くなりしなくては殺されてしまう、回復系のスキルなんて持ってないからな。


「講義して差し上げましょう。これは魔法ではなく、魔術と呼ぶのです。違いはそうですね、簡単に説明すると、神の力か自身の力と言ったところでしょうか。魔術とは即ち、己の力一つで成し遂げる奇跡のことです!」


 んなこたぁーどーでもいいわぁー。

 今にも発射しそうな氷の塊が気になって話なんて入ってこないんだよッ!


「逆に、神の奇跡を魔法と呼ぶのですよッ!」


 魔法、いや違うのか、魔術が発射された。無数の氷の塊が弾丸となって放たれる。

 正に弾丸と言って遜色のない速度で迫る氷を水歩で避ける、避ける、避ける。


「あら、やれば出来るではありませんか!? お猿さんのようです、その調子で無様に逃げ回る姿を見せて楽しませてくださいなッ!」


 完全には避けきれずに傷を負う。その傷は時と共に数を増していく。

 ちょ! これは反則だろッ!


「さあ、追加、行きますよ『アイシクルショット!』」


 再び充填される弾丸。


 くそッ、ここまでなのかッ――――!







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