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俺の彼女はダンジョンコアッ!  作者: やまと
3章
52/78

はっちゃけたって良いじゃねぇか!

 私の別人格、本来の人格であるジャンヌ・ダルクがその身に炎を受けて目を覚ましました。彼女の目覚めと同時に変化が訪れます。


 1点の曇りのない銀髪は艶やかな漆黒へと変色し、金の瞳が深紅へと変わります。

 エスポワールの純白を基調とした聖旗は血の様な濃い赤へ、見事な金色だった神槍はその部分を空間ごとくり貫いたかのような闇色へと変わりました。聖旗神槍と呼ばれた私の神器は、邪旗怨槍へとも呼べるものになってしまいました。

 鎧は支給されたもので変化はありませんが、——ああ、美しかったジョアンヌの純白すら黒へと変わっていきます。ショック……。


「け、オレに向かって火炎とはいい度胸してんじゃねぇかッ、 ”消えな”!」


 ジャンヌの一言の魔法で相手の火炎魔法を掻き消すことができました。


 彼女は元々純粋極まる女性でしたが、今は荒んでしまっています。決して悪人ではないのですが、やり過ぎてしまうきらいがあるのです。

 できれば魔王とは、私ジャネットとして決着を着けたかったのですが……。


「頭ん中でごちゃごちゃとうるせぇぞジャネット! あとはオレに任せて大人しくしてろ!」


 ジャンヌが私に向けて声を張り上げます。

 私達は同一なのですから声に出さずとも伝わりますのに……。


「うっせぇ」


 彼女が私に向けて文句を一言、同時にエスポワールが手から消えてしまいます。


 ————チュドッ――ンッ!


 前方で爆発。まるで大型ミサイルを撃ち込まれたかのような大爆発です。

 彼女がエスポワールを魔王へ向けて超高速で投げ飛ばした結果なのですが、当の魔王の姿が眼前に広がる爆炎と粉塵によって遮られ視認できません。


 ですが、ジャンヌは瞬時にジョアンヌから降り、後方上空へと跳び上がります。即座に上空へと移動した魔王を捉えて行動に移ったのです。


 ああジョアンヌ、何処へ行くのですか? 其方は危ないので彼方に行って下さい。もぅジャンヌったら、ジョアンヌを置いて行くなんて……、ほら寂しそうにしてますよ。


 私には我が主(ヤハウェ)の神格位が授けられていますが、ジャンヌにはそれに加えて冥神(プルート)の神格位が扱えます。故に彼女は私よりも確実に強いのです。

 尤も、今程度でしたら私でも余裕ですが、彼女のやり過ぎはこれからです。


「はっ、魔王だか何だか知らねぇが、オレの敵じゃねぇんだよッ!」


 ジャンヌの拳が魔王のスライムボディを打ち、更に上空へと吹き飛ばされる魔王。

 魔王は音の壁をぶち抜き更なる上空へと昇って行きます。

 ジャンヌはその魔王の更に上方へと転移し、迫る魔王へ蹴るは殴るはの猛連打。


「オラオラオラオラッ!」


 最後には両手を重ねて上から下へと、魔王を大地へと叩き付けました。


 再び舞い上がる砂塵に姿を覆う。ですが、今度は動く事のできない程のダメージを負っているようです。


「終いだ魔王! 来い怒剣フィエルボワッ!」


 ジャンヌの手に現れたのは、本来聖剣と呼ばれる聖なる剣フィエルボワ。

 フィエルボワはジャンヌが神の声(聖女カトリーヌかも?)を聞き、教会の祭壇の裏に埋まっていたものを掘り起こしたものです。十字が五つ刻まれた聖痕付きの聖剣なのです。

 私が、いえ違いますね、ジャンヌがそれを当時のフランス王から賜ったのですが、今彼女の手にはオドロオドロしく見た目が不気味な姿で召喚された剣が握られています。決して聖剣とは呼べる姿ではありません。

 私が召喚する時は、聖剣の名に相応しい立派で美しい剣なのですが、ジャンヌに召喚されればご覧の通りです。ジャンヌは怒剣などと呼びますし……。


「だからうるせぇっての! 誰に説明してんだよジャネット」


 そのようなつもりはないのですが。


「いいから黙ってろよ。今決着をつけてやるからよッ! さあ怒剣よ、とっとと”目を覚ましやがれ”!」


 怒剣の力を解放し、力が上昇し続けるフィエルボワ。ジャンヌも倣ってマナを解放……って、どれだけの力を解放するつもりですかッ!

 フィエルボワの刀身からは黒い靄の様なものがモワモワと立ち昇り、ジャンヌからも激流のようにマナが溢れ出します。

 ジャンヌは未だ遥か上空に居ますが、それでも強大な力の影響を受けた大地が悲鳴を上げ、ヒビ割れ、耐えきれず岩盤は捲れ浮き上がり、砕けて砂と化していきます。


 ちょ、ちょっとジャンヌ! 加減を頭に入れてますか? 大丈夫なんですかこれ!? 砂漠化ですか? というかこのままだと星を割りかねませんよッ!

 あぁ、ジョアンヌが自らの世界である精霊界へと帰ってしまいました〜!


「やっかましい! 黙ってろっつってんだろうがッ! 気が散るだろうがぁ。ちゃんと加減はっ、って、なんだ!?」


 剣を掲げ、いざ振り下ろさんという時に、魔王がいるであろう場所から幾つもの気配が湧き立ってきます。

 プツプツと気泡のように、彼方此方から現れる魔物の気配が感じられるのです。


 夥しい数にまで膨れ上がった魔物の気配、その中でも、かなりの力を持った存在が魔王から距離を置いて此方を見上げています。


 なッ! ジャ、ジャンヌ、魔王が、魔王が集まり出した魔物を喰らっていますよ!


「ああ、ありゃ魔物を喰らって自己回復させてやがんな。あまよくばレベルアップってか!? はんっ、反吐が出そうな光景だぜ!」


 いえ、集まっているのは魔王の配下の物ではないのかもしれません。ほら、魔物達も魔王から逃げるように距離を取り始めました!


「たまたまこの場に現れた魔物の群れって訳じゃねぇよな。ってことは何か? 奴等を此処へ来させた何者かが居るってのか? 覗き見してやがんな、趣味のわりぃヤツだ!」


 ま、不味いですよジャンヌ! 魔物達が一斉に首都の方角に逃げ始めました!

 あそこではまだ兵士達が先の魔物と戦闘を継続している筈です。このままでは兵士達に犠牲者が出てしまいます!


「ち、めんどくせぇなぁ。それぐらい兵士達でどうにか出来ねぇのかよッ!」


 無理です。彼等は先の魔物の相手でも手が余ります。


「まったくしょうがねぇ連中だな! ここは一つ貸しを作っとくか!?」


 ジャンヌは直ぐに逃げる魔物の先頭に降り立つとフィエルボワを振るいます。

 先程の力の奔流は霧散していましたが、その一振りで数十体もの魔物が両断されチリも残らず消えていきました。

 ですが、まだまだ後続が続いて来るようです。


「ったく、どんだけ数居るんだよッ『冥府へ誘う聖女の祈り』ッ!」


 ジャンヌが両手でフィエルボワを握り眼前に掲げ、システム外の、それも聖女限定の魔術を行使します。

 これは大規模な即死魔術で、ジャンヌが好んでよく使うものです。


 迫り来る魔物達がバタバタと倒れ、後方でその光景を見ていた魔物達が焦ったように急ブレーキをかけ急停止しています。

 ですが、その更に後方からスライムが波となって押し寄せ、生きてる者も死んでる者も関係なく飲み込んでいきました。

 ジャンヌは空間転移で難を逃れましたが、この場に現れた魔物の大半が今ので呑み込まれてしまったようです。

 流石に力ある者達は逃れているようですね。


「ち、完全回復してやがんなありゃ」


 それどころではありません、魔王には【レベルアップ】スキルがあるのです。

 この能力は経験を積むことで強さに磨きが掛かっていくのですが、【暴食之王】と組み合わさる事でより強力なスキルへと至ります。死者ですら食せばレベルアップにつながるのです。


「確かについさっきとは桁が違うパワーアップだわ」


 魔王を見ると、その姿が霞の様に消えてしまいます。

 その刹那、背後に現れた魔王がその体の一部が鋭い槍の様にして突き刺すように伸ばしてきました。


「はっ、それでもまだまだだな!」


 ジャンヌが振り向きざまにフィエルボワを振るいその槍を弾き、そのまま振り下ろします。

 魔王は素早く後退して躱し、そこから――!


「っはん、漸く神格を解放したかよッ!」


 水精の神格位解放、その証拠に魔王から神気が漏れ出ています。


 神格とは、神の体に自然と宿る力の総称、魔物で言う魔石に近いでしょうか。

 神格は魔石と違い物質として存在している訳ではありませんが、神の概念が形を取った様なモノだとお考え下さい。これは取り出したところで即座に再生します。


 神格位とは神格の一欠片。

 神格位保持者は神から力の一端(神格位)を受け取り、地上で神自ら成せないことを成す代行者。


 神気とは神のみが創造可能な特別な力です。

 神気は神が創造する故にその力は絶大。魔法の原動力であり何物にも勝る力です。

 神気を宿す者には()()は一切効きません。


 欠点も存在します。それは余りにも高次元の力故に負担が大きいということです。

 いくら神格位を保有していても神気を長時間解放し続けるのは自殺行為といえます。特に二つの神格位を保有するジャンヌの負担は計り知れません。

 更に、神格位は無尽蔵に神気を創造しますが、一度に放出できる出力は神格位を与えた神の格に依存します。


 私やジャンヌに神格位を授けて下さった我が主(ヤハウェ)冥神(プルート)の二柱は、暴食の魔王に神格位を与えた水精とは次元が異なる上位の神です。故に私達が魔王に後れを取る事など有り得ないのです。


 ですがこの場を覗き見る者、魔物を送りつけた張本人に実力を測られるのは癪ですね。

 ジャンヌも同意見なのか神格位を解放しようとはしません。わざわざ手の内を明かす必要はありませんよね? ですが既に解放状態の魔王には魔術の一切が通用しません。

 神気を纏う魔王に勝つには神気が必要になります。


 神格位を解放せずにどうやって?


 答えは神器です。

 神器にも神気は宿っています。神格位と比べれば微々たるものですが、有ると無いとでは雲泥の差があります。

 ですがそれでも解放状態の魔王へと挑むなら心許なくもあります。

 致し方ありません、ジャンヌ神格位を一つ解放してくださいッ!


「アホかっ、それじゃ面白くねぇだろうがッ! (いくさ)ってのは生きるか死ぬかの瀬戸際を楽しむもんだっての! 覗き見している陰険野郎とはカンケーねぇんだよッ!」


 なっ、戦闘馬鹿ですか! ジャンヌ、昔の貴女はそんなんじゃなかったでしょ?

 戦場に置いても剣を抜くのを躊躇っていた優しい貴女は何処へ行ってしまったのですか!


 ……………あれ? 抜かない、解放しない……、

 ……間違ってはいないのですか?

 い、いえ、抜かない理由が違いますよね。ええ、違いますとも。


 嘗てのジャンヌは敵であろうと傷つけることを嫌い剣を抜くのを躊躇ったのであって、生死を楽しむために神格位を解放しない今とはまるで違いますとも。

 ああ、優しいジャンヌに戻ってください!


「うっせぇって言ってんだろうがッ! オレは今も昔も変わりなく優しんだよッ!」


 ええ、ええ分かっています分かっていますとも。貴女は今も昔も変わらず優しい女性です。魔王と言えども殺さないようにしているのでしょ?

 ただ、戦闘を楽しむ戦闘狂ではなかっただけでしょ?


「ええいムカつく! ジャネットの奴、ホントうるせ」


 先程、魔物を大量虐殺したのはまた別の話ですよね。ええ、私は分かっていますよ。私は貴女なのですから。


「…………」


 あの、黙らないで貰えますか?


「ええい、魔王に集中させろっての」 


 実は私がジャンヌにチャチャを入れている間にも魔王の攻撃は続いています。

 ジャンヌはその全てをフィエルボワを使って弾き飛ばしているのです。

 神気を纏った攻撃は先程のものとは比ぶべきもない。ジャンヌはフィエルボワの微々たる神気で対抗しています。


「ちっ、”畏き神、偉大なる死者の王、相応しと思し召される側に栄光を”、消えろッ!」


 解放した神格保持者には神気が扱えますから、神に祈る必要もなく魔法が扱えます。ですが解放前のジャンヌには祈りが必要となります。

 祈りを捧げたジャンヌの魔法が魔王を襲います。


 魔法を浴びて、消えはしないものの吹き飛ばされた魔王。

 ジャンヌは距離を詰めフィエルボワを振り上げます。

 魔王はフィエルボワを押しとどめようと魔法を使い、動きを抑制されたジャンヌが気合を入れて振り下ろそうと力を入れています。


 刀身から靄が溢れ出る、この靄は怒剣フィエルボワがジャンヌの怒りに反応して出てくるものです。

 この靄はいわば感情の現れ、靄の量に比例してフィエルボワは力を増していきます。


「おぉおおおおお――ッ!」


 力任せに魔法の拘束を振り解き、靄を纏う刀身を振り下ろすジャンヌ。ギリギリで躱す魔王。

 ジャンヌはそのまま魔術の術式を構築し即座に放つ!


「『ダークネスチェイン』『ゲート・オブ・ヘル』『孤陋(ころう)なる聖人は孤高なり』!」


 先程、私が行使した魔術『ホーリーチェイン』は聖属性ですが、ジャンヌの扱ったものは闇属性。

 ですがこれ等はただ単純に鎖を使って相手を拘束するだけの物ではありません。それは後に続く魔術と連鎖させることにより効果の拡大が見込めるのです。連鎖する数により効果は比例して上昇してゆき、消費するマナも増加していきます。


 私の場合は、聖柱を打ち立てる『セイクリッドピラー』と相手を八つ裂きにする『清純なる乙女の惨劇』を連鎖させ威力の底上げを行いました。

 ジャンヌの場合は、闇の鎖で魔王を縛り、魔王を囲むように地獄の門を三門召喚します。更に何者をも立ち入れない結界を張ったのです。

 門はギィーと重々しく軋む音を立て扉を開き、それぞれから夥しい数の亡者共を吐き出します。

 連鎖の効果により亡者の数が増え、結界は強固に亡者を逃がしません。


 亡者は魔王を地獄へと引きずり込もうと群がり、魔王は抵抗しようと亡者を蹴散らしていきます。

 亡者に捕われればオドもマナも吸い取られ、最後には地獄門へと引きずり込まれて行きます。


 神気を宿す者に魔術は効かない。現に魔王は闇の鎖をいとも簡単に引き千切っています。

 しかし、直接攻撃でない『ゲート・オブ・ヘル』なら意味が無い訳ではありません。

 魔王は神格位解放状態を維持したまま亡者を相手にしています。その状態を維持し続けるには負担が多きのです。私達はただ時間が経つのを待つだけで魔王の消耗を図れるという訳なのです。

 ですが…………


「自分でやっといてなんだけどよ、これじゃつまらなくね?」


 …………は? 何言ってるんですか?


 このまま待てば勝利は確約されますよ。それじゃ物足りないと仰るんですか?


「よし、解除!」


 な!

 私を無視してジャンヌが亡者共々地獄の門を消し去ってしまいました!


「良いだろ別に。これはオレの勝負であって、お前は黙って見てれば良いだけなんだからよ」


 そうはいきません! 貴女は私なのですよ、貴女に何かあればそれは私も同じことなのです!


「まぁまぁ、このまま楽して勝ってもよ、修行にも何にもならねぇじゃねぇかよ。だったらよ、自ら制約を掛けて修行っぽくした方がお得じゃねぇか?」


 いいえ、無駄なことです!

 私達と魔王とでは格別した実力差があります。いくら制約を設けても意味など有りません!

 苦しませずに殺してあげることこそが慈悲です!


「ちっ(……石頭か)」


 だ、誰が石頭ですかっ!!!

 言っておきますけど、どれだけ小声でも聞こえますからね!


「ああもぉ~、うるせぇうるせぇ~! あ~あ~、聞こえない~聞こえない~」


 ジャ、ジャンヌ、そんな戦闘中に両耳塞ぐ人がいますか!

 あ、こら、視線を逸らさない!


 私達が言い合いをしていると、亡者から解放された魔王が地上へと降り立ちました。

 何をする気でしょうか?

 魔王の周りの砂地と化した地面が沸き立っています。

 魔王には召喚系スキルも魔術もないのでこれ以上の魔物の増援はないと思います。ですが、この戦いを覗き見ている人物、恐らくはこちらの世界の神の一柱だと思いますが、その人物なら再度の増援は可能でしょう。

 気になるのは、先に現れた数体の力ある者達です。

 彼等は未だに姿を見せてはいません。


「ちっ、構うものかよッ!」


 ————!!!


 ジャンヌがフィエルボワに何やら魔法をかけて振り下ろそうとした時のことです。

 突如私達の脳内に響く美しい声音。————ああ、我が主よッ!

 我が主の声は増援された魔物の中に重要人物が一人混じっていると告げています。

 その者を殺してはならないとのお告げです。


「おいおいマジかよ!」


 ジャンヌの力が霧散し、魔法の力も効力を失っていきます。

 問題は、どの人物がどのように重要なのか?

 我が主はいつも曖昧なヒントしか与えては下さりません。自ら考えろと言うことです。

 ですが、今回はやけにハッキリとした答えでした。

 それは、魔王の助っ人の中の1体の鬼人女性が我が主君の関係者の血縁者だと言うことです。


 ……これは偶然でしょうか?

 魔王を相手していた私達に、私達に手出しを躊躇させる相手を送りつけてきた?

 もし覗き魔がこの世界にシステムを提供した神なら、それは神が魔王を助けていることになります。人類の敵である魔物の王を助けていることとなります。


 ……ジャンヌ、その人物の特定を急がねばなりません。

 まかり間違っても死なせる訳にはいきませんからね。


「分かってんよ。だが、一向に姿を見せやがらねぇ。誤って殺っちまっても問題ねぇよな?」


 問題大有りですが、最悪の場合は致し方ないかもしれませんね。


「オレ達が察知できねぇーてんなら神が絡んでるのは確定か? 何か特殊な恩恵を受けてやがんな」


 神が送り付けてきた相手です。何か細工されていても可怪しくはありません。

 やはり神格位を解放するべきではありませんか?

 神格位を解放するなら相手の居場所が容易に特定できるでしょう。

 それとも主君に連絡を取りますか?


「いや連絡するのは止めておこう、解放も無しだ。スライムの野郎を優先してりゃその内出てくんじゃねぇのか?」


 確かに先程は魔王を助けるために出てきましたね。ですが、助っ人として来たにも拘らず助ける素振りが有りません。放って置いても良いのかも知れませんね。

 それに、我が主君もお忙しいでしょうし、このような些末なことでお手を煩わせるのは忍びなく思います。分かりました、魔王も何か仕掛けるつもりのようです。気を抜かぬよう心掛けてください。


 魔王の周辺では未だにブクブクと地面が沸き立っています。

 何をするのか?考察する私達を嘲笑うかのように魔王の姿がフッと消えてしまいます。


「ち、逃げたか! 逃がすかよッ!」


 ち、違いますジャンヌ!

 魔王は逃げたのではなく、潜ったのです!

 未だ何かを狙っているのでしょう!


 ブクブクしていた大地は次第にグツグツへと変わり、液状化して水に浸かっていきます。

 地中で魔王が神水を生成しているのでしょうか? 可成りの勢いで水量を増していく神水、ここを水没させる気ですか!?


「け、兎に角ヤツを炙り出さなきゃ話にならねぇよな!」


 そう言いうと、ジャンヌの背後から邪旗怨槍エスポワールの切先が空間を貫いて現れ出でます。

 次の瞬間、大きな神水の水柱が立ち上りました。

 気付けばエスポワールは消えており、変わりに降り注ぐ神水の雨。


「出て来ねぇな?」


 業を煮やしたジャンヌが再びエスポワールを、今度は数百にも及ぶ数のエスポワールを複製して顕現させ、狙いを定めています!


 ちょ、ジャンヌ!? 分かってますよね? 威力は抑えて下さいよ! まかり間違っても主君の関係者を殺してはなりませんよ!


 聴いているのかいないのか? ジャンヌは構わず全てのエスポワールを投下してしまいました!


「黙って見てろ!”死者の国を統べる王、その忌まわしき腕で抱き留め給え”!」


 まぁ、何て不敬な祝詞でしょうか!?



極々希少な役割(URロール):【覚醒魔王】

職業(ジョブ):【美食戦士フードファイターLv8→26】

●種族:暴食粘体生命体ベルゼスライム

●加護:【水精之加護】

●神格位:【水精】●スキル:

【狂打】【刺突】【強酸】【溶解】【腐食】【多重分裂】【捕縛】【重圧】【重力操作】【斬撃無効】【魔術極大軽減】【魔王覇気】【超速思考】【分裂思考】【魔術大強化】【多重魔術】【無詠唱】【痛覚無効】【衝撃耐性】【熱変動耐性】【状態異常無効】【超速再生】【高速飛行】【無限飛行】【空間把握】【亜空間収納】【空間移動】【水移動】【高速移動】【探知】【第六感】【鑑定】【妨害】【偽装】【擬体】【浄化】【神水生成】【水系魔術適性】【水系魔術極大強化】

●固有スキル:【暴食之王】

●特殊スキル:【レベルアップ】

●種族スキル:【スライムボディ】【補食・吸収】【形状変化】

●魔術:【四大魔術】


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