ふざけた報酬
「ししょ~、ししょおぉがどうしてここに居るのかな?」
師匠が来ていることを知らなかった涼葉は、師匠の傍まで駆けて行くとそんな事を言っていた。
俺が下層へ落ちた時、師匠は自ら穴へと落ちてきたんだ。
俺は師匠が居るとは思ってもいなかったから誰かが崩落に巻き込まれたのかと焦ったもんだ。
「おう、さっきも言ったが、あの魔王を追って来たらお前達がたまたま居たんだよ。特に他意はない」
俺もその質問はしたんだよ。そしたら助けに来てくれた訳じゃなかった。
なんでも首都を騒がせた魔王をどうにかして欲しいと王様に頼まれたそうだ。
師匠がこの国の王と知り合いだったとは初耳だが、王が師匠を頼りにするのは良く分かる。
「えぇ~、じゃあ逃がしちゃって大丈夫だったのかな?」
「問題ない。何とかするとは言ったが倒すとは言ってないからな」
「えー、それって詭弁じゃん」
「ええの、それぐらいが丁度いいの」
「え~、何が丁度良いのか分かんないんだよ」
呑気に二人で盛り上がっている涼葉達はこの際置いておこう。
【傲慢之王】を埋め込まれた隆成の状況は深刻だ。優斗と恋鞠は彼の傍で解放している。隆成は無理矢理に埋めこまらた事が負担になったのか気を失い倒れているからな。
魔王とは、七大罪のスキルを所持し、尚且つ世に敵対する者だったか?
ってことは、傲慢のスキルを保持していても、世界の敵にさえならなければ魔王にはならない? だとしたら逆に魔王一体分の出現を抑え込めるかもしれない。何故なら七大罪スキルの一つを所持する者が勇者の仲間なんだから。
一先ず彼が目覚めても敵になる事はないことを祈る。スキルの影響を受けて人格が変わらないとも限らないからな。
結局、隆成の問題は目覚めて見ないことには何とも言えない。
さて、次に気になるのはのびている【真の勇者】様とやらだ。起こす前に狙われている涼葉は先に帰しておきたい。
「師匠、少しいいですか? 彼、【真の勇者】の藤瀬誠ですが、彼は【ダンジョンコア】である涼葉を敵として認識しています。だから、涼葉を逃してから治療して欲しいんですが」
「ああ、涼葉も勇者も死なせる訳にはいかないからな。っと、その前にだ、魔王…いや反町燦翔、何か言い残す事はないか?」
師匠は大量の血を流し倒れている反町の側にしゃがみ込みそんな事を訊いている。
「う、……あ、あ…んた、は?」
「俺はお前さんの敵だよ。だが、お前さんはもう助からん、最早敵も味方もないだろう。何か言い残す事があれば訊くぞ?」
反町はまだ生きていた。微かに残る意識で師匠の問に答える。
「ぼ、ぼ…くは、じ…んる……いの、て…きだ……よ……」
「今更関係あるまい、もう、片意地を張る必要はない。人道に反することはできないが、できる限りのことはしてやるよ 」
師匠は、元とはいえ魔王にさえ憐憫の情を向ける。しかし、その様子を窺っていた優斗が噛みついた。
「おい、まさかそいつを助ける気かよ!」
「彼はもう助からんよ。確かに彼のしたことは許されることじゃない、君が憤るのも良く分かる。彼の罪は死後に裁かれる、それでは気が済まんか? 君はそれでも彼を許せないか?」
師匠は死ぬ反町があの世で罪を償うことになると言う。だが、あの世の存在を知らない俺達からしたら死んでそれで終いに思えてしまう。
「ふざけんなッ! そいつは鳥田に魔物の群れを嗾け、大勢の人間を殺したんだぞ! 死んで終わりじゃ殺されていった者達が浮かばれねぇだろうが! 死んで楽させて堪るかよッ!!」
死は逃げであり償いではないと優斗は思っているのだろう。
「君の言いたいことは分かるがな、どうしろと言うんだ? もういくばくもない彼を、なじろとでも言うのか?」
「一言謝れって言ってんだよ。このまま死んでいった者達に何の謝罪もないまま死ぬんじゃねぇよッ!」
確かに、俺の懐には今も反町によって人生を狂わされた人達がカプセルに収納されている。彼女達の狂った人生は反町の死で元に戻ることはない。
せめて、まだ生きている彼女達には謝罪の一つでも欲しいところだ。しかし、反町には迫害された過去があり、本人は仕返しをしただけだと思っている。そんな反町が素直に謝ることはないだろう。
「ってことだ。謝る気はあるか?」
「ふっ、……あ、あや、まるか……、じゃ、じゃあさ、こほこほぉ、…ぼ、僕のじん…せいをく、狂わせた…、人達にもあ、謝って…欲しい…もんだ…ね」
今にも死にそうな反町が、口から血を吐き出しながらも言葉を連ねる。
彼を変貌させたのは周りの人からの迫害、更に言えば【裏切り者】のロールを押し付けた神ってことになる。それらがなければ反町が魔王になることなどなかったんだからな。
だからと言って許されるものじゃないが、……根の深い問題になりそうだな。
「燦翔さん、私が皆の代表として謝ります。助けられなくてごめんなさい。今までの仕打ちは間違いでした、心からの謝罪を、本当にすみませんでした!」
恋鞠が驚く事に反町の傍らで土下座をして謝った。彼女とて思う所は多々あるだろうに。
「恋鞠が謝るんじゃねぇよ。こいつの境遇はこいつが弱かったからだ、お前の所為じゃねぇだろ」
優斗が恋鞠の行動にギョッとし慌てて止めている。
「いえ、私の所為です。私は彼が迫害されていることを知ってました。それを、勇者である私は、弱者を助けるべき勇者が見て見ぬフリをしたのです。助けられるのは勇者として力を持っていた私しかいなかったのに。見捨てたことは許されることではなく、全ての責は私にあるんです。私が助けていれば、こんな事にはならずに、今も陽花里と笑い合えていたかも知れないのに。本当にごめんなさい」
この娘は本当に16歳なのか? 随分としっかりした嬢ちゃんだな。
勇者として目覚めた彼女は、自らの責任の重さを受け入れているようだ。
本来なら友達と無邪気に遊び回っていても可笑しくない年齢だと言うのに。
力を持ったが故に背負うことになった責任から、逃げることなく正面から受け止め責務を果たそうと奮闘している。見ている此方が辛くなるなほどに。
友の仇に頭を下げられる度量の良さは俺にはないものだな。
流石の反町も、この行動には驚いたようだった。
「ほ、ほんとに…謝る…とは、ね。………いい……や、あの世に…行ったら……陽花里には謝っとく…よ。ゆ、許して…くれる、とはおも、わ…ない、けどね。……ああ、ダメだ……そ、そ…ろそろげ…ん……かい、だ。こ、こまり…、しゃ…ざいを、う…けと……るよ。いま、…いままで……ごめ、ごめん、す…ま…な……かった…………」
やけにあっさりとした、傲慢の魔王の最後だった。
最後に見せた一粒の涙の雫が地面へと落ち、彼は亡くなった。
あの涙こそが彼の謝罪だったのだろう。
「「「…………」」」
「けっ、結局謝ったのは恋鞠と妹だけかよ」
沈黙の中優斗の声だけが響く。そんな優斗だが、その表情は暗く言葉にも覇気がなかった。
そんな沈黙を破るかのように響く声がした。
「おぅおぅ、甘い連中だ。言葉一つで許せるものなのかね」
声のする方向に視線を向けると、そこには先程までピクリとも動かなかった藤瀬誠が立っていた。
しまった、涼葉を逃がす前に目を覚ましたか。
彼の青い鎧は粉々になり見る影もなく、身体中にできた傷は痛々しい。止血はできているようで血は流れてはいないようだ。
「だが、アンタらのお陰で生き延びた、礼を言うよ」
「ああん、誰だテメェ? …ってああ、さっきおっさんが言ってた野郎かよ」
そうだった。優斗達は知らないんだったな。
俺はできるだけ知っている情報を簡潔に皆に話した。
彼が【真の勇者】であること、破れたとはゆえ魔王と比肩する実力があること、地球と言う平行世界からの来訪者であること、と簡潔には話せない部分もあったがなんとか話しきる。
「彼は魔物を流出させてしまった責任感からこちら側に渡り、【真の勇者】として魔王を倒そうとしていた。優斗達が来るまで共闘していたんだ。彼のお陰で時間が稼げた」
「真の勇者ね、俺達の【勇者】とどう違うのか分からんが、魔王一人に倒されてるようじゃあ先が思いやられるぜ」
なんで優斗は誰にでも喧嘩腰なんだろうか?
確かに彼はティリイスに勝てなかったが、彼がいなければ俺達は負けていたことになる。
……いや、師匠が参戦していたならそうでもないのか?
「返す言葉もないな。俺もまだまだ修行が足りなかったようだ」
藤瀬が大人で良かった。
「おう兄ちゃん、怪我は大丈夫か? 何だったら癒してやろうか?」
師匠が気軽に言っている。
「いや、遠慮しておこう。自己修復で傷は癒えている、気持ちだけ受け取っておくよ」
藤瀬の視線が涼葉に向く。俺はその視線から涼葉を庇う様に立ち位置を変え藤瀬を見据えると。
「そう警戒するな。少なくとも、今ここで嬢ちゃんを襲ったりはしないさ。したところで返り討ちにあいそうだしな」
ふむ、流石に戦闘を継続する気は無いらしいく、そう言うと不意に師匠に視線を向けた。
「魔王を倒せるにも関わらず逃がしたことには思うところがあるが、あんたの強さは肌で感じ取れる。今の俺じゃ手も足も出ないだろう」
「ほう、彼我の分析ができてて宜しい。俺の実力を感じ取れるなら自慢できるレベルだ、流石勇者だな」
うんうんと頷きながら言う師匠に対して、藤瀬は苦笑いを交えながら応える。
「おぅおぅ言ってろや。この場で俺の敵は三人だ、今は退くがいずれその三人とは敵として相見えよう。その時は容赦しねぇし、容赦するなよ」
背を向け言い放つ藤瀬がそのまま外へと続く階段へと歩を進めだした。
三人と言ったのは効き間違いだろうか?
涼葉は【ダンジョンコア】として狙われているのは分かる。おそらく隆成も【傲慢之王】の保持者として狙われるだろう。では、最後の一人は誰なんだろうか?
「お、おい、待てよ! 俺も勇者の一人としてあんたの、【真の勇者】の実力に興味がある。少し付き合っちゃくれねぇか?」
俺が考え事をしていると、優斗が藤瀬を呼び止め模擬戦を申し出ていた。
「悪いな、そんな気分じゃない、また今度にしてくれ」
意に返さず歩を進める藤瀬に、優斗が容赦なく襲い掛かった。
「うるせぇ、問答無用だ!【八火爆砕陣】――ッ!」
「はぁ、【疑似石弾】」
優斗が生み出した八つの火球が、一瞬にして潰された。藤瀬が放った石の礫が撃ち抜いたんだ。
撃ち抜かれた火球はその場で爆発を起こし、術者である優斗を吹き飛ばして消えた。爆炎が消え去る頃には藤瀬の姿も消えていた。
「くそっ、結局逃げられた!」
「今の優斗では歯が立たないってことだな。さて、これで当面の問題は全部解決したし、隆成が起き次第鳥田へ帰ろうか」
「はいッ! 私も早くみんなに会いたいです」
「ちっ」
俺の提案に恋鞠が乗るが、優斗と涼葉が渋い顔をしているのに気づく。
「う~ん、創ちゃん、このダンジョンなんだけど、ボクが乗っ取っちゃった上に本来のコアが死んでるんだよ。ここ、どうしよう?」
「……え˝?」
「ここ……、ボクのダンジョンになっちゃったんだよ」
え、二つ目のダンジョン? 一つのコアが二つのダンジョンを掛け持ちできるのか?
一つ目は師匠宅の地下に入口があり、二つ目のこのダンジョンだ。
一つ目のダンジョンは順調に規模を増し、魔物の数も増えてきている。もし、このダンジョンも拡張を続け魔物が増えれば問題も出てくるだろう。
もしも物語の中で出てくるような冒険者のようなものが来れば間違いなく魔物達が狩られていく。
涼葉のダンジョンでは魔物は召喚するのではなく、新たな生命として赤子として産れてくるんだ。ここもそうなら格好の狩場になってしまう。
人類のためにはそれでも良いのかも知れないが、涼葉のことを思うとそれは避けたい。
いや、魔物が産まれてくるとは決まってはいないが、それでも…………、
俺が涼葉のダンジョンについてどうするか悩んでいる傍らで、優斗が「くそっ、結局魔王も真の勇者も取り逃がしちまった。後でぜってぇー障害になるじゃねぇかよ」と叫んでいる。その言葉から優斗が涼葉を気遣ってくれていることに気づく。彼は彼なりに仲間意識を持って涼葉と接してくれていたことに感謝する。有難うな優斗。
「師匠、このダンジョンなんですが、」
しょうがない、面倒な時は師匠に丸投げしてしまえ!
「ああここな。確かコアってのは、支配下のダンジョンに侵入した外敵を配下の魔物で倒すとポイントが得られるんだったな。涼葉の仲間を配置しとくのもいいんじゃないのか?」
ダンジョン内に侵入した者を魔物で倒すとダンジョンポイントとやらが得られるらしい。そのポイントを使って階層を増やし、手下を増やし、罠を設置するという。
つまりこのシステムを創った神からポイントとして力を受け取っているということだろうか?
神の力だということは、このポイントは用途を限定した魔法の力なのかもしれない?
「そんなことしたらボクの友達が討伐されちゃうんだよ! ダメ、そんなことはできないんだよ」
「そうか? 配下を鍛える意味でなら有効的だと思うがな。じゃあしゃーないから潰しておくか。ほったらかしとくと野良の魔物が集まり巣食うだろうからな」
「そんなことできるの?」
「無論だ。と、言いたいが、潰せはするが地盤沈下を起こしそうだな、ってことで埋めるか」
は?
「う、埋める?」
この規模のダンジョンを埋めるとなると相当な重労働な気が?
確か天野を助けたのが10階層だったから、……最低でも10階層分はある。
その全てを埋め尽くすのだろうか? それとも出入口を塞ぐ意味で言ったのかな?
「わぁ、師匠、ここ埋め尽くすの?」
「涼葉がコアなら破壊して終わらせることができないからな。間違っても発掘され、涼葉がしたように支配権を奪われないように隙間なく埋めるつもりだ」
ふぇ~と驚く涼葉。俺は桁違いの力で思考が追いつかない。
おそらく魔法を使うのだろうが、魔法とはそれ程までに常識外れの力なのか!?
「おいおい、埋めるってマジかよ! そんな必要あんのか、放って置いても問題ねぇんじゃねぇ?」
「いや、放置しておけば野良の魔物が巣食うだろ。支配権云々を置いておいても、力ある者の拠点にされるのも厄介だ。例えば魔王とかな」
ああ、また反町やティリイスのような存在に居座られても困るのは確かだな。
「お前達は気づいてないのかも知れないが、鳥田付近の二つのダンジョンの入口は内部で繋がっている。もしもこれから先、鳥田を拠点とするならこのダンジョンは埋めておかないとな」
「二つのダンジョンが繋がってる? ちょっと待てよ、じゃあ何か、ここを拠点にすると状況を見ながらどっちから攻めるか決められるってのか?」
鳥田の周辺には二つのダンジョンの入口がある、西と東だ。俺達が入ってきたのは西の入口、東の入口はノータッチだった。
そうか、反町は鳥田の内と外で状況を見極め、西に勇者が赴いている間に東からスタンピードを起こしたのか。
二度とそんな事はできないように埋めてしまうのは良い手なのかも知れない。
「ああそうだ。今後鳥田に人が集まれば魔物達も人を求めて集まってくる。その時、このダンジョンがあれば魔物にとっては最良の拠点となる。逃げ出す際にも有効的だしな」
「お、おう、分かったよ。埋めることには賛成だ。少し勿体なく感じちまうな」
人間が有効活用できればここは良い拠点になるのかも知れない。が、こんな地下で人は健全に生きていけるのだろうか?
「一つ入口が増えたしな」
ん、師匠が何を言ったのか分からない。
涼葉は頭上を見上げながら少し高揚したように口を開く。
「そ、創ちゃん凄いんだよ! ロンギヌスでダンジョンが突き抜けてるよ! 外の夜空が覗けちゃうんだよッ!」
え? 先程地下からティリイスを狙ったロンギヌスが天井を突き抜け遥か上空へと抜けていた。
覗き見ることができる夜空には微かな星の輝きが見て取れる。
優斗なんか口をあんぐり開けて、呆れたように言う。
「はぁ、なんじゃこりゃ。おいおい、なんの冗談だよ、ダンジョンってのは魔法でやっと壊せるんじゃねぇのかよ」
そうだよな、ダンジョンをぶち抜くのは流石だと言える威力だ。
「凄いんだよ創ちゃん! 創ちゃん凄いッ!」
「あ、ああ、確かにこれは凄い……」
「ふふふ、惚れ直しちゃんだよ」
「え?」
「え?」
首を可愛らしく傾げている涼葉、何か勘違いしてないか?
「くくっ、良かったな創可、惚れ直したってよ」
「し、師匠、からかわないで下さいよ! 涼葉、違うぞ、アレは俺じゃない」
「え?… ええ!! ああ、あれ師匠がやったのッ!」
「ああ、俺じゃ秘奥義のロンギヌスは扱えないよ」
覚醒の実を使った状態で最秘奥を使ったが、あれはあれで死にかけたしな。
「な~んだ、ちょっと残念なんだよぉ」
「な、なんか済まん」
「ううん、勘違いしたボクが悪いんだよ。創ちゃんは悪くないから謝らないで」
あの時、この下で俺は師匠に言われて雷上動を貸したんだ。
次の瞬間、師匠は頭上に向けて矢を構え、秘奥義であるロンギヌスを事もなげに放った。
波動砲みたいな光がそのまま上空へ、その結果がこの夜空って訳だ。
そもそも師匠が編み出した技だからできて当然なんだが、その時は釈然としなかったな。
ここはダンジョンの地下深くであり、更に外が夜となり陽が沈んでいるために微かな星の光に今の今まで気づかなかった。くり抜いていたとはつゆ知らずだ。
「そのまま黙ってればいいものを、黙ってれば涼葉が惚れ直してくれたらしいぞ」
「いいんです。いずれは俺も使いこなして見せますからッ!」
「その意気だ。さて、隆成くんが何時目覚めるかも分からん、彼を担いでここを出よう」
そう言った師匠が隆成に近付くと、彼を解放していた恋鞠が師匠に小声で何かを話しかけたようだった。
何を言ったのか聞こえなかったが、恋鞠は隆成を師匠に背負わせるとそのまま先を行ってしまう。
「もうこのダンジョンには魔物は残っていない、安心して進むといい」
「けっ、常識外れのアンタにはそんな事まで分かるってか」
「ああ、これ位のダンジョンの内部は総じて把握できるぐらいにならないと神とは対峙できないぞ」
「はぁ~、誰が神と事を構えるっつったよ! 俺の敵は魔王だ! あと、アンタの娘を必ず超えてぎゃふんと言わせてやるかならなッ!」
「はははっ、そりゃ大それた目標だな。神を相手にするより難度が高いかもしれんぞ?」
「はん、言ってろ」
一難が去り緊張が解け、気を許した仲間達と談笑しながらダンジョンの外へと出る。
ダンジョンから外へと出るとそこは商店街跡地。ダンジョンの入口は元商店街の道端にポツンとあった。
人の背丈ほど土が盛り上がって出来た地下へと続くダンジョン入口。
俺達が外へと出て振り返ると、そこは既に入り口ではなくなっていた。ただ、土が盛り上がっているだけの場所になっている。
もう師匠が埋めてしまったのだろう。少し離れた場所には、ロンギヌスにより穿たれた大穴の埋め跡だけが残っている。本当に全てを埋め尽くしてしまったんだ。
なんの所作も言葉もなく魔法を使ったことになる。どれだけ俺達との実力差があればこんなことができるのだろうか?
いつか、俺もあの領域に、……いや、あそこまでいく必要は無いか。
俺は涼葉を生涯護り通せるだけの力を身に付けられればそれで良しとしよう。高望みは身を滅ぼしかねないからな。
……でも、それでもあの領域に立ってみたいと思ってしまうのは男なら仕様がないことだよな。
≪主人公中難度ミッション、荒野の黒蜥蜴討伐クリア。
報酬:【通りすがりのおっさん】
主人公シナリオ『魔王討伐』が閉幕しました。
多対一の戦闘を面白がった管理神から報酬が支払われます。
報酬:【お節介なおばちゃん】≫
やっぱアホや、この管理神!
●剣南創可。
唯一の役割:【主人公】
職:【騎士】
スキル:【武芸十八般】【雷切】【等価交換】【不屈】【カリスマ】【真眼】【集中】【身体強化】【肉体強化】【瞬発力強化】【運命誘導】【空間機動】【空間認識】【空間適正補正】【空間魔術の知識】【衝撃軽減】【恐怖耐性】【治癒力向上】【天駆】
固有スキル:【ロムルスの神樹】
new【通りすがりのおっさん】【お節介なおばちゃん】
魔術:『空間魔術』
所持品: 燭台切光忠 雷上動 浅葱の上着 革の軽鎧 覚醒の実×1 聖騎士勲章
流派: 冥閬院流
●柏葉涼葉
極々希少な役割:【ダンジョンコア】
職:【魔物操者】
スキル:【武芸十八般】【広域気配探知】【感知】【第六感】【獣魔召喚】【獣魔送還】【獣魔強化】【従魔共振】【天駆】【魅了】【身体強化】【肉体強化】【毒耐性】【闇耐性】【恐怖耐性】【精神耐性】
new【従魔進化】(盗賊団殲滅報酬)
魔術:なし
従魔:リョカ ホワィ アルヒコ ホーネット スラティン アスプロ アルネア etc.
所持品: 銀の剣 革の軽鎧 覚醒の実×1 人形式×100
流派: 冥閬院流
●里山優斗。
極々希少な役割:【英雄】
職:【勇者】
スキル:【剣術】【槍術】【蹴撃】【会心】【解放】【強心】【跳躍】【遠視】【危機察知】【カリスマ】【身体能力向上】【身体強化】【肉体能力向上】【肉体強化】【思考加速】【魔力上昇】【魔力操作】【魔盾】【斬撃耐性】【打撃耐性】【毒耐性】【即死耐性】【呪耐性】【生命維持】【高速再生】【ヒートソードアタック】【アイスソードアタック】【八火爆砕陣】【限界突破】
new【勇者道】(魔王討伐報酬)
魔術:『四大魔術』(火、水、風、地)
所持品: 竜殺しの聖剣 聖剣クラウ・ソラス 聖凱イジョス・ブリンジャ
●河合隆成
希少な役割:【英雄の従者】
職:【戦士】
加護:管理神の加護
スキル:【剣術】【斧術】【盾術】【身体強化】【肉体強化】【城塞】【強靭】【剛腕】【魔盾】【魔力障壁】【斬撃耐性】【打撃耐性】【貫通耐性】【衝撃吸収】【毒耐性】【麻痺耐性】【生命維持】【再生】【道具箱】【誘導】
new【傲慢之王】
new【威圧】【覇気】(魔王討伐報酬)
魔術: 『特殊魔術』
所持品: 双斧 鋼の剣 鉄の軽鎧 カイトシールド ポーション×12
●伊志嶺美織
唯一の役割:【ヒロイン】
職:【聖女】
スキル:【杖術】【聖域】【聖痕】【慈愛】【魅了】【身体能力向上】【肉体能力向上】【魔力増幅】【魔力吸収】【魔力操作】【魔力障壁】【回復魔術大補正】【状態異常耐性】【再生】
new【聖域・極】(鳥田防衛報酬)
魔術: 『光魔術』『回復魔術』『結界魔術』『性魔術』『特殊魔術』
所持品: アスクレピオスの杖 聖衣
●蓮池恋鞠
種族:魔人
希少な役割:【リーダー】
職:【魔を秘めし勇者】
スキル:【剣術】【体術】【邪剣術】【遠見】【暗視】【飛行】【身体強化】【肉体強化】【魔力増幅】【魔力吸収】【魔力操作】【魔盾】【魔力障壁】【二重魔術】【状態異常耐性】【再生】【魔人化】
new【魔人特大狂化】(魔王討伐報酬)
魔術: 『四大魔術』『闇魔術』『回復魔術』『特殊魔術』
所持品: 理力の剣 銀の鎧