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俺の彼女はダンジョンコアッ!  作者: やまと
1章
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七九七日目 西ダンジョン

 ぎゃぎゃぎゃ、我の名はホワィだぎゃ。我の主が付けてくれた大切な名前だぎゃよ。

 我は人間の言う魔物だが、正確に言うならゴブリンだぎゃ。それも変異体であるぎゃよ。

 本来のゴブリンは森に溶け込み易いように肌の色は緑色をしてるぎゃ。でもだぎゃよ、我の肌は人間と同じような色をしているだぎゃ。

 幼い頃は肌の色が違うとよく同族に虐められたぎゃ、だから、一人で強く生きてきただぎゃ。そのおかげか、我は強くなっただぎゃよ。

 我一人でも群れたオーガにでも勝てる程だぎゃ。でも、2桁の群は難しいだぎゃよ。


 我達魔物は人間達が住まう世界を襲っただぎゃ。

 それは我達が住まう世界に、何者かによって開かれた次元の扉が突如として現れたからだぎゃ。

 これ幸いと門を潜るだぎゃ。

 我達、人間喰らう。

 何も考えずに扉を潜った魔物も多いだぎゃ、大概の魔物は餌を求めて扉を潜っただぎゃ。

 誰が次元に扉を造ったのか分からないだぎゃ、魔物からした餌場が広がるのは喜ばしい事だぎゃ。扉の向こう側には人間達が仰山いるだぎゃね。

 我達人間を喰らい、奪い、侵し犯すだぎゃ。その者の知識ごと喰らう。故に我達は言葉を理解してるだぎゃよ。

 人間達は戦う力が乏しく、容易く蹂躙できただぎゃ、銃なる武器を人間から奪った魔物達もいただぎゃ。

 それでも窮鼠は猫を嚙むだぎゃ。


 致命的なまでに数を減らした人間達は神の慈悲に縋ったぎゃ。最後の希望だったんだぎゃね。

 生き残った人間達は一所に集まり、神に祈りを捧げただぎゃよ。

 結果、神は人間達の願いに応えたぎゃ。その結果、我達魔物は暗い地下牢に囚われただぎゃ。

 その地下牢こそがダンジョンだぎゃよ。

 ダンジョンを彷徨いうと直ぐに出口が見えただぎゃ。出口から出れるとそこには新たな世界があり、再び人間達が溢れかえっていただぎゃ。

 これは後から訊いた話だぎゃ、ここは先に居た世界とは全く別の世界だそうだぎゃ。

 魔物達は再度溢れ出た餌を喰らうべく外へと出ただぎゃ。

 でも、外へ出れない魔物がいる事に気付いただぎゃ。

 それはどれも力の強い魔物ばかりだっただぎゃ。

 ダンジョンにはダンジョンコアと言った存在の源とも言えるものがあるだぎゃ。

 コアは自らを護る魔物をダンジョンからは出してはくれないようだぎゃよ。


 外に出れた魔物達は早速人間を襲っただぎゃ、返り討ちに合うものが出始めただぎゃよ。

 先の世界では容易く喰らえた人間達が、この世界ではそうでないだぎゃ。その理由は、役割(ロール)(ジョブ)だっただぎゃよ。

 人間に与えられたロールとジョブ、その為に魔物達は不利な状況になっただぎゃ。

 だぎゃ、それは魔物側にも与えられることになっただぎゃ。

 これで条件は同じだぎゃね。少し違うだぎゃか?

 先にロールやジョブを得ていた人間は既に魔物に対抗し得る力を手にしていただぎゃ。

 でもだぎゃ、戦闘を好む魔物達には上等だっただぎゃよ。


 次元の扉とダンジョンへと魔物を追いやった神、それとロールとジョブを与えた神はおそらく別者だぎゃ。やってることに一貫性がないだぎゃね。


 我のロールは【反逆者】、ジョブは【騎士】だぎゃ。

 【反逆者】の効果は同族や仲間意識のあるものを敵にして戦闘能力が向上する裏切りの効果だぎゃ。

 正直に言って役には立たない能力だぎゃね。仲間意識がある者に対してしか効果がないだぎゃ。

 回復や能力向上と言った効果は上昇せず、ただ戦う力だけが向上するだぎゃ。ハッキリ言って要らないだぎゃね。

 【騎士】は護るものの前では剣、槍、盾の扱いに補正が掛るらしいだぎゃ、我の武器は己が肉体と爪と牙、あとは燿子師匠から頂いた戦扇だけだぎゃ。つまり意味がないだぎゃよ。


 我思う。【反逆者】が役割なら、我は誰かに反旗を翻すだぎゃよ。

 強い力を持つ我がダンジョンから出られた理由だと思うだぎゃよ。

 コアも反逆者を近くには置きたくはなかっただぎゃね。

 裏切り、それは魔物に対してなのか? それとも今の主である柏葉涼葉であるのか?

 だぎゃ、決して今の主を裏切る訳にはいかないだぎゃよ。

 何故って、この、目の前の、化け物を、敵にしたら我は死ぬだぎゃ。


 化け物の正体、それは女神文月(おみながみふづき)

 コイツは敵にしたらいけないだぎゃよ。


 これは化け物だぎゃ! 人間じゃないぎゃ! 死神だぎゃッ!


 今もとんでもない速度でダンジョンを疾走しているだぎゃ、リョカの背の上で影移動でやっと着いて行ってるだぎゃよ。

 問題は魔物が一体も近寄る事すら出来ないでいる事だぎゃ。どんなに力ある魔物だろうと自らの間合いにすら入れないだぎゃ。

 既にダンジョンは最下層だぎゃよ。それでも速度が落ちないし、魔物との戦闘も一瞬だぎゃ。

 近づく前に魔物は息絶えているだぎゃよ。

 我の眼を以てしてもどうやっているのか分からなかっただぎゃ。

 それはおそらくだぎゃ、超神速での抜刀で出合い頭に斬ってるだぎゃよ。

 それも、最早砂粒かって位に細分化されて斬られているだぎゃ。

 例え何があろうと、こんな人物を敵にするなんて出来ないだぎゃよ。 味方であってもおっかないだぎゃ。

 ちょっとちびってしまったのも仕方がない事だぎゃよね?


 そして我、気付けばダンジョンコアの目の前にまで来てただぎゃよ。

 結局、我戦わずしてコアの前だぎゃ。

 これを壊すのが我の仕事だぎゃ。魔馬シャドウグリファトのリョカも手伝ってくれるだぎゃよ。

 ここのダンジョンコアは天使を象った石造だぎゃよ。

 動く事も無いからさっさと壊してしまうだぎゃ。

 正直、直ぐにでも帰りたいだぎゃよ。こわい。


「じゃあリョカ、我とタイミングを合わせるだぎゃよ」


 ヒンヒン言って答えるリョカだぎゃ。

 我は双扇を取り出して石造のダンジョンコアに攻撃を仕掛けるだぎゃ。

 コアは自己防衛の為に魔物を大量に召喚しだしただぎゃ。

 …………無駄だぎゃよ。

 召喚された魔物は全て、余すことなく、姿を現したその瞬間に粒子となるまで細かく斬り刻まれてるだぎゃよ。


 ――じゃ、これで終わりだぎゃッ!


 リョカの影魔術と我の双扇が呆気なく天使の銅像を破壊しただぎゃ。


 その瞬間、ダンジョン中に最後を知らせるが如く悲鳴の様な音が鳴り響いただぎゃ。




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