プロローグ
巨大な神殿に大勢の人間達が女神像へと祈りを捧げていた。
「主よ、非力なる我等が人類を護り給えッ!」
「「「主よ我等を護り給えッ!」」」
豪華な神官服を身に纏う老人神官長が大勢の人々の前で声を上げ祈りを捧げる。
「踏み躙られた大地に救いを与え給えッ!」
「「「救いを与え給えッ!」」」
この場に集まっている者達は皆疲れた表情を張り付け、僅かな希望に縋るように神官長を見上げていた。
その中には四肢の一部を失った者も決して少なくはない。
幼き我が子を抱き寄せ涙を流しながら救いを求める者。
親しき者を喪い怒りと悲しみにくれる者。
嘗ての豊かな暮らしを取り戻したく必死に祈る者。
この場に集まった者達は、全員が何らかの苦渋を舐めさせられた者達だ。
自らの力では何も出来ず誰しもが涙し、女神に希望を託す。
「護り給え、護り給え、護り給えッ!」
「「「護り給え、護り給え、護り給えッ!」」」
「救い給え、救い給え、救い給えッ!」
「「「救い給え、救い給え、救い給えッ!」」」
祈りの言葉が神殿内に木霊する。
折り重なる複雑な感情が入り交じり女神像へと届けられる。
この光景は何もこの場だけの事ではなかった。
世界の至る所で、コレと同じ様な人々が、同じ様に祈りを捧げていた。
「護り給え、救い給えッ!」
「「「護り給え、救い給えッ!」」」
その祈りは奇跡を起こす。
神へと届けられた祈りは、複雑な感情を鑑みて歪に叶えられた。
世界が悲鳴を上げる。
女神像の瞳から赤い涙が流れた。
そして悲劇は終わりを告げ、新たなる悲劇が始まりを迎えたのである。
ここに現実は葬られ、未知の物語が始まる!




