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十三遊戯  作者: 紅白饅十
6/50

外聞

 一方その頃、フラワーズの生活サーバーでは。


「見た?あっちのサーバー」

「見た見た。アニメキャラのキモオタポスターがそこらじゅうに貼られてキモすぎー」「イタ過ぎるでしょアレ」

「あんなゴミどもでも対等に接するなんて桜花さん達の器のデカさを感じるわ」


 フラワーズのリスナー達が向こうの生活サーバー『エターナル』に対しての各々感想を述べていた。


 事前にこれからの対戦相手がどんな奴らなのか確かめるためにフラワーズリスナーも相手のサーバーを覗いていた。しかし、そこに映っていたアニメキャラの等身大フィギュアやアニメキャラ達のポスターなどが大量に存在するアニオタ特有の空間を見たリスナー達はゲラゲラと笑う者もいれば、ただただドン引きする者の二つに分かれていた。


 そして、そんなリスナー達をフラワーズのメンバー達は生活サーバーの中心にそびえたつ城から見下ろしていた。


「いい感じに盛り上がってきましたね」


 フラワーズリーダーの桜花は自身のリスナー達を見ながらそう言った。

 しかしそんな、桜花を見ていたフラワーズメンバーの一人であるランは不満そうな顔になりながら口を開いた。


「おい桜花、本当にあのうぃんぷとかいう奴をメンバーに入れるのか?」


 フラワーズメンバーの一人であるランは自分達の勝利後に行われる、うぃんぷのメンバー加入イベントについては納得いっていない様子だった。


 フラワーズは桜花、ラン、イツキの三人で作った配信者グループだったが所属事務所の意向もあり、その後もイケメン配信者や実力系配信者を続々と加入させている。その結果、今では八人のアイドルグループと化していた。


 だがシナリオ攻略組と言われている通り、全員が高い水準の実力を持っており、新加入する人材には最低限の能力が求められていた。


 そんな中、突然の桜花独断のうぃんぷの加入話である。勝ったらサーバーを頂く所までは良いとしても仲間に入れるとなれば話が変わってくる。サンク2のプレイヤーとしての実績を持たないうぃんぷには突出した能力を持っているとは到底思えない。仮に持っていたとしてもあんな奴仲間にする必要性はないと感じていた。


「はい、しばらくはうちの動画編集作業や配信の裏方をやってもらおうと思っています」

「でもよ…」

「しょうがないですよ。流石に強引にサーバーを盗んだと言われたら僕達の外聞が悪くなりますからね」

 少しでも自分達の評判が落ちる可能性を桜花は懸念していた。その結果、桜花はうぃんぷとメンバー加入の話を渋々決断したのだった。


「それで表に出すつもりは?」


 メンバーの一人であり、この中で唯一のプロゲーマーでもあるトウリは静かに桜花に質問を投げかける。だが、それを聞いた桜花は鼻で笑った。


「無い無い(笑)。それに彼を加入させるのは一時的なものです。目的は彼が保有する個人サーバーの所有権ですからね」


 桜花は最初からうぃんぷを利用するだけ利用した後、適当なタイミングで脱退させるつもりなのだ。この発言から他メンバー達もそれを察した。


「でも俺達が持つサーバーの30倍規模の個人サーバーだぞ?素直に渡すと思うか?童貞拗らせてそうな奴に見えたが」


「それに関しては大丈夫ですラン君。今日の勝負に勝てば彼が持っているサーバーやその内部データの全ての権利が僕に移ることで確約が取れています」


 懐疑的なランを安心させる為に桜花はうぃんぷとの間で交わした電子契約書を出して見せつけ、それを見たランは安堵のため息を漏らした。


「それでもキモオタをメンバー呼びするのは一時的とはいえキツいな…」

「ホントそれ(笑)」

 今まで黙っていたメンバーも状況を理解してからは笑顔になりながら相槌してくる。


「それにしても何であんな弱小クランにウチのリスナーを送り込んだんだ?情報戦が重要とはいえそこまでするような相手なのか?」


 クラン戦においては相手のリアルタイムの情報が重要になる事は常識中の常識だった。

 しかし、あまり褒められた行為ではないので出来れば避けたい行為ではあったが、今回は格下のクラン相手にわざわざそれをやっていた。


「弱小だからですよラン君。クラン戦の上限人数は1000人だけどあちらは600人ぐらいしかいない。このままだとただの弱い者イジメになってこれも絵面的に不味いですからね」


 桜花は何よりも外面や外聞を気にする性格だったことからもその辺には敏感だった。それ故に当たり障りのないリスナーに声をかけて向こうに送りつけたのだ。何人かスパイを紛れさせて。


「まぁ送り込んだのはウチの雑魚…低レベルリスナーばかりだから、殆ど戦力として機能しないでしょう」


 桜花は自身のリスナーやプレイヤーにランクをつけており、自陣のランク戦参加者プレイヤーは常に上位1000人で固めていた。


 更にスパイを除けば低レベルリスナーや地雷系リスナーばかりを送り込んだ事でクラン戦の桜花リスナーとうぃんぷチームの割合は3:1に近い数字となっていた。


 これによって桜花は自分達の勝利を確信していたのだ。


「だな。もしかしたら何人かはこっちに有利な行動とるアホ女とかも出てくるかもな」


 このランの推測通り、うぃんぷ陣営の妨害目的で侵入しているプレイヤーは実際に存在はしていた。だが、誰もそれを止めるものはいない。


「ありそですね。大嫌いですよ、そういうの(笑)」

 この桜花の一言で一同笑いが巻き起こった。全員の頭の中にあった言葉は『勝ったな』の一言だけ。



 だがフラワーズのメンバーは知らない…相手の陣営に伝説が存在しているということに。


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