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動機不純ヒーローズ  作者: 古川モトイ
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ゲ・ボーの溝

翌朝、ゲボーはいそいそとローブを着込んでいた。巨人たちが走って離れていく。


「よし、始めよう。」


そういうとローブを着たままゲボーはどんどん巨大化していく。


「ローブ意味あるの?」


賢者は周りから見えない不確定な世界をいじって特殊な力を使っているのだが、ローブごと巨大化するのはなんだか違う気がする。あっという間に雲を抜けて頭の上のほうは青く霞がかかっている。


「ボブ、喋りにくい。上がって来い。」


ボブは黒煙に姿を変えると霧消しながら上へと昇った。


「どの辺だ?」


ボブは多分この辺が境だと思うあたりを示すと、ゲボーは指で砂に絵を書くように溝を掘っていく。地脈を操る力だと聞いていたのでてっきり地面が動くのかと思いきや、ほぼ指の力だ。あまりの大きさに忘れそうになるが、のっそりした動きでも恐ろしい速さで動いている。ゲボーが動く度にビョォオオオと風を切る音が聞こえる。これでザワを更地にしたのだろう。作業中にタカシの軍勢とザワの残党が戦う草原が見えた。ザワの残党から「前よりデカい!!」と悲鳴が聞こえる。両軍戦闘を中止して、逃げ惑っている。さすがのタカシもこれにはビビったらしく撤退している。


「ボブ!あれはなんじゃ!?」


老シーナから左腕を通して端的な質問が入った。


「師匠もうだいぶ近いですね。」

「もうすぐタカシの町じゃ…あれがもう一人の賢者か?」

「巨人族のゲボーさんです。今、国境線を引いて魔族がカウンスとキスタラ領に侵入しないようにしています。」


魔族とはいっても貧弱な空の民だが、この先何があるか分からないし、嘘はついていない。


この光景は人間と魔族の両陣営に衝撃を与えた。このとき引かれた深さ5mほどの溝はゲ・ボーの溝としてザワの消滅と伴に名前を残すことになる。

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