ドライブ
ルイスは落ち着きを取り戻して運転を再開した。
「ボクね元々人間が魔族って呼んでる側なの。世界の理に死んでから気づいちゃってね。他の賢者が色々変身できる代わりに、死体だけど生きてるように動けるの。でも死体だから、自分の体を色々交換したりしてね…だから、ボク臭くないでしょ?」
「むしろちょっといい匂いしますね。」
ポーは芳香剤の匂いがする。入浴剤のような。
「そうそう、ここに香炉が入ってるからね。」
胸をパカッと開けると、確かに香炉が収納してある。
「ザワの人間は少しおイタが過ぎたね。シャムロウは人間と我々のバランスを取るために頑張ったのに、シャムロウを脅した上に、転生者を『収穫』して我々を滅ぼそうとしたからね。」
暗くてよく見えなかったが、ポーは口から香炉の煙を吐いているように見える。
「ちょっとお灸すえておいたよ。だからもうしばらくこの街に転生者は帰ってこないよ。お城があった場所は次の建物を建てやすいように更地にしてもらった。一応教えといてあげるけど、もう一人賢者がいるの。ボクしか知らない人。その人がやった。」
「あー…」
この人はウソは言わない。多分、ザワは消えたのだろう。
「あと、タカシさんだっけ?ボブさんは見落としてることがあるよ?あ、ボブって呼んでいい?ボクのことポーって呼んでいいからさ。」
「あ、はい。タカシが?」
ルイスも話が気になるようだ。
「ボブさんとタカシはほぼ同じ時期に転生したって思ってるでしょ?」
「え、違うんですか!?」
ポーは頷いた。
「だって考えてみて。タカシとボブさんが同じ頃に転生したなら、ご近所さんじゃないとおかしいでしょ?」
ルイスが「あ、そうか!」と言って目を見開いた。
「タカシはじゃあ?」
ポーは首を振った。
「どうだろうね?本人に記憶があるかどうか分からないけど。何回転生してるんだろうね?というか、ボクから見ると…」
「ルイス、前見て運転しよう?」
「はい!」
ルイス両手でハンドルをしっかり握った。
「タカシくんは何回転生したら満足するんだろうね?」




