翌朝
警察署の中を動き回る。今のタイミングならどんな犯罪をやってもバレないと気づいていたが、何も思いつかなかった。
「○○番地のドラッグストアのATMがやられた!ジョンソンの店だ!行くぞ!」
ついて行く事にした。強盗から金を横取りは良さそうだ。数台のパトカーが現場に急行するところに滑り込むと車内の空気として同行した。警察官になった気分だ。サイレンを鳴らしながら交差点を突き進んでいると、トラックで逃げた3人組と他のパトカーがカーチェイスしている様子が無線で分かる。名残惜しいが、パトカーの窓から外へ出ると目一杯の速度でトラックを探した。途中、ゴミ箱を倒した気がして、あまり低い高さは良くないと考え直し高度を上げる。遠くのサイレンの音がだんだん近くなる。トラックは滅茶苦茶に逃げているようでどこを通って逃げたのかは上から見ると一目瞭然だ。追いつくのはなかなか骨が折れたが、トラックの荷台に辿り着いた。ボブは適当な爆裂魔法でATMの全面を吹っ飛ばすと、風に舞う現金を拾い集めた。
「兄貴、ATMから金が出てる!」
2人組の助手席に乗っていたほうが気がついたみたいだ。「それぐらいなら爆発の時点で気づけよ」と思いながらATMの中身をすっかり懐にしまう。ガス状のボクが何かをしまうのは奇妙に感じるかもしれないが、そもそも薬草を持ったままガス化できるのだ。今さら造作も無い。多少は警察にも協力しておくか…と考えて、トラックのガソリンタンクのフタを開けると中に進入して、ガソリンの供給を止める。しばらくするとトラックのエンジンが沈黙して、トラックが道の真ん中で立ち往生した。丁度、郊外に差し掛かったあたりで、道路の脇を川が流れている。
「畜生!燃料計が壊れてやがった!ガス欠だ!畜生!」
運転手がハンドルを殴りつける。助手席の男がライフルを構えて車外に飛び出すか考えている。
「カネはあきらめよう!逃げるぞ!」
2人が銃を抱えてトラックから転がりだし、車道ののり面を駆け下りる。
「ガソリンはいけそうだね。」
「あれ兄貴なんか言った?」
「お前こそ。」
ガソリンタンクから緑の帯が伸びて二人を取り巻く。ATMぶんどり犯の2人は激しくえづきはじめた。
「おぇぇぇええ!!おぇぇえ!!」
「ガソリン!?おえええええ!!」
銃を落としてゲロを吐きながらのり面を転げ落ちる。思ったよりエグイ効果だ。薬を投与するカンジでガソリンを嗅がせたのだが、これはなかなかひどい。駆けつけた警官に逮捕される2人を見おろしながら、ボブは留置所に帰ることにした。警察署の屋上の目立たないところに現金を隠して、毛布の中に戻る。ゆったりと眠って翌朝、警察署に迎えに来た母親にキレ散らかされた。警察署の正門を出たところで、母親は警察とボブに怒鳴り散らしながらいなくなった。ボブは警察署を出てしばらく歩くと、蒸発して屋上の現金を入手して、ベンチコートを回収するとポケットというポケットに現金をつめてパスポートを取りに行くことにした。




