留置所
見慣れたダウンタウンを歩きながら考える。
「お金稼がなきゃ。」
お金と言っても単なる生活費じゃない。世界中を飛びまわれるだけのお金が必要になる。術を使っても風より早く動けるわけではないし、不眠不休で働くのはぞっとする。
「この際…方法は何でもいいか。」
銀行にはお金がたくさんあるよなと考えながら町を歩く。そう考えていると目の前にパトカーが止まった。
「手を挙げろ!」
「へえ!?まだ何もやってません!?」
咄嗟に手を挙げると警官にも片腕が無いことが分かったらしい。
「部長こんな腕で盗みが出来ますか?」
「とりあえず、しょっぴけ!」
結局、何となく片腕だけに手錠をかけられてパトカーに載せられた。イタズラで通報されたんだろう。偽通報であとで警察に起こられるのはいたずらしたヤツだって分かっているはずなのに、連中は心底バカだから懲りない。逃げ出すのは簡単だが逃げると無実でも、大騒ぎになる。留置所に放り込まれると、すでに警官達はイタズラ通報を疑っている様子だ。
「母親と連絡取れません。」
そりゃそうだ。ぐっすり寝ている。太った白人の老警官が「すまねえな坊主、どっかケガしてないか?」と部屋の外から話しかけてきた。
「どこも。」
警官は「そりゃ良かった」と言いながら、もめているらしい若い警官達を眺めている。
「厄介なのに目をつけられてるみたいだな。お前をいじめてる首謀者はこの辺の大物の息子だって言うじゃないか。」
小声でそういう警官に無言で頷く。過去に何回かやられているイタズラだ。
「朝には帰れると思うが…気をつけろ。俺は久々にこの町に帰ってきたんだが、何かあったら俺の名前を出せ。少年課のオコーネルだ。」
「ありがとう、オコーネルさん。」
悪い人ではないが悪い人だなと感じた。正義のためには手段を選ばないタイプだろう。きっとどこかで偉い人だったに違いない。
「毛布借りれますか?」
「いいとも。」
オコーネルが毛布を持ってきたのを受け取るとボブは部屋の隅でそれにすっぽり包まって横になりながら蒸発した。




