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カレーの王様
道中、マリクは饒舌だった。
「タカシの町は問題がある。誰も気づいてない。」
「どういうこと?」
ボブもシーナはこのマリクという少し年上の男に好感を持っている。
「タカシの町は貿易で栄え始めている。世界中がタカシの町の物が欲しい。」
確かにそうかもしれない。タカシの町を経由して、魔族の国には食糧が流れ込み、逆に人間の世界には鉱物や加工品などが流れ込んでいる。
「タカシの町に今どれぐらい金があるか分かるか?その金は元々、魔族や人間が自分たちの世界でモノを売買するために使っていたものだ。それがタカシの町に流れ込んでいる。もうすぐ、人間も魔族も売買が難しくなる。」
ボブはこの話を理解するのに時間がかかった。シーナはボブよりも理解が早く、ボブはシーナとしばらく話し合うことでその理屈を理解した。
「ワタシはだから金を貰わなかった。物々交換とカレーの無料券を使った。でも、この前、カレーの無料券が物々交換に別のところで使われるのを見てしまった。もうすぐ、カレーの無料券は偽造される。だからその前に新しいモノを作る。」
ボブはやっと悟った。この男が考えていたのはカレーとスパイスの販売なんてちっぽけなモノじゃない。
「誰にも真似されない、精巧なカレーの無料券作る!」
もっと偉大なカレーのことを考えていたのだ。




