グルメブームの兆し
少量だが市場に畜産イノシシ肉が並ぶのは早かった。ボブが見に行くと、別にイノシシをつぶしたわけではなく、イノシシの尻の肉を少々拝借して、そこに土を塗りつけてある。
「オークの皆さんはそういうナゾテクニックをどこで教わるの?」
尻を切られてイノシシは少し不機嫌だが、反乱を起こすほどでもないようだ。いつしかイノシシは立派な柵に囲われたところで飼われていた。この辺はところどころに牧場が既に出来ていて、それぞれ得意な種族が働いている。ボブはそれを見ながら短命な種族について考えていた。収穫に一年かかる作物は短命な種族にとって喜びが少なすぎる。薬屋ギルドに戻ると奥の部屋で瞑想するといいながら煙になって部屋を抜け出した。
「ボブどこへ行く?」
「あ、師匠?」
その動きに気づいた老シーナの片腕が化けたグリーンワンドに呼び止められた。ボブは考えていることを話した。
「カブの類はとても早く収穫できる。種を送る手配をしよう。あと、魚を釣るのもいいかも知れんぞ。」
ボブは執務室のタカシに声をかけた。
「ボブ、姿を見せようよ。」
「あ、そうか。」
ボブはギルドに戻ると、人間の姿に戻ってタカシを尋ねた。師匠にされた話をかいつまんで話した。
「そうだ、魚も養殖できるんだ。」
この世界には魚の養殖技術がなさそうなのに、タカシはよく知っていた。
「まあ、元の世界の地元がそういう感じだったから。」
タカシは井戸が必要だと言い始めたので、ボブが井戸が湧きそうなところを作って指示する。作業5日ほどで水が出た。ボブはこの話は自分の手元からはなれたなと確信したのでタカシに任せて師匠からの荷物を待った。ボブは短命な魔族のための集落を計画して、タカシの作る養殖場を取り込むようにイメージを固めると街の大工に伝えてお任せした。エラスモが話を聞いてやってきた。
「面白そうなことしてますね。魚育てるの得意ですよ。」
ボブは妙に納得して、タカシにエラスモを斡旋した。
「サファーギンって半魚人でしょ?魚食べるの嫌がらないのかね?」
タカシがそういって悩む。
「多分、人間が哺乳類食べるように、魚人が魚類食うの抵抗無いんだよ。」
ボブが諭すとタカシは納得した。
「さすが賢者。鋭い。それより、最初の隊商が魔族の王都へ出るんだ。俺もついていこうと思う。留守番頼める?」
ボブは快諾した。とうとう、タカシの町に集まった品物が王都に運ばれる。
「ああ、そういえば、タカシ。薬屋ギルドで調味料も売りたいんだけどいい?」
「いいよ。」
ボブのかねてからの計画を実行に移すときがきた。




