薬屋から賢者になったヤツは植物に詳しい
ボブは再び風になった。魔族の国土を吹き抜ける。賢者の目で国土を俯瞰していく。
「なるほど、土のやりたいことと魔族が植えたい作物にズレがあるのか。」
ほどほど王都に近く広そうな土地をよく観察すると、だんだん土地がやりたいことが分かってきた。
「そんなに言うなら苗はどこで手に入れるんだ?」
ボブはしばらく探し回るとやっと苗を見つけた。丁重に引っこ抜く。
「で、もう一種類の苗は?」
そちらも見つけ出して引っこ抜く。
「よし、戻ろう。」
ボブは目当てのブツを手に入れて王城に戻った。そのころ王城では大王とフェーンとほか何人かが賢者の実在について議論していた。
「確かに3日前ここにいたんだよ。」
「全員で同じ幻を見たとか?」
「荷物がありますぞ?」
「マントも。」
「こういうマント、ワシ持っててここに置き忘れたんじゃなかろうか?」
そこにボブが現れた。
「賢者さまいるじゃん!」
「3日もどちらに?」
ボブは右手に二種類の土がついた苗を持っていた。
「これ受け取ってもらっていいですか?」
侍従が受け取る。
「ついてきてもらっていいですかね?」
その場にいた全員がぞろぞろとついていく。王都を歩いていると一行は先々で声をかけられた。
「この方が賢者さま?」
「ウチの子の怪我が急に治ったの、賢者さまがやったんかい?」
そして、ボブを先頭に歩く人数はだんだん増えた。城門を出てしばらく歩くと、ボブが目をつけた土地があった。
「この辺にこの苗植えて下さい。両方とも。」
侍従が苦戦していると何となくついてきた農民らしき人物がくわで耕して丁寧に苗を植え始めた。
「両方ともです。二種類とも同じ場所に植えるんです。」
「サトイモとショウガを一緒に植えるのか?へー。」
ボブは気になっていた別な畑へ向かうと「この雑草は抜かないほうがいいです」と言った。トウモロコシ畑の根元にマメのような雑草が生えようとしていた。トウモロコシの根が張る土地が疲弊を訴えていて、別の草を呼んでいるのだが、根付くたびに畑を作っている魔族が抜いてしまうと嘆いている。
ボブは王城に戻って1週間ほど逗留すると、ボブについて行きたいという魔族とタカシが欲しがりそうな資材をお供にタカシがいる駅へと帰っていった。




