薬草農園の小屋
ヘンゾから材料をカゴ一杯受け取ると、シーナの案内でボブは丘の上の工房へ向かった。
「意外と汚れてないジャン。」
どうも、定期的に誰かが手入れしているようで、工房の中はこざっぱりしていた。薬の調合に必要な道具も一通り揃っている、裏には薬草の畑もある。
「なるほどな、この畑を管理するために、誰かが定期的に手入れしてるのか。」
シーナはそういうと小屋の中に下がっている黒板をコツコツ叩いた。畑の手入れは当番制らしく、次の当番は明日くると書いてある。一応ここも薬屋ギルドの宿舎になっているらしく、誰でもギルドメンバーは利用できる旨が書かれているが、いまいち利点はないので誰も使っていないようだ。
「ここも空気がきれい。」
ボブはカウンスを離れてからずっと「空気がきれい」と言いまくっている。
「カウンスは臭いからなあ。」
シーナが背嚢を下ろして荷物の整理を始めた。
「ボブも荷物降ろせよ。」
シーナに促されてボブも背中に背負った荷物を降ろすと、シーナは勝手にあさって服を持って行ってしまう。
「え、何するの?」
「洗うんだよ。ここは生活に必要な道具一式揃ってるから。…っていうか、昔、ここに住んでたんだ。」
ボブがてきぱきと動くシーナに声をかけ損ねている間に、シーナはさっさと家事を進めている。
「仕事、したら?」
シーナに言われて、ボブは自分が仕事しに来たことをやっと思い出した。大きな薬研の洗浄を始めた。
「ここは水と空気がきれいなんだ。街からもそこそこ近い。昔はここが薬屋ギルドの主力の農園と工房だったんだ。今は街の中に移ったけど、本当は今でもここを使ったほうが質のいい薬が作れるはずなんだよ。」
「なんで街中に移したの?」
シーナはあまり関心がなさそうに
「交易で得られる材料の方が量が多いからだよ。カウンスにモノが集まって来るから。結局ここで薬を調合するにも、材料の大半はカウンスから運ばなきゃいけないし。」
「なるほどね。」
ボブは薬研を乾燥しながら、持ってきた材料を仕分け始めた。
「ああ、その棚使うの待って、今、拭くから。」
シーナが雑巾で棚を拭く。ボブは乾燥を待って仕分けを始めた。




