行商生活
ボブとシーナはキスタラを出ると、頻繁に街道を逸れて薬の原料を採集した。シーナは流石に良く知っていて、行き交う他の人間に道々薬も売りながらの旅だった。ボブもシーナに教えられて背嚢に緑の布を結んだ。ボブも知ってはいたが薬屋であることを示すそうで、盗賊に襲われにくくなるし、路銀にも困らない。
「町で薬を売る権利はだいたいそこのギルドマスターが持ってて、ボクたちはたまに店番頼まれるぐらいだけど、行商は薬屋ギルドの人間ならだれでも大丈夫なんだ。たまに、薬の原料を買ってくれって言う人もいるよ。」
「へえ」
シーナはボブに、薬屋ギルドは他のギルドに比べて、全体でもさほど人数は多くないことなども教えた。およそ街道沿いに歩いて移動するのだが、大体、1日歩くと次の宿場またはキャンプ地が見えてくる。
「急いで街道を進めば1日に2つ3つの宿場は移動できるけど、ボクらは薬屋だから薬作って売らないと生活できないからね。」
「うん、なんとなくこの世界の底辺薬屋の生活が見えてきた。」
二人が宿場の安い宿で寝支度をしながら話していた。シーナが急に目を丸くする。
「あれ?どうしたの?…あ、ごめん!底辺薬屋は言いすぎだった!ごめんなさい!」
ボブが謝ると、シーナは自分のヒザをたたいて笑い始めた。
「『底辺』って面白い表現!そう、ボクらは『底辺薬屋』だわ!アッハッハ!」
ボブはシーナは意外とよく笑う女性なんだなと分かった気がして嬉しくなった。




