新技術
ボブは宿屋の主人に場所をきいて薬屋ギルドに行くことにした。
「こんにちは。」
やはり誰もいない。しかし、真横は薬屋だった。薬屋を覗く。
「薬屋ギルドに誰も…」
「ああ、オレがギルドマスターだ。オイデンていうんだ。グリーンワンドは街中では隠せよ。なんか用かい?」
ボブが自分もギルドメンバーだと告げた。
「まあ、そうだろうな。勝手に入って好きにしててくれ。キスタラでの商売の権利はオレが持ってるから、店を構えて薬を売るのはご法度だが、薬があったら買い取るぜ?」
ボブは今は手元に薬は余ってないと告げて、ギルドの建物に入る。書棚は見覚えのある本も多いが、見たことのない本もある。適当に見繕って、座れそうな場所を探すと「珍しい。客?」と奥のほうから声がした。そばかすの栗毛の女性が立っている。
「その肌の色、転生者?薬屋なら隣だよ?」
ボブは慌ててギルドメンバーの証明書を見せると「転生者が薬屋ギルドに…珍しい。」と言ってまた奥に入っていった。ボブは気を取り直して本を読み始めた。やはり、ボブの知らない術が載っている。
「でも…」
はじめの町から勝手に持ち出した書にページを足すわけにもいかない。ボブは術の使い方を記したページに調合薬をはさんでおく方法を気に入っていた。
「自分だけの本を作るしかないか…」
「面白いね」
「うわぁ!」
ボブが考え事をしている間に先ほどの女性が近付いてきていた。
「グリーンワンドはボクも持ってはいるけど、そんな風に調合薬を持ち歩いているってことは、キミは術が使えるって事だ?」
ボブは後ろから覗き込まれる形で、その女性のまとめ髪が自分の頬に落ちかかっている状態にどぎまぎしながら、必死でこたえた。
「皆さんは使えないんですか?」
女性は自分のワンドを取り出しながらボブの前の机に腰掛けた。
「やってみたけど不安定で。盗賊ギルドとか自警団に依頼されて調合薬の発煙筒は作るけど、術として使うには不安だな。でも、キミはその術を安定できるんだろ?」
そう言いながらワンドを弄くっている。
「まあ…なんとか。」
「転生者サマは薬を扱わせても凄いのねえ…自分専用の術書作るの面白そうじゃん。やろうよ。そんな薬屋見たことないし。」
ボブは「あ、はい」となんとなく返事してしまった。
「ボクも手伝うからさ。」
ボブはうつむきがちに
「よろしくお願いします。」
と答えた。




