同行者たち
「タカシの方がケンカ強いのに非力って変だよね。」
ボブが橇を引きずりながら話す。
「手伝うよ?」
ボブはそういうつもりじゃないと首を振った。
「それよりタカシ、この3人どうしようね?」
タカシは立ち止まって考えている。
「どこか安全なところまで引きずっていって、開放する?本人たちに聞いてみようか。」
タカシはキスタラの街からも充分離れたのを確認する。一人の魔族のローブをめくって猿轡を緩めた。
「くそ!人間!離せ!」
タカシが「その内、離すよ」というと大人しくなった。
「タカシ、そろそろ休憩にしよう。あと、この人たちにも何か食べさせなきゃ。」
日が昇りかけている。トンコロの家からも充分離れていた。ボブとタカシの二人は黙々と野営の準備を始めた。
「悪いけどキミたちの武器はさっきの盗賊に全部あげちゃったからさ。」
丸腰にされた魔族3人は連結した腰紐をつけられた状態で地べたに座っている。ボブは残った2人の猿轡も外した。
「お前達は何者だ。」
ボブとタカシは顔を見合わせた。
「それはこっちの台詞だけど、転生者だよ。2人とも。」
タカシがそうこたえた。魔族たちは何となく殺されることは無いと考えて少し警戒を解いたようだが、タカシの持っているメイスを見て眉をひそめた。
「転生者が奴隷狩りをしているのか?」
タカシは腰に提げたメイスをたたいた。
「違う違う、魔族を殺さないように武器を刃物からこいつに持ち替えたの。」
ボブは自分で持っていた干し肉と固いパンをかじっている。魔族たちも各々の食料を食べ始めた。
「人間は魔族を殺すし、魔族は人間を殺すものだろう?」
ボブは「ボクたち転生者には関係ないかな?」と力なく笑った。
「魔族は転生者も殺したいの?」
魔族たちは顔を見合わせた。
「人間だと思っているので、疑問はなかった。そう言われてみると、そうだな…転生者が我々にとってどうとか考えたことはなかったな。」
ボブはその会話を見ながら胸騒ぎがしていた。魔族の1人のフワフワゴブリンがそわそわしているのだ。
「あっ!」
「どうしたボブ?」
魔族2人も気づいたようだ。口々に「ヤバい!ヤバい!」と言っている。ボブが急いでロープをほどくと、フワフワゴブリンが茂みに走っていった。程なくして、ブリブリと不快な音が聴こえてきた。




