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動機不純ヒーローズ  作者: 古川モトイ
35/104

回収

「お前ら金目の物を出せ!」


ボブとタカシの前に盗賊が飛び出した。


「あ!トンコロさん生きてる!」

「間に合ったみたいね!」


盗賊は困惑している。


「なんでオレの名前を知ってる?会ったことあったか!?」


タカシが「まあまあ」と言ってトンコロの家のほうへ向かう。


「あれ?オレの家まで知ってるの?か…カミさんのご親戚の方でした?」


二人はトンコロの疑問には応えないまま、トンコロの家へ向かう。


「あら、あなたお帰りなさい。お友だち?」


トンコロは「お前の親戚だと思って」と言っている。

今回の転生では二人は全く名を挙げていない為、トンコロも家族も2人のウワサも何も知らない。


「薬屋です。薬の行商人です。」


ボブはそういえば薬屋ギルドに加入していたのを思い出してそう名乗った。


「いらねえよ薬なんて。」


トンコロが訝しげにそういうとタカシが「まあまあ」と言ってなだめた。トンコロは口は悪いが頭も悪いらしく、結局二人は、トンコロの家の隅で泊めて貰う事になった。


「なんか、すいません」


そう言いながらあてがわれた粗末な毛布に包まって、眠ろうとしたところでタカシが声を殺してボブに合図した。


「近付いてくる。」


タカシはマントの下に隠していたメイスを取り出すとトンコロがギョッとした顔をした。


「お前ら人攫ひとさらいか!?」


ボブは「みんな静かに」とトンコロ一家を奥に追いやる。


「動かないで。多分、魔族が近付いてます。ボクたち転生者です。」


一家はボブの言葉に一応納得した様子で大人しくしている。二人は、まずボブの魔法で眠らせてみて、眠らなかった魔族はタカシが殴り倒す作戦で行くことにした。粗末な落とし窓を細く開けて外をうかがうタカシが


「間違いない連中だ」


と極めて小さな声でボブに教えた。ボブは薬屋ギルドから拝借してきた本を開き、片手にワンドを構える。ページの間にはさまれた意識を奪うべく調合された恐ろしい薬包が白くぼんやり輝くと、蒸気となってトンコロの家の落とし窓の隙間から外へ漏れ出て行く。タカシがボブの術が終わるのを確認して家から飛び出す。ボブは後ろからワンドを光らせて追いかける。


「何!?」


2体の魔族が倒れている。ボブの術が決まったのだろう。タカシが飛びかかる魔族は仲間が倒れたことに今気づいたらしい。慄く表情で武器を抜いた。


「ホッ!ホッ!」


タカシが声を出しながら魔族を叩きのめす。小柄なタカシにとっては相当に重い武器のようだ。一合二合と打ち合うが、タカシの猛攻に耐え切れるはずもなく、脳天にメイスが命中すると白目をむいて倒れた。


「死んでない?」


ボブが心配そうに駆け寄ると、タカシは


「この世界では刃物じゃないとよほど死なないらしい。鍛冶屋がそう言っていた。むしろ刃物に命を奪う属性があるんだそうだ。」


ボブは持参したロープで3体の魔物をふん縛ると、その辺の倒木で粗末な橇を作ると魔族を運べるようにした。


「お元気で」


ボブとタカシは呆然とするトンコロに別れを告げると、3体の魔族を運んで、魔族の領土を目指した。

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