薬屋にて
「なんでキミは生け捕りにしてくるの?」
ボブは「すいません」と薄ら笑いでばたつくウサギを肉屋の主人に手渡した。
「まあ、イキが良いのは良いことなんだけどね・・・はい、買取はこの金額。」
「ありがとうございます。」
結局、ボブはワンドを持っていた。しかし、タカシの言っていた回復魔法は使えるそぶりもない。仕方がないのでタカシが殴り倒したウサギを換金するお使いを二日ほどやっている。そのお金で回復薬を買い貯めるのだ。
「すいません。」
「ああ、あんたか。」
ボブは会釈すると薬屋をのぞいた。
「ずいぶん羽振りがいいね。」
薬屋にそういわれても力なくボブは笑うだけだ。
タカシに養われているようなものだ。
「ボクはあんまりお金はないので、仕事でも探そうかなって。」
薬屋は目を丸くした。
「あんたみたいな若い転生者が、魔族と戦わずに求職?へえ。」
ボブはやはり力なく笑った。
「本当は回復魔法を覚えたいんですが…なんか才能ナイみたいで…」
薬屋は変な顔をした。
「回復魔法なんてどこで聞いたんだい?」
「え?普通はありませんか?」
「神官が使うのはあくまでも法術だから、まあ回復の術とか呼ぶけど、転生者はまず使えないし。回復魔法っていうとなあ。」
ボブはその話を聞きながら、「少なくとも自分の故郷には魔法も法術もなかったな」と思った。
「本当にずっと昔には有ったらしいけど、オレたちが使ってる『薬草の術』の方が有能だったから無くなっちまったって聞いてるよ。」
「薬草の術?」
薬屋は手近な薬草を左手で掴むと、右手で印を結びながら呪文を唱えた。薬草が緑に輝くと店の外の往来に飛び出していった。
「なんですかそれ?」
「薬草の術としか呼んでないんだ。術に使う薬草は、予め術に使う用の術がかけてある。」
「弟子にしてください。」
薬屋は
「ダメだよ。薬屋ギルド行ってよ。オレは商売があるからさ。」
と言って、薬屋ギルドの場所を教えてくれた。




