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タカシ~転生、再び~
ヒーローに憧れている。でも現実の世界にはなんかぼんやりとした悪いものがあるだけで、世の中の悪いことを全部一手に引き受けてくれるヴィランはいない。だから戦う相手もいない。世の中のぼんやりとした悪と戦う側の人間もぼんやり悪い人に見える。どっちが正義でどっちが悪かも分からない。ボクはというと戦うほど体も丈夫ではない。通学途中、スマホで
「スマホなんてこの世界にないじゃん!」
飛び起きる。気がつくと背中に硬い感触がある。フードをかぶった連中に囲まれている。懐かしい鼻を突くひどい匂いが煙とともに立ち込めている。フードの連中は「成功だ!」と口々に呟いている。
「戻った…」
ボクは体のあちこちを叩いてみたり、頬を触ったりした。
「…夢…じゃない?帰って来たんだ…この日の、この場所に…」
思わず呟いた自分の言葉に身震いがした。




