襲撃者たち
ドラゴンを倒したところでタカシは盾とロングソードを失っていた。どちらも戦いの中で破壊されたのだ。代わりに斃れた魔族が持っていた曲刀を拝借している。
もはや、魔族はほとんどの戦力を失っているらしい。王城へ向かう途中に立ちふさがる魔族はいかにもまばらだった。王城の城門をボブの魔法で吹っ飛ばすと、破壊された扉の上から魔族とともに鉄の釜に入った熱湯が降ってきた。熱湯の中で魔族がのた打ち回る。タカシは哀れに思ってトドメを刺すと、王城の中へずんずん進んでいった。
「私はピエール魔界侯爵。お手合わせ願おう。」
今までの兵士と明らかに違う風体の魔族が長剣を持って現われた。
「よりによって慣れない剣のときに…」
タカシは悪態をつくと、相手の剣技には目もくれず、不恰好なフォームで思い切り蹴り飛ばすと、倒れる相手を一刀両断した。魔族は「魔族に…魔界王家に栄光を…」と呟いて絶命した。タカシはピエールと名乗った魔族の長剣を奪って二刀流に構えるとさらに王城を奥へ進んだ。
「ここだよね?」
広間の中に玉座がある。ボブとタカシが思い描いたとおりの魔王の城だ。そして玉座に座るものは誰もいない。
「タカシ!玉座の後ろに宝箱見つけたよ!」
「どうせ金貨でしょ?ほうっておこうよ。」
ボブは言われたとおりの金貨をポケットにねじ込むと城の中をうろうろし始めた。
「おかしいね、王様も誰もかもがいない。」
「逃げられたのかも。」
ボブが不意にひらめいた。
「地下に隠し通路があってそこから全員逃げ出す!…とか?」
タカシはボブの提案に飛びついた。がらんとした城内を下へ下へと降りていく。タカシが急に立ち止まる。何か言おうとしたボブをさえぎってタカシが聞き耳を立てた。ボブも釣られて耳を澄ませる。2人はハンドサインでこの先に何者かがいることを確認しあった。




