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動機不純ヒーローズ  作者: 古川モトイ
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門番

 魔族の王都は2人の接近を知っていた。立った2人の冒険者に伏兵がほぼ壊滅させられた事実には半信半疑だったが、必死で生き延びた魔族がもたらした情報を無下に出来るわけも無く、街の魔族たちは王城へ避難している。当然その事実をボブとタカシは知る由も無いが、王都の門は固く閉じられ、その前に魔族の兵士たちが立ちふさがっている。


「人間、お前、幻術を使うのか?」


タカシとボブに人間の言葉で話しかけてきた。


「幻術?」


いかにも屈強な兵士が武器を構えながらタカシを睨み付けた。


「あの大部隊をお前達2人だけでやったという話だ。幻を見せたんだろう。」

「残念。」


タカシは幻を疑った兵士を両手剣の長い刀身で一突きにした。


「ボブ、扉を吹っ飛ばせる?」

「多分出来るよ。」


ボブは衝撃波を飛ばす魔法を選んで重そうな扉を吹っ飛ばした。扉の向こうには魔族の兵士たちが待ち構えていたらしく、扉の下敷きになった数体の魔族が呻いている。


「タイス!タイス!」


魔族の1人がそう叫ぶと同時に、どこからかカンカンと鐘を打ち鳴らす音が聴こえてきた。タカシはその音を聞きながら、ロングソードを右へ左へとなぎ払う。城壁の上からばらばらと増援が飛び降りてきた。不意を突かれたボブが灰色の肌色をした巨人に両肩をガッチリとつかまれた。ボブは巨人の臭い息にうんざりしながら深呼吸すると、口から大量の火炎を吐いた。巨人が炎に包まれてボブが開放される。


「ツベッツ!!」


王都の家々の屋根の上に陣取った弓兵と魔術師たちが、ボブとタカシを目がけて一斉に矢と火球を放った。ボブは「ツベ」っていうのは、多分、魔族の言葉で「撃て」という意味なんだろうな…と考えながらワンドを振った。


「力の壁よ」


魔法の防御壁だ。壁に当たった火球が弱々しく弾ける。普段ボブが撃っている火球に比べると、かなり見劣りする。


「石の雨」


ボブは続けざまにストーンレインを唱えた。どこからともなく大量の石が降ってきて屋根の上の不運な刺客を打ち付ける。


「ちょっとボブ!?」

「あ、ごめん。」


タカシの文句にボブが謝った。ストーンレインは敵味方関係なく当たる。タカシはしばらくその辺の建物の壁際で頭を守っていたが、ストーンレインが止んだのを見計らって、また兵士たちをなぎ払いはじめた。兵士たちが何かを口々に叫びながら退却し始めた。


「ボブ、上からなんか来てる!」

「え?」


ボブが上を見上げると、ドラゴンだ。魔族に飼いならされたドラゴンが2人を目がけて急降下しようと言うところだった。


「旋風よォ!!」


ドラゴンを乱気流が阻む。翼で力強く風を打ってドラゴンが耐える。タカシは腰からショートソードを抜くとドラゴン目がけて投げた。ショートソードは回転しながらドラゴンの片方の翼を傷つけ、バランスが取れなくなったドラゴンは街の開けた広場のほうへ落ちていった。


「すごいねタカシ!」

「ボブのおかげだよ!」


無様に立ち上がるドラゴンの前に2人は立った。背中に乗せていた魔族の旗手は落下の衝撃で絶命したようだ。遣い手のいなくなったドラゴンが咆哮した。


「何だこの声!気絶しそうだ!」

「ピザピザピザピザピザ…」


ドラゴンの声は聞く人間の意識を刈り取る効果があるようで、ボブは大好きなピザを10回言う事で抵抗に成功した。タカシはややふらついている。ボブは懐から気付け薬を取り出すとタカシにフラスコごと投げつけた。割れたフラスコから飛び出す強烈な刺激臭によってタカシは意識を取り戻す。


「クッセー!!」

「タカシ!攻撃来るよ!」


タカシはドラゴンの前脚による強烈なうちおろしをロングソードを上段に構えて防ぐと同時に、ロングソードを回転させてドラゴンのヒジを打った。相手の力を利用したカウンター技だ。硬く太いドラゴンのひじ関節が一撃で破壊される。ドラゴンのウロコとともに体液が飛び散る。


「タカシそんな技いつ覚えたの!?」

「昔、youtubeで見た!」

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