早足
先鋒隊を離れてタカシとボブは本隊を追った。日が暮れたとはいえ大部隊の移動した痕跡を追うのは難しくない。
「タカシ、1回休憩したほうが良くない?」
「もうちょっとしたら多分キャンプに追いつくはずだから。」
ボブはタカシが見たこともないぐらい怒っているのを感じていた。
「あいつら、ムカツク。この世界の人間がわざわざあんなやつらと殺し合いする必要ないよ。」
「それは確かにそうだね。」
ボブもそこはタカシに完全に同意している。夜道を急ぐと野営の喧騒が聴こえてきた。歓声で迎え入れられるが、ボブもタカシも疲れていた。適当な場所を占拠して眠り始めた。翌朝、ボブとタカシは本隊の出発を待たずに先を急いだ。
「キャンプできる道具も食料もしっかりくすねたね。タカシは飲み水は自分の分持った?」
「大丈夫、水筒は元々自分のがあったし。」
ボブとタカシは帰るふりをして2人だけで進軍するつもりなのだ。タカシは地図の写しも1枚持ち出していた。
「地図によるとあと2日も進めば、魔族の首都みたいなところに辿り着くはずなんだ。出来れば本隊が到着する前に全部終わらせたいんだ。」
「分かってるよ。」
2人ともが無謀な話なのではないかと心のどこかで感じていたが、今、2人が感じている勢いは止まらなかった。翌日の夕刻に2人は魔族の王都らしき場所に辿り着いていた。




