キスタラ義勇軍
進軍が始まった。例の学者は流石にいないが、ボブとタカシに加えて2人を部隊に誘った盗賊、例の神官もいる。あえて、地図を発見した駅の辺りは通らない。兵数は全体で500人ほどだろうか。この世界の人口はあまり多くない。だからこそ転生者を呼ぶことで増える兵力が貴重なのだ。ボブとタカシは「魔族はどれほどの数いるのだろうか」と道中話した。
「野営をするぞ!」
彼らの部隊は最先鋒なので、後続のために少し早めに野営拠点を整え始める必要がある。まだ日は高いが、野営の準備が始まった。後続も続々と野営地にやってくる。キスタラ義勇軍の旗が揺れている。一回り大きなテントは、公国の本隊が宮廷から合流するまでの仮の本部だ。合流すれば最終的に5000程の軍勢になるため、補給係はひっきりなしに動き回っている。当然、人数分の食料が必要だからだ。各所に焜炉が設置されて食事の準備が始まった。
「敵の補給基地を襲えば食料もかなり手に入るだろう。」
ボブとタカシに盗賊が声をかけてきた。ここではキスタラ義勇軍盗賊ギルドマスター代理という肩書きだついている。ボブもタカシもやや浮かない顔をしている。単に疲れたということと、人が多いところがあまり得意ではないからだ。
「戦争はろくなもんじゃないが、せめて今は少しでも楽しい気分でいよう。」
盗賊は二人の肩を叩いて歩き去った。
「タカシ、食べ物貰いにいこう。」
「うん。」
タカシはなにやら引っかかる顔をしているが、ボブの勧めに素直に応じて立ち上がった。キスタラ義勇軍の旗はどんどん集まってくる。明日には城から来た公国軍本隊も合流する。
「これから、何人もの人間と魔族が死ぬのか。」
タカシが呟いた声にボブは気づかなかった。




