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動機不純ヒーローズ  作者: 古川モトイ
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作戦前夜

 あれから数日、ボブとタカシはキスタラに帰還していた。現在、宮廷では魔族に大打撃を与える大規模な軍事侵攻の計画が練られている。魔族の策略に乗ったふりをしながら、魔族から故意に漏洩された地点を目指して途中まで進軍し、進路を途中で変更して魔族の中枢を直接叩く作戦だ。この進路変更に関しては最高機密となっている。当然、経緯を知っているボブとタカシはこの事実は知っている。


「転生者サマ2人はどこの部隊に入ってもいいらしいな。」


見知った盗賊がやってきた。キスタラの冒険者の酒場に部屋をあてがわれて逗留している2人の様子を見に来たのだ。


「オレは陽動部隊になったぞ。またな!」


ボブとタカシは顔を見合わせた。盗賊は2人を陽動部隊に誘いに来たのだ。陽動部隊は騙されたふりをして偽の敵の本部に攻撃を仕掛け、味方の本隊が敵の本当の中枢を叩くべく進路変更した際には、敵の主力部隊をかく乱する役割を負うのだ。当然この作戦は一部の人間しか知らないので、陽動部隊に配属される兵士の大半は先鋒だと言う事実以外には何も知らされずに苛烈なポジションを引き受けることになる。


「まあ、ボクらは死んでも死なないらしいからいいんじゃない?」


タカシがそういうと。


「タカシがそういうなら。」


とボブも合意した。


「この世界はMMOの世界だよね。」


タカシはもう少しボブと話していたい様子で話題を変えた。


「ボクもそうだと思う。なんか色々なものがリアルじゃないね。」


タカシは頷きながら自分にあったことを話した。


「ボクが最後に覚えているのは電車のホームから線路に落ちる瞬間なんだ。向こうの世界では僕は死んでいるのかも。」


ボブとタカシはどうやってこの世界に来たのか、まだお互いには話していない。


「ボクは拳銃で撃たれて気づいたらこの世界だ。ボクもたぶん死んでるよ。」

「拳銃?」


ボブは気がけて明るく話そうとしているようだ。


「警察も普通の人も、皆が拳銃を持っていて、皆、万が一のときに使うはずなんだけど、毎日のように人が撃たれて死んでるよ。撃ち合いもある。」


タカシは「こんな風に前の世界でも、人に頼られたら、色々違ったのかも…」と小声で呟いてトイレにたった。

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