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尾行者たち
盗賊たちが話し込んでいる。ボブとタカシはなんとなく渡された味気ない保存食をかじりながらぽつりぽつりと会話している。
「なんか凄い世界にきちゃったね。」
「うん。」
ボブは、タカシの気の抜けた「うん」に少しテンションを下げながら話を続けた。
「魔族と戦うのかな。」
「…うん」
「このハナシ、興味ない?」
タカシは保存食をかじる動きを止めて少し考えている様子だ。
「なんか足りない気がするんだ。」
「え?」
タカシはそう言いながらもその「なんか」が分からないらしい。
「大事な何かがこの世界にはない。」
ボブはタカシがそう言うのを聞きながら、元いた世界のことを思い出した。ボブをいじめる人間も、アルコール臭くてボブに無関心な義理の父も、この世界にはいない。治安はこの世界も悪いかもしれないが、ボブの元いた場所に比べればなんと言う事はない。新鮮な野菜は美味しい。
「何か…」
ボブにはタカシの言う何かが分からなかった。タカシもそれが何か分からないでいた。




