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動機不純ヒーローズ  作者: 古川モトイ
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野営の夜

 ボブとタカシは昨夜も2人の近くにいた屈強な盗賊と、キスタラの神殿から派遣された神官、さらにキスタラ官庁から依頼されたという学者を同伴して地図の場所へ向かう。当然、地図は罠だと考えているので警戒を怠る事はなかったが、ボブとタカシにとっては初めての本格的なパーティーでの冒険なので、いくばくか心が躍っているようだ。


「このあたりはキスタラ管内とはいえ、ほとんど人も寄り付かない場所です。たまたま今は家畜の放牧をしているようですね。」


学者が説明していると、騒がしく何人かの少年が走り抜けていく。思い思いに棍棒や縄を持っている。


「おそらく野生の動物を捕まえて家畜にしようと考えているのでしょう。牧童たちは仕事柄、無傷で動物を捕まえるのが得意です。」


一行はのどかな景色に見とれてばかりではいられないと先を急いだ。夕方にはキャンプを張る。


「予定では明日の昼過ぎには到着するでしょう。このあたりは寒いのでしっかり防寒して下さい。」


ボブとタカシは本格的な野営は初めてだったが、他の3人は熟練しているようで不安はなかった。この世界の住人は転生者の扱いに慣れてきている。


「転生してこの世界に来た方々は野営などの基礎的な技術を身につけてきません。そして、この世界では不安定な存在で、魔物に倒されても死体が残らないのです。」


今回の冒険を始終リードしている学者がそう語った。学者以外の全員が驚いた様子だ。神官が口を開く。


「確かに転生者は謎が多いですね。わずかな例外を除いて転生者には回復の術が効かない。これは転生者が私たちの神を信仰していないからだと考えられています。今のところ例外は転生者で神官になった1人のみですね。そして、彼女は再度転生してどこかへ消えました。」


その話を聞いて盗賊も口を開いた。


「転生者の中には、同じこの世界にもう一度転生する奴がいるって聞いたことがある。この世界でうっかり死んだところで、最初に転生した場面に戻ったとか。」


ボブとタカシの2人は他人事のようにその話を聞いていた。


「しかし、お2人は転生者としても珍しい。ほとんどの転生者がこの世界が快適ではないと言ってゴネる所を、当たり障りのないお使いをさせてなだめなければいけないのに、お2人はチンケなお使いなど目もくれずに野獣と魔物を狩りまくったそうではないですか。凄まじい戦闘力だとか。」


単に2人は、何かのレールに乗り損ねただけで、それは充分自覚している。


「いや、前の世界にいたときから、ちゃんとするのが苦手で…」

「前のところに比べたら、こっちは皆優しいし…」


神官と盗賊、学者の3人は転生者2人の物言いから何かを感じ取った。


「ギルドマスターに拾われなかったらオレもずっと変わらずハミダシ者だったから…どこの世界もあんまり変わらないのかもな。」


盗賊がそう呟く。ボブとタカシが知る星空とは星の配置が全く異なる星空を見上げた。


「雨が降りそうですね。」


学者がそういうと雨がぽつぽつ降り始めた。

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