1年
それからずっとボクは、タカシに言えなかったことが何だったのか考え続けた。タカシの街は、結局これまでもタカシぬきでも回っていたのでいいとして、自分がはじめたいわゆる『賢者の街』の運営はしなくてはいけない。ボクは街へ戻ると、再び町の発展に力を注いだ。でも、そうしながら頭の片隅でタカシにいえなかったことを、ああでもない、こうでもないと考えていた。きっと、タカシのことなので、再度転生して、今ボクがいる世界とは少し違う同じ世界で活躍しているだろう。その横にボクはいるだろうか。また、タカシの街をつくるのだろうか。記憶は引き継げるのだろうか。そして、ボクのことは忘れてしまっているのだろうか。そう考えていると、少なくともこの世界のタカシは消えたという事実に胸が苦しくなる。
「もっと、お節介でも良かったんだと、ボクも思ってるよ。」
不意にシーナが背後でそう言った。
「そのことを考えてたんでしょ?」
ボクは頷いた。
「ボクはボクなりにタカシのことは凄いヤツだと思ってたんだよ。親しくはなかったけど。」
シーナの声の響きの余韻が耳に残る。ふと気づいたらすっかり日は沈み、街は静まり返っていた。
「1年、街のために頑張って働いたら、タカシのために何かしようよ。」
それから、ボクは時折、シーナと2人でタカシの話をするようになった。この世界でボクとタカシが初めて会ったときの話から順番にシーナに聞いてもらった。話しているうちに記憶は少し鮮明になっていった。タカシという転生者の強さと弱さを、やっと冷静に見直す時間だった。そして、タカシにはボクにもわからないナゾがあった。それはタカシが最初に転生した時から、ボクと合うまで、何回、再転生したんだろうということだった。ボクとシーナは滅びたザワの残党を探して、転生者の召還の儀式をちょっとずつ解析して、ボクが召還されたタイミングとタカシが召還されたタイミングは地球の実時間でどれぐらい開きがあるのか推測を試みた。問題は転生前に住んでいたボクの街と、タカシの居場所の位置がどれぐらいの距離か全く分からなかったことだったが、地理に詳しい別の転生者の助けを受けて1年ほどじゃないかという結論に達した。
そうしている間に、1年がたった。




