内職
「さて、どっちだったけな?」
ボクにはこの毒ガスを消滅させる力は無い。かわりに毒ガスを選択的に一方向へ流れるようにすることは出来る。気体に強いのがここにきてずいぶん役に立ちそうだ。発生した毒ガスは1ケ所に集めて泥に吸収させる。話し合った図面を見ながら毒ガスの流れる経路を決める。
「こっちの泥沼であってるよね?」
毒ガスはいわば見えないパイプを通って泥沼に輸送されている。グリーンワンドを取り出すと、その見えないパイプの維持のために地面に突き立てた。
「これでよし。」
少し前に結界について考えた折に、「グリーンワンドを媒体に結界を張って維持する」方法を思いついた。これはその応用だ。
「ワンドたくさん巻かなきゃ。」
街に結界を張るのだ。上手く行けば温泉の熱を使って年中暖かな場所を作ることが出来る。ガス問題が解決すると街の建造が始まった。とはいっても建材も無尽蔵にあるわけではないので簡易なテント村のようなモノを手始めに作ることになるけれど、気温が温暖であればテントでも快適に過ごせるだろう。テントを張る作業を他の人間にまかせっきりにして、ボブとシーナは延々と芯棒からワンドを巻いて作る作業を続けた。
「街があったかいのは良いけど、こんなにたくさんワンド作って、どれだけの広さに結界を張るつもり?」
「畑を作りたいんだ。温室って言うんだけど。」
シーナが憮然とした。
「温室ぐらい分かる。」
「この世界にもあるのね。ボクが見てないだけか?」
黙々と芯に糸を巻いていく。精神力がワンドに吸収されていく。
「ボクは一旦休憩。ボブみたいに無尽蔵にマナが使えるわけじゃないから。」
「分かってるよ。手伝ってくれてありがとう。」
テントの外からドスドスと何かを踏み固めている音が聞こえる。多分道路か何かを作っているのだろう。テントを出てシーナが
「ここは将来大通りになるところだから、もっと広めにとって。」
外からシーナの声も聞こえてくる。その声を聞きながら、ボクはさらにワンドを増産した。
いつのまにかコメントがつかないまま100話になっておりました。口頭で感想がいただけることがあります。




