手がかり
追跡は盗賊ギルドの精鋭に任せて、ボブとタカシは盗賊ギルドの一室で仮眠を取らせてもらった。昼過ぎに目を覚ますと食事があてがわれ、ギルドマスターに呼び出された。地図が広げられている。例のトンコロが2人に託した地図だ。
「罠だろうね。」
ギルドマスターがそう吐き捨てる。
「ボクたちもそう思います。」
タカシがボブの頷く様子をみながらそう応えた。
「トンコロはかわいそうなヤツだったが、感傷的になっている暇はなさそうだね。キスタラ管内に魔族が入り込んで何かしていた事実の方が重い。捕獲した魔族は魔族の中でも下っ端中の下っ端でゴブリンの中でもフワフワゴブリン種の一種だ。知能が低すぎてほとんど情報が引き出せない。見た目の割りにひ弱すぎて拷問すら出来ない。…唯一の方法は食べ物をあげると何でも話すことだが、そんなヤツにそもそも重要な情報を魔族たちが話すとはとても思えない。」
「では殺すんですか?」
ギルドマスターが首を振った。
「トンコロの死への報復にフワフワゴブリンを殺した場合、トンコロは間抜けな死に方をしたと世間に広めるようなものだ。残された妻子がバカにされる。…転生者にはこの価値観は分からんかもしれないが、喩えるなら柱の角に小指をぶつけて死んだ恨みに柱を市中引き回すみたいなもんだよ。」
そこへ盗賊が1人入ってきた。
「そのフワフワゴブリンと思われるヤツのことですが、一応メシを食わせてみましたが役に立つようなことは何も知りません。」
「だろうね。なら手がかりはこの地図だけだ。」
ギルドマスターはそう言いながら地図を指でとんとんと叩く。
「宝箱があるように見えますね。」
ボブとタカシの目から見ても、それは宝箱がある洞窟の地図に見えている。
「罠に…掛かるしかないのかもね。しかもここはキスタラの管内の洞窟に見える。」
ボブとタカシはギルドマスターからの手紙を受け取るとキスタラの官庁へ赴き、そこで改めて地図で書かれた洞窟の探索を依頼された。




