廊下の窓際で、2人きり。リキが初の大会に!?
――リキは、初めて、恋をした。
夜は余り寝付けず、いつもより早く起きて、
早めに学校に行った。
――職員室に行き、鍵を取ろうと思ったが、
開いていなかったので、
クラスの前の、廊下の窓際で待つ事にした。
――そしたら遠くから足音が聞こえた。
――その足音は、どんどん大きくなり、
目の前で止まる。
「リキくん。おはよー!」
――その声の主は、葵だった。
おはよう。どうしたの?早いね。
「リキくんこそ、早いじゃん。
今日は、早く起きたから、早めに学校行ったの」
俺もそうだよ。昨日は、何だか寝付きが悪くて、
早めに学校に、行こうと思って。
「奇遇だね」
――昨日の帰り、葵は涙も見せたが、
今日はいつも通り元気そうだ。
「そう言えば、リキくん?」
なに?
「今週の日曜日に、月例マラソンの、
大会があるんだけど、良かったら一緒に出ない?」
月例マラソン?大会とか勝手に出ても、
大丈夫なの?
「うん。大丈夫」
「月例は、エントリー費も、初回は1500円。
2回目以降は、1000円で、
種目、出放題だから、最高だよ」
なるほど。いいね。種目は何があるの?
「1km、3km、5km、10km、20km」
「種目の時間が被る事も、あるから、
出ても二種目までかな」
そっか。じゃあ俺は、
被ってなかったら、5kmと10kmに出ようかな。
「本当!?リキ君出てくれるんだ。
5kmと10kmは、被って無いよ。
私も、5kmにエントリーする」
「でも、気を付けてね。
中学は、大会で走っても、3kmが基本。
それは、まだ体が完全に出来てない、
中学生には、無理をさせないように。
って、事だと思うから」
――高校では、10km。大学では20km以上と、
少しづつ大会等の、距離も伸びていく。
分かった。無理はしないようにする。
――リキがそう言うと、職員室の鍵が開いた。
じゃあ、鍵、取ってくるね。
「うん」
――リキは鍵を持ってきて、教室を開けた。
「ありがとう」
「また少し教室で話そっか」
――他に、誰もいない教室で、2人きり。
リキに取って、葵と話せるのは、
最高に、幸せな時間だった。
――放課後。今日も、部活が終わった後、
葵と、2人で一緒に帰った。
あのさ。今日、夜、走らない?
「いいよ。家、帰ったら走ろっか」
月例まで後、3日だし、のんびりゆっくり走ろう。
「分かった」
――葵と、ゆっくり走りながら、
色々話をした。
葵って、いつから走ってるの?
「小学3年生の頃からだよ。お父さんと、
一緒に月例マラソン走って、
そこから走るようになったの」
「小さな頃から、月例で一緒に走ってる、
前田アヤって言う、同級生の子がいるんだけど、
その子にはいつも勝てないの」
そうなんだ。1度も勝った事無いの?
「そう。いつも良い勝負には、なるんだけど、
ラストの競り合いでいつも、負ける事が多いかな。
だから、日曜日は、リベンジしてやろうと思ってるの」
そっか。それはいいね。俺も、葵に負けないから。
「言ったなー。それじゃあ日曜日は、私と勝負だ。
私が勝ったら1つ言う事を聞くように。
アヤちゃんにも、リキ君にも私は負けない」
何それ?でも、俺だって負けないよ。
日曜日が楽しみになってきたね。
――結局、その日は、葵と話をしながら、
1時間位、ゆっくり走った。
「それじゃあリキ君また明日、学校で」
うん。じゃあね。
――そして、日曜日、月例マラソンの日がやってきた。