リキと葵が一緒に下校!?葵の過去が明らかになる!
「良かったら。一緒に帰らない?」
――葵は、リキにそう言った。
――葵は、顔も可愛いし、運動もできる。
明るくて元気で、男女問わず人気がある存在だ。
――そんな葵が、リキに、帰ろうと言っている。
いいよ。帰ろう。
――クールな振りをしているが、リキは緊張していた。
いつも帰宅部として、帰るのは1人だったし、
何より女子が苦手だ。
「ありがとう。それじゃあ。一緒に帰ろっか」
「私、自転車だから歩って帰ろう」
あれ?確か、雪山さんって、
反対方向だったよね?
「うん。前の家はね」
「今は住んでた家を、新しくリフォームしてるから、
今は、リキ君の家の近くの、住宅街に住んでるの」
そうだったんだ。帰宅部として、
先に帰宅してたから、分からなかったよ。
リキがそう言うと、葵は、思い切り笑った。
「それじゃあ、行こっか」
ーー2人は一緒に歩き出し、校門を抜けた。
――2人の距離は近く、手を伸ばせば届く距離だ。
リキは、意識をしてしまい、話せなくなった。
ーー沈黙だけが続く。
ーーリキは、歩ってみて初めて、
歩幅を合わせる事が、難しい事を知った。
「あの。さ」
「リキ君に話したい事があるの?」
どうしたの?
「朝の事」
あの事ならもういいよ。
「違うの。話を聞いて欲しいの」
話を?
「ダメ……かな?」
――突然、目をじっと見つめて、そう言ってきた、
葵を見て、リキの心拍数は上がった。
いいよ。話して。
「私ね……」
――葵は話し出した。
私ね。リキ君の事を凄いなって、思ってるんだ。
前は、周りからもバカにされて来たのに、
それでも、挫けずに前を向いて。
私は、去年も、チームでは、3番目位の実力で、
1年生だったけど、全国をかけた、11月の駅伝も、
走れると思ってた。
でも、いざ、記録会や、大会に出て走ると、
力を出せないの。
いつもより力んでしまって、空回りしたり、
普段見たいな走りができない。
チームの代表を決める、学校での、
タイムトライアルでも、
結果を出せなくて、結局、私は代表になれなかった。
だから、朝、リキくんに、
「代表になるのなんて余裕でしょ?」
みたいな事、言われて、
凄く頭に来て。しまったの。
だから、ごめん。ごめんね。
――葵は怒鳴ってしまった理由を説明して、謝罪した。
いや。こちらこそ、ごめん。
雪村さんの事、何も分かって無かったのに、
そんな事言っちゃって。
雪村さんは、学年でも1番長距離が速いから、
代表に入るのも、簡単なのかと思ってた。
でも、違ったんだね。
「うん。そう。私は弱いの。リキ君みたいに強くない」
いや、俺も、強く無いよ。
弱い自分を隠しているだけ。
本当は弱くて、逃げたくて、
楽な道を進んで行きたいって、思う時もある。
だけど、そんな自分と戦いながら、
今の自分があるだけだよ。
「そっか。安心した。
リキ君でもそんな時があるんだ」
「私は、いつも明るく振舞っているけど、
それは、仮面を見せてるだけ。
自分の弱さを隠していれば、痛くされないから。
本当は、苦しくて、どうすればいいか分からなくて。
だけど誰にも、頼れないんだ」
そっか。
――そう言うと、リキは何も言わず、
葵を抱きしめた。
――葵は号泣し、リキに、「ありがとう」と、繰り返した。
ねっ。雪村さん。何かあったらまた話してよ。
「嫌だ」
えっ!?
「名前で呼んで!葵って」
えっ……急に言われてもこまる。
「良いから」
「言って」
あ、葵。
「よしっ!」
――そう言うと葵は笑った。
「あっ!もうそろそろ家だね」
「私、ここを右だから」
――そう言って葵が帰ろうとした時、
リキが声をかけた。
待って!
あのさ。今度一緒に練習しない?
俺、もっと練習して強くなりたいし、
葵と、一緒にいたい。
――そう、リキが言うと、葵はニッコリ笑って
「いいよ」と、答えた。
「それじゃあ。またね」
うん。また明日。
――リキは葵を見送り、家に帰った。
――リキは気付いていた。
…
「この胸の高鳴り。この気持ち。
初めて抱くこの感情は、
恋そのものだった」