リキに迫る女性の影!新キャラ登場!!!
もう今日で、6月か。
朝の勉強を終え、リキは、教室の窓から外を見ていた。
そう言えば、中間テストも、
数学が帰ってきたら終わりだ。
点数は、国語の5点以外、全て0点だった。
だが、学校の先生は怒らなかった。
それは、最近の、リキの授業態度や、
変化に気付いていて、
リキを認め始めているからだ。
ーー最近は、周りの態度も変わってきた。
以前は、バカにされたり、見下される事も、
多かったが、そのような事は無くなってきた。
ーーでも、本当に信頼できる友達はいないな。
結局、周りの人間の、「本当の顔」は、
今まで見てきたから、
簡単に仲間になったり、信頼できる訳では無い。
でもそれでも、褒めてくれたり、
少しでも、認めてくれるのは、やっぱり嬉しい。
――その時だった。
「リキくん。おはよ!」
明るく元気な声で、挨拶して来たのは、
陸上部長距離の雪山葵だった。
「あぁ、雪山さん。 おはよ」
そう、小さな声で、返事をした。
「何でそんな小さな声なの?
いつもは凄い挨拶とか、声大きいのに笑」
ーー俺は苦手だ。殆ど話した事も無いのに、
やけにフレンドリーで明るい人は。
そもそも、女子と話すの苦手……
うーん……女子と話すの苦手だから。ごめん。
「いや、別に謝る事ないよ。それより、
リキ君の、昨日の走り凄かったね?」
でも、まだまだだよ。もっと速くなって、
11月の、全国をかけた、中学駅伝の予選には、
代表で出るつもりだから。
「ええっ!?本当に。私も実は、
女子の代表狙ってるんだ!
って言うか、その前の、
10月に地区の予選があるけどね」
そうなんだ。でも、雪山さんなら、
代表も余裕じゃ無いの? だって、凄い速いし。
ーーその言葉を言った後、葵の表情は曇った。
「よっ……余裕なんかじゃないよ。
ライバルだって沢山いるし、
皆、必死に五つの席狙ってるの!
ふざけないでよ」
ーー少しだけ葵は、声を荒げた。
ーーおいおい。雪山どうしたんだ?
ーー周りがざわつく。
「リキくん。ごめん」
そう言うと、葵は、席へ戻って行った。
なんかマズイ事、言っちゃったかな?
ーーだって雪山さんは、学年の女子で、
1番速いじゃないか?
学校全体で見ても、3番以内には入ってるはずだ。
女子の、全国をかけた中学駅伝は、
5区間だから、雪山さんなら代表になれるはず。
「なのに何故?」
ーー授業も終わり、いつもなら掃除をして、
ここで、リキは、帰宅するが、
今日からは陸上部。初めての練習に向かう。
グラウンドに向かうと、陸上部員が沢山いた。
中には、俺の噂をしてる奴もいるみたいだ。
ーーだが関係ない。
俺は、仲良しこよしする為に、
来たんじゃ無い。
そう、一人で気合を入れていた時、
誰かが思い切り、左肩を叩いた。
リキが振り返ると、そこには、
笑顔で笑う、一人の男子部員がいた。
「よう!今日から入るんだってな。
俺二年の、小田陽太よろしくな」
リキは、「一応」よろしくと言ったが、
うんざりしてた。
また、ほぼ初対面なのに、
明るくてフレンドリーな奴だ。
そもそも何故、5話目にして、
新キャラが沢山出てくるんだ!?
全く、作者は何考えてんだよ。
ーリキは、一人で溜め息をついた。
ーーさて、皆集まってくれ、
今日から入部する、大山リキ君だ。
ーーそれじゃあ、リキ君、皆の前で挨拶して。
「こんにちは。今日から入部する、
大山リキです。よろしくお願いします」
ーーリキは、大きな声で、短くまとめて話した。
あたり障りのないように。
ーーそれじゃあ、リキ君は、今日から、
長距離部員として活動する。
挨拶は、短かかったけれど、
リキ君は、エースを狙うと僕に言ってきた。
皆、リキ君に負けないように、よろしく頼む。
ーー部員一同は、大きな返事をしたが、
リキに向けられた視線は厳しくなった。
ーーあいつ帰宅部だった奴だよな?
何でウチに入ったんだよ?
ーー今頃入ってくるなんて迷惑。
ーーこの前少し速かったからって、
調子に乗ってるなあいつ。
そんな言葉と視線が、リキに向けられた。
「クソッ。クソッ。金子っ!!!!!!」
(顧問の苗字)
「余計な事、言いやがって。
俺はそんな事、一言も言っていないのに」
「クソッ!腹が立つ。怒りをエネルギーに変えて、
俺を、認めさせてやる」
ーーリキは初めての練習でも、
積極的に前を走り、チームで1番声を出した。
「俺は、不器用だ。難しい事は得意じゃねぇ。
それだったら、声を出す位は、
チーム1になってやるよ」
チームメイトの応援。サポート。
そして走りで引っ張る。
大真面目なリキは、全力で陸上にも取り組んだ。
一日の練習を終えた時、
部員の冷ややかな目は無かった。
どうやら、リキを受け入れてくれたみたいだ。
ーー帰りは練習の疲れもあったので、
歩いて帰宅しようした。
ーーそしたら。
練習が終わった、葵と、駐輪場でばったり会った。
ーー今日の朝、葵に少し怒鳴られてから、
何だか気まずい。
だけど葵は、
「リキ君。練習お疲れ様」と、
元気に声をかけて来た。
ーーそして、次の一言に、リキは衝撃を受けた。
「良かったら一緒に帰らない?」