中乃崎中VS浜平中!戦いの行方はどうなる!?
「宮森先輩が、必死で繋いだ襷」
「俺も必死で繋ぐ」
――小田は、気合いを入れて走っていた。
「差は32秒ある。だけど浜平中はエースと、準エースを、
既に起用した。まだ分からない」
「俺は、俺の走りをする」
――気合いは入っていたが、小田はリラックスしていた。
――小田は1kmを3分10秒で通過する。
一方、先頭を走る、浜平中の3年、宮本は、
1kmを3分12秒で通過した。
――そのままレースは進み2km。
小田はペースをキープし、
2kmを6分20秒で通過した。
「ラスト1km。まだ余力はある。ここから」
――小田はスピードを上げる。
「宮森先輩に、あんな走りを見せられちゃ、
俺も限界まで追い込むしか無いでしょ」
――どんどんスピードを上げる。
そして小田は襷を繋いだ。
小田のタイムは、9分25秒。
自己ベストを4秒更新した。
先頭の浜平中の宮本のタイムは、9分40秒。
――この区間で差は15縮み、先頭との差は17秒差になった。
中乃崎中の4区は、3年の清水。
「小田が差を縮めてくれたから、浜平中の背中が見える」
「あの、背中との差を俺が縮める」
――清水はスタートした。
「17秒差なら100Mも差が無い。どんどん攻めろ」
――清水は積極的に走った。
しかし、差は縮まらない。
浜平中の選手は3年の大野だ。
「中乃崎に詰められてるのは分かっている」
「スタートから一気に離してやる」
――中々詰まらない距離。
しかし、差も広がらない。
清水と大野はほぼ同じペースで走っていた。
――1kmの通過は2人共、3分06秒。
清水の3kmのベストは9分37秒。
明らかにペースが速かった。
――チッ……息が乱れる……
清水はペースを落とした。
しかし、大野もそれは同じだった。
「後ろを意識し過ぎて飛ばし過ぎた」
2人はシンクロをしてるかのようだった。
――2kmの通過も同じタイムの6分26秒。
中々、縮まらない距離、
しかし、離れもしない。
そのままレースは進み、ラスト500M。
「後、少しだけ余力がある。力を全部出し切れ」
――清水は一気にギアを変えスパートをする。
大野のペースは変わらず、少しづつ距離が縮む。
大野も清水の気配に気付き、
スピードを上げるが、
清水のスピードの方が勝っていた。
そして少し距離を詰め、清水は襷を渡した。
清水のタイムは、9分42秒。
大野のタイムは、9分45秒。
――先頭との差は14秒に縮んだ」
中乃崎中の5区は水原。
――水原はスタートした。
「清水と俺は、宮森や金口みたいに、
エース級の走りは出来ない。だけど、
俺は俺の戦い方をすればいいんだ」
――水原は自分のペースで走り出した。
浜平中の5区は3年の安藤。
「中乃崎は、もうエースは使い切った。
後は、俺で、差を開けば勝ちだ」
――安藤はどんどんペースを上げる。
「先頭は気持ち良い」
――安藤の1kmの通過は3分01秒だった。
しかし、水原は動じない。
――水原の1kmの通過は3分15秒。
既に差は28秒に開いた。
「このままのペースで行け」
――水原はペースをキープした。
その頃、先頭の安藤のペースは落ちていた。
「ヤベェ……」
――力んで飛ばし過ぎた影響で疲れが出ていた。
そこにスタートの直後の、安藤の勢いは無かった。
――安藤の、2kmの通過は6分24秒。
「飛ばし過ぎたのは仕方ない。ここから何とか粘るしか無い」
――安藤は、必死に走ったがペースを維持出来ない。
――水原も2kmを通過し、6分29秒。
――差は19秒まで縮んだ。
水原は「ニッ」と笑った。
「襷を受け取る前に、かなり安藤はペースを上げて、
走っていた。だからこそ無理にペースを上げなかった」
――そして俺はあまり疲れていない。
水原は一気にペースを上げた。
「1kmのタイムトライアルのつもりで走れ」
「どんどん行け。前へ前へ」
――水原は一気に集中力を上げた。
「ハハハ」
――水原は笑いながら走る。
そしてどんどん差は縮んで行った。
――ラスト500M。
安藤の背中は視界から、どんどん大きくなった。
「後少し。出し切れ」
「よしっ。後少し。後少しだ」
「ラスト、力を出し切れ」
――水原は最後の力を振り絞った。
そして、中継所直前で安藤に並ぶ。
――同時に襷をアンカーに渡した。
水原のタイムは、9分39秒。
安藤のタイムは、9分53秒。
水原の力走で浜平中に追い付いた。
「後はリキ、お前に託した」
――水原の言葉を胸に、リキはスタートした。