アンカーは葵!葵のレースが今、始まる!!!
――葵のレースがスタートした。
「チームは21着。だけど前だけを向いて走る」
葵は、快調にスピードを出した。
「前回のレースは、力んでスピードを出し過ぎた、
リラックスして腕を振れ」
――今日の葵には余裕があった。
「体も軽い。どんどん体も動く。楽しい」
自然と、葵は笑顔になって走った。
どんどん抜かす。
ひたすら前だけを見つめた。
1kmの通過は、3分16秒。
「よしっ!この調子!まだまだ余裕もある」
「もう7人は抜いたかな?この調子」
笑顔で走る葵を見て、葵に対する声援も大きかった。
「中乃崎中の子良いよー」
「速い、速い」
「良い笑顔」
「もっともっと抜かせー」
――葵は嬉しかった。
「ハハハ。こんな楽しいレースは初めて」
「ダメだなー。緊張感無く笑ってるなー」
「でも、凄い調子が良い。どんどん抜かしちゃえ」
葵はどんどん選手を抜かした。
2kmを通過し、6分30秒!
既に11人を抜かし、順位を10位まで上げていた。
「優勝は厳しいかも知れない。だけど4位ならまだ狙えるかも」
「練習の成果が出てる。4位以内に入って関東大会を決める」
葵は気合いを入れ、一気にスピードを上げた。
「もう、ここから行くしか無いでしょ」
「後、1km楽しめ!そして腕を振れ」
3kmのラスト1kmで、1番苦しくなる所を、
葵は笑顔で走った。
歓声もより大きくなり、
葵に力を与えた。
「行ける!行ける!行ける!よしっ!」
ラスト500M。
順位は現在、7位。
葵の視界の先には、選手が3人見えた。
「1番奥の選手を抜けば関東だ」
「ラスト500M。悔いだけは残さない」
「疲れたけど、ここからは気持ちだけで走れ」
葵はもう1段階ギアを上げた。
2人を一気に抜かし、
ラスト200M。
50M先に選手が見えた。
「抜かす。抜かす」
しかし、4位のチームの選手も葵が迫ってる事を知り、
スパートを一気にかけた。
「嘘!?ここまで来て」
……
「いや、諦めるな!」
葵は懸命に腕を振った。
そしてゴール!
結果は……
5着……
中乃崎中は、4位と6秒差の5着で、
関東大会出場を逃した。
「終わっちゃった……」
葵はそう言うと、涙を流した。
「葵、凄い走りだったよ」
――そう言って清水が近付き、
葵を抱きしめた。
「ごめんね。私がしっかり走ってれば……」
清水の目からも涙が溢れた。
――葵のタイムは自己ベストを大きく更新する、9分42秒。
16人抜きの快走だった。
「トイレ行ってきます」
葵はそう言い、トイレに行った。
「複雑な気持ち。全国や関東へは行けない悔しさもあるけど、
結果を出せた事も嬉しい」
「でも、やっぱ悔しいな」
「皆ともっと一緒に走りたかった」
「でも……!」
「まだ男子のレースは残ってる」
「私が出来る事をやるんだ」
葵は駅伝部のいる場所へ戻った。
――「私が出来る事」それは。
「必死でチームを応援する事」
葵は声を振り絞った。
「あの皆さん。悔いの無いように走って来て下さい。
応援してます」
――その声は皆に届いた。勿論、男子のメンバーにも。
「おう!任せとけ」
そう、1番早く小田が言った。
「はぁっー?お前が1番心配何だよ。小田」
宮森もすかさずツッコミを入れる。
「葵、ありがとう。お前の走りは凄かった。
俺達は絶対優勝してくるよ」
――宮森は言った。
「はい!!!」
――葵は笑顔で笑った。
そして次は、男子のレースがスタートする。




