リキは特別練習!葵に変化!?
――本日は土曜日。県大会まで後27日。
今日はポイント練習の日だ。
今日の練習メニューを告げられると、
リキは監督の金子に呼ばれた。
「リキ、ちょっと良いか?」
「はい。監督」
「リキには特別練習をして貰う」
「それは200Mのインターバル走を、20本走る事だ」
「えっ!?20本」
「そうだ。いつも通り、200Mを設定ペースで走り、
100Mをジョグで繋ぎ、また200Mを繰り返す」
「設定ペースは?」
「30秒から36秒」
「1kmにすると1km3分以内のペースか」
「あぁ、スピードと心肺機能を強化していく」
「それにしても20本は多いですね」
「普段は10本を2セットが多いからな。
一気に20本はあまりやらないよな」
「監督、目標は全本数、36秒以内で走る事です」
「よしっ!行ってこい」
――リキはアップと動的ストレッチをこなし、
流しをした後、スタートラインに立った。
「よしっ!行くか」
マネージャーが一本目行きますと言って、
リキはスタートをした。
スタートと同時に腕を振り、
スピードを上げて走る。
「200Mトラックだから、一周で分かりやすくて良い」
リラックスをして体の力を抜きながら、
リキは走っている。
最後のコーナーを曲がり、ラスト。
リキは同じペースで走り、一本目を終了した。
――34秒です。
100Mをジョグしまた200Mを走る。
インターバル走は息が切れ、心拍数が戻らない状態でも、
走る事もあるので、かなりキツイトレーニングだ。
――二本目行きます。
リキは疾走を繰り返した。
「キツイ。でも、これが自分の力になるんだ」
リキは懸命に腕を振った。
10本目を終了し、無事、設定ペース以内。
「この調子だ」
同じくグラウンドでメニューをこなす、
駅伝部の応援も受けながらリキは走った。
「リキ、行けるぞ」
「負けるな」
「こっからだよ」
「頑張れ」
リキは声援を背に、腕を振った。
しかし、13本目。
――37秒です。
本日、初めて設定ペースを超えてしまった。
リキの3kmの、ベストタイムは9分30秒。
200Mとは言え、200Mを3分以内の早いペース設定に、
疲れが少し出てきた。
既に、2600M疾走している。
「本番のレースは3km、ここで粘らなきゃ、
俺はもっと強くなれない」
気合いを入れろ。
「うぉっっっ!!!!!!」
リキは繋ぎのジョグをしながら、
雄叫びを上げた。
「リキ、良いぞ!後少し!」
「頑張ってるけど頑張れ」
仲間の声援を背に、リキはまた走った。
14本目、15本目は35秒で走り設定ペースを守りきる。
「正直、足もガクガク、心肺もキツくて死にそう」
ジョグのペースを落としてしまおうか。
――悪魔のささやきが、リキの脳裏によぎる。
しかし。
「辛いのは今だけだ」
「気合い入れろ」
リキは気持ちで走った。
16本目からは36秒、38秒、37秒、36秒と、
設定ペースを2本超えてしまい、
満身創痍の走りが続いた。
そしてラスト一本。
――これでラストです。
「よしっ!」
そう言うとリキはスタートから全力で腕を振り、
ダッシュをした。
「ラストは100%の力で走る」
「全ての力を出せ」
リキは全力で腕を振るが、
100Mを走った所で腕が一気に重くなり、
足も動かなくなった。
「知るか。腕を振れ、足を動かせ。笑え、笑って走れ」
リキは無理やり笑顔を作りながら、走った。
最後は少し失速するものの無事、
200Mのインターバル走を20本こなした。
「お疲れ様です。ラストは31秒でした」
リキの顔にはやったぞと言う、充実感があった。
「しんどかった。でも、良い練習になった」
「1km、3分以内のペースをずっと体験できたのも良かった」
「ただ次は、全部、設定ペースでこなしてやる」
――リキはもっともっと成長していきそうだ。
ふと、リキはグラウンドに目を向けた。
そこには笑顔で走る葵の姿があった。
――金子の葵に対しての課題は、楽しんで走る事と、
ペース配分を意識する事の2つだった。
「葵のあんな姿初めてみたかも」
「いつもは真剣な顔で走ってたから」
女子の駅伝部はグラウンドの、
外周の1周400Mのコースを走っていた。
「こっからですよ!しんどいけれど、
ここを乗り越えて行きましょう!
辛いのは今だけ」
葵は大きな声を出した。
普段、あまり声を出す事が無かった、
葵が積極的に声を出している。
「葵は変わろうとしてるんだな」
葵の変化にチームの雰囲気はより良くなり、
練習中に良く声が出るようになってきた。
簡単に変わる事は難しい。
でも、小さな変化を少しづつ重ねる事で、
いつかそれが実る時もある。
「変わる為には」行動するしか無い。
そう、葵は言っているようだった。




