監督との面談。図書室で告白!?
――本日は、木曜日。県大会まで後29日。
地区大会翌日の今日と、明日は、
駅伝部員全員が、監督の金子との1対1で面談をする。
――面談の紙を受け取りに宮森のクラスに向かう。
コンコンコン。軽くノックをして入ると、
そこに宮森がいた。
席に近付いて話しかける。
「宮森先輩!おはようございます」
おおっ。リキ、来たか。
ほらこれが紙だ。
お前は今日、面談するみたいだな。
「はい」
――紙を受け取り自分のクラスに戻り、紙を確認した。
――17時30分、大山リキ。
「17時30分か……授業が終わってから時間があるな」
「練習するか?でも、汗かいて面談するのもな……」
――いつも通り授業を受け、放課後を迎えた。
「今は、15時20分……面談までは約2時間ある。
図書室でも行くか」
――リキは図書室に向かった。
「図書室何て久しぶりだ」
「あっ!」
――お互い目が合った。
「名取さん!!!」
――思わずリキは名取の隣に座った。
「ごめん。隣、良かった?」
えぇ。ってか、私達以外誰もいませんし。
「ハハハそうだね」
あれ、大山君、部活はどうしたの?
「それがさー。今日、面談なんだ」
「名取さんこそ、部活は?」
文芸部は今日、先生がいないので休みになりました。
「そっか。それで図書室に?」
はい。
「名取さん。本取ってくるね」
――リキは本を取りにいった。
「本って色々あるんだな……」
「これにするか」
――リキは本を取り、名取の隣に戻った。
大山君、何の本にしたんですか?
「夕焼けの道」って、本だよ。
へぇー。読んだ事ないなー。
「そう言えば名取さんの本は?」
これですか。お互い好きだけど、
気持ちを伝えられなくて、
結局、時間が経って、他の人と付き合ってしまう、
切ない、恋物語ですよ。
「恋愛ものか、それは、切ないね」
はい。中々、気持ちって伝えるのが大変。
――そう言うと名取はリキの顔を見つめた。
リキは恥ずかしくて、少し見つめて、目を逸らした。
――数秒間の沈黙が流れる。
大山君って好きな人いますか?
「え、どうしたの突然?」
いや、別に。
「気になるなって人はいるよ」
「名取さんこそどうなの?」
私もいます。目の前に。
――名取は即答した。
「え……それって俺の事じゃん。」
嫌ですか……?
――名取はリキの目を見つめながら言った。
「嫌なはずないよ。俺も名取さんの事が気になる。
でも、葵への気持ちが完全に整理できた訳じゃ無いんだ」
そうですか。大丈夫です。私、負けません。
「え……!?」
葵さんより魅力的な女性になってみせます。
――名取は笑顔を見せた。
それじゃあ私、そろそろ帰りますね。
裁縫の練習もしたいし。
じゃあね。リキ君。
――初めて名取に名前で呼ばれて、
リキの心臓はバクバクしていた。
「まだ、16時30分か。面談まで1時間ある」
「校内でも回ろうかな」
――リキは校内を1人で回った。
――グラウンドを見つめたり、
屋上で街を眺めたりした。
「たまにはのんびりするのもいいな」
「さて、もう10分前だしそろそろ行こうかな」
――廊下のイスにリキが座り待機すると、
数分後に監督の金子が出てきた。
「次は、リキだな。入ってくれ」
はい。
「早速だが面談を始める」
「リキ。お前が、6月に陸上部に入部してから、
4カ月でここまで成長してくれて、
俺自身も驚いている」
「今は3kmのベストも9分30秒だしな」
「でも、県大会に向けてリキには、
もう一段階成長して貰いたい。
あの、浜平中の剣川のベストは、
8分45秒、リキとのベストの差は45秒。
リキが代表として走るなら。
46秒以上差を付けないと、
いつでも剣川に逆転されると考えて良いだろう」
「だから県大会までの、
チームのポイント練習の日に、
1人で俺の特別メニューをこなして貰う」
1人で?
「そうだ。チームの他のメンバーもポイント練習を、
行うが、リキは1人で俺の特別メニューをこなして貰う」
それでもっと成長できますか?
「それはリキ次第だ」
監督、メニューをこなしてもっと強くなります。
「おおっ!」
「それじゃあ、地区大会の時に書いた、
紙を振り返ろうか」
はい。
良かった事、1kmのトランシーバー待ちの役割として、
タイムを大きな声で選手に伝える事ができた。
悪かった事、選手に伝える事を優先し過ぎて、
レースの状況を上手く、トランシーバーで伝えられなかった。
感想。チームを大きな声で鼓舞できたのは良かったし、
自分自身もチームの走りに元気を貰った。
県大会は自分がチームの代表として、
最高の走りをして、チームとして優勝し、全国を決めたい。
「5分間でここまで書けたのは凄いと思う」
ありがとうございます。
「それでだ。リキ、全国に行く為には、
ウチには何が足りないと思う?」
足りない事?
うーん……
―…―リキは悩んでしまった。
「俺はな。監督の力だと思うんだよ」
えっ!?
「俺自身、選手と本当に信頼関係を築けているかと、
言ったら、そうとは言えないと思った。
結局、監督と選手で上下関係が出来て、
お互いの事をよく知らないのに、
俺の指示に従っていた」
「でも、それじゃあ面白くないよな。
俺の事をもっと知って欲しいし、
お互いの事をもっと知って行きたい。
常に意見を言い当えるチームになる為には、
俺自身が変わる必要がある。
だから面談も始めた」
そうだったんですね。
あの監督?
「何だ?」
前から聞きたかったんですけど、
監督って陸上やってたんですか?
「あぁ、その事か。分かった話してやろう」
金子の過去がついに明らかになる……!!!




