リキに試練訪れる。リキの心に変化が!?
ーー中間テストも、終わり、翌日の体育の時間。
リキは、現実を突きつけられた。
ーー今日の、授業は、シャトルランだ。
それじゃあ位置について。
ーースタート。
シャトルランのあの音が、鳴り出した。
ーーリキは、「大真面目」に、オール1を目指す。
だからここでも手を抜く事ができない。
どうする!?考えろ。
でも、良いアイデアが出ず、リキは走り続けた。
ーーリキの帰宅部で鍛えた、足腰と心肺機能は、本物だった。
100回を超えても、平気な顔で走り。
110、120、130、そして結局、146回までリキは走った。
ーーリキが走り終わったら、拍手が鳴り止まなかった。
だが、リキの表情は、冴えない。
「クソ。やってしまった。間違いなく、
体力テストの評価は、満点」
ーーこれじゃあ、「1」を、取る事は難しくなる。
体育で「1」を取る為には、俺はどうすれば?
そう言って、リキは頭を抱えた。
ーーリキは、運動神経は、抜群だ。
体育、サッカー、バスケ、陸上。
何でも人よりこなせる。
だから、人はリキをこう呼ぶ、
「体育だけはできる男と」
ーー自慢の脚力も、運動神経も、
「1」を取る為には、何も役に立たなかった。
その時、体育教師が、声をかけてきた。
「お前、勉強はできないけど、体育は流石だな。
今回も通信表は、「5」だな」
ーーそう、リキは、一年の三期とも、
体育は「5」だった。
その言葉に、リキは、戸惑い、震え、
理性を失った。
ーーそして。
リキ、は軽やかな動きで、頭を下げ土下座した。
「1」を、取る為なら、プライドも捨てる。
リキは、そう言う男だ。
お願いです。「1」を下さい。「1」を下さい。
ーーリキは、何度も頭を下げ、お願いした。
ーーしかし。
「何やってんだ。お前は、「5」だ。
それは、変わらない」
「お前の運動神経は本物だ。
帰宅部なんてやってないで、
本気でスポーツをやったら、
オリンピックだって夢じゃないぞ!?」
「さぁ、頭を上げろ。胸を張れ」
ーーリキの顔は、生気を失った。
ーー体育の「5」は、既に決まってしまった。
そして、一学期での、「オール1」は、まず不可能。
「俺は、これから何を目標に、学校に通えば良いのか。クソッ!クソッ!」
そう言うと、リキは、発狂し、
気付いたら、保健室に運ばれていた。
ーーあら、気付いた。あなたずっと寝てたのよ?
若い、保健室の先生が話しかけて来た。
「先生……」
聞いたわよ。「オール1」を、目指してるって。
私は、別に否定はしないけれど、肯定もしない。
勉強をするか決めるのは、リキくん。あなた次第だから。
私は、勉強してきて良かったと思う。
小さい頃からの目標だった、学校の保健室の先生になれて、こうやって今、好きな仕事をしてる。
この仕事に就く為にも、資格も必要だし、
勉強も必要だった。だから私は、勉強をすれば、
選択肢も増えるし、良いと思うけれど?」
リキくんあなたは「将来」どんな風に生きていきたいの?
「俺は……!俺は!将来の事なんて何も考えて無いです。ただ、自分の決めた目標すら達成できない奴に、
将来、何か、成し遂げられるとは、思わない」
「それがどんなに、人からしたら、くだらなくても、
それが、俺の生き方なんです」
でも、それって辛く無い?
人からは、バカにされたり、見下されたり。
そこまでしてそれは、成し遂げたい事なの?
そこまでして、リキくんが、傷付く必要があるのか、
私は、分からないわ。
ーー確かにその通りだった。
勉強はしたく無い。それは事実だ。
たけど、将来の目標や、どんな風に生きたいか。
まだそれが、具体的に決まって無いから、
勉強するのは辛い。
目標さえあれば、俺だって勉強するのに。
「目標さえあれば」
目標?そうだよね。目標が無いと、勉強なんて、
やる気も出ないよね笑
まずは、リキくんが、どんな風に将来生きたいか。
アバウトでも良いから、それを考えてみると良いかも。
「分かりました。考えてみます」
ーーリキは帰り道。珍しく歩って帰宅した。
「将来かー?」考えた事もあまり無かった。
いや、現実から目を背けてた。
意地を張って、自分一人で生きて。
小さな世界だけをみて。
ーー俺はどんな風に生きたいのか?
やっぱり、人からバカにされたり、
見下されるよりは、
褒められたり、認めて貰えた方が嬉しい。
だけどそれには、俺自身が、勉強をする、
目標が必要だ。
人から決められた目標じゃなく、
自分自身で決めた目標。
「そうだ。俺は」
ーーリキの心に変化が!?
次回物語が、本格的に動き出す。