名取からの電話。
「もしもし、名取さん?」
もしもし、大山君。今、時間ありますか?
「うん。いいよ」
昨日は、楽しかったです。
それで、相談があって。
「相談?」
昨日、大山君に会って、思ったんです、
私も変わりたいって、
だから私の、得意な裁縫で挑戦しようと思って、
新学期から、文芸部に入る事に決めました!
一番、最初に大山君に伝えようと思って、
電話しました。
「ええっ!凄い!何かに挑戦する事って、
エネルギーもいるけど、
名取さんの事、凄い応援してる」
ありがとうございます。
私の十人十色を、追求して行きたいと思います。
それと……葵さんの事は大丈夫ですか?
「えっ!?」
だって、大山君、葵さんの事好きですよね?
――リキは数秒間黙って答えた。
「葵の事の事は確かに好きだよ。
でも葵には、彼氏がいるし、
近くにいると、苦しくなるし、
どうすればいいか分からない」
やっぱそうだったんですね。
でも、焦る事は無いと思います。
時間をかけて、少しづつ自分の気持ちを、
整理して行けば良いんじゃないですか?
「確かにそうかも。少し気が楽になったよ。
ありがとう」
いいえ。いつでも相談とか聞くので、
頼って下さい!
それじゃあ、お昼ご飯食べるので!
「ありがとう。またね」
――名取の電話のお陰で、リキの気持ちはスッキリした。
「そっか。焦らず少しづつで良いか」
――そして翌日。
「みんなおはよう。今週の土曜日には、
記録会があるので、今日は記録会前の、
最後のポイント練習だから、
特に集中して行なうように」
――今日は水曜日、記録会まで、後3日だ。
「おい。リキ、土曜日の、
記録会はどうする?来るか?」
金子先生!チームの皆の、応援もしたいし、
勉強にもなると、思うので行きます!
「そっか、分かった」
――練習を終え、リキは、帰宅しようとしたが、
葵がいつも通り、声をかけてきた。
「リキ君、帰ろ!」
葵、ごめん……。
少し葵と、距離を置こうと思ってるんだ。
――リキは、小さな声で、伝えた。
「そっか……分かった」
「じゃあ、明日ね」
――リキはてっきり、理由を聞かれると、
思ったので、拍子抜けした。
――そして、8月10日、土曜日、
記録会の朝を迎えた。




