秘密兵器はリキ!?名取からの電話!
「今日は、名取さんと、2人で夏祭りに、
行って、色んな事を知れたな」
――リキは夏祭りの事を、思い出して、
1人で、帰り道を歩きながら、
にやけそうになった。
「手を繋いだり、ウインクされたり、
幸せな時間だった」
「名取さんって、大人しくて、
クラスでは、あまり目立たないけど、
自分から、遊びに誘って来たり、
意外と積極的なんだなー」
「最後のウインクは、反則だよな」
――リキは、名取との思い出を、振り返った。
「それと、葵に彼氏が出来たのは、
衝撃だったな」
「俺は、異性としては、見られて無かったけど、
あの、羽鳥って男は、
葵に、異性として、認められたって事だもんな……」
――リキの瞳からは、少しづつ涙が溢れてきて、
止まらなくなった。
「好きって事は、忘れたつもりでいたけど、
やっぱ俺は、葵の事が好きだったんだな」
――大切な人に、彼氏ができて、
改めて気付かされた、好きって気持ち。
「そっか、葵にも彼氏か……応援してやらないとな」
――リキは、前を向いた。
「ただいま」
あぁ、リキ!どうだった?
「まぁ、何とかやってきたよ」
そっか。お風呂沸いてるから、入りなさい。
「うん。ありがとう」
――リキは風呂に入って、部屋に戻り、
疲れで、すぐに眠りについた。
――そして、翌日からは、駅伝部の練習が再開した。
――夏休みも、残り一カ月を切り、
10月の地区予選まで、後、二カ月だ。
「さーて、合宿へ参加した者、
そして、学校で練習していた者も、
お疲れ様でした。10月の地区予選まで、
残り二カ月を切ってきて、
いよいよ大会が、近付いて来ました。
なので、これから、秋の大会に向けての試走や、
記録会等も、増えてくるので、
ここから本格的に、大会のメンバーの、
選考も考えていきます。
それでは、今日も集中していこう」
――金子の挨拶に、駅伝部員は大きく返事をした。
「おーい!リキ、ちょっといいか?」
はい。金子先生どうしました?
「駅伝部は、8月は、2回、記録会と、
大会で、走るのだが、
リキは、出さない方向で考えてる」
何でですか?
「秘密兵器としてだ」
「リキの事は、秋のメンバーの、候補として、
充分考えている。
記録会や、大会では、
他校に、リキの力を隠す為に出さず、
大会の本番で、起用したい」
それにメリットがありますか?
「駅伝のメンバーの区間は、
勝利を掴む為にも、重要になってくるし、
他校の選手の力や、区間を予想して、
レースプランを考えて行く」
「でも、他校は、リキのデータが無いから、
リキ抜きの、ウチのチームを、
どう倒すかを、考えてくるはずだ」
「それでリキが本番に出て、
予想以上の走りをしたらどうだ?
計算が狂うよな。それが狙いなんだ」
なるほど!
「でも、リキが記録会や、大会に出たいなら、
出ても良い」
いや、そのプランに乗りました。
それではアップしてきます。
――金子は、実は既に、メンバー候補を、
10人まで絞っていた。
「まずは、3kmのベストが、9分40秒以内の6人」
「3年の、宮森、金口、水原、清水、
そして2年の、小田と細田」
「そして次に、リキ」
「そして、少し力は落ちるが、3kmのベストが、
10分10秒台の、2年の遠藤と、細川。
そして、10分30秒台の、1年の、橋本」
――男子の駅伝を走れるのは6人。
リキまでの7人が、特に筆頭候補だ。
――昨年は、男女共2位。
今年こそは優勝して、初の全国へ。
チームの士気は最高だ。
――練習も、無事終わり、帰ろうしたら、
葵が声をかけてきた。
「リキ君、帰ろ」
――昨日、夏祭りで、
彼氏と一緒にいる所を見ても、
葵の様子はいつもと変わらない。
「おい。良いのか?彼氏いるのに」
良いの。だって私達、親友でしょ?
「いや、そう言う問題じゃなく無くて……」
どう言う問題?
「いや、やっぱり付き合ってるなら、
男と2人きりで、帰ったら、するのは、
気にするんじゃない?」
そっかー。でも、帰る方向一緒だし。
――そうしていつも通り、一緒に帰る事になった。
「葵は、いつから付き合ってたの?」
夏休み入ってからだよー。
「最近だね」
うん。蓮は、小学校からの幼馴染なんだ。
「そっかー」
野球部で、2年生ながらエースで、
優しくて、かっこ良くて、素敵な人。
――幸せそうに話す、葵を見て、
リキは辛くなった。
「それじゃあリキ君、また明日」
うん。じゃあね。
――リキは家に帰ると、いつも通り、
練習ノートを書いて、勉強をした。
「夏休みって、言っても、駅伝の練習も、
10時前には終わるし、案外、暇だな」
――外はセミが毎日、元気に鳴いている。
「特に、今年の夏は暑いな」
「そう言えば、前にも感じたけど、
正直、葵に会うのが辛かった」
「俺はまた、自分の気持ちに、
気付いてしまったけど、
だからって、葵の邪魔をする気は無い」
「でも、幸せそうに、好きな人の事を話す葵を見ると、
辛くて、どうしようも無かった」
――リキの気持ちは複雑だった。
葵に会えるのは、勿論、嬉しいが、
会えば、どうしようもなく辛くなる。
「どうすれば良いんだろう?」
――その時、着信音が鳴り、電話がかかってきた。
「名取?」




