Aチーム、最後のガチンコ、タイムトライアル!
――Aチームは、合宿の最後の練習に、
1周、400Mの競技場で、
3kmのタイムトライアルをやる事になった。
――Aチーム12人のガチンコ対決だ。
「それでは、スタートします」
――掛け声と同時に、3kmのベストが、
9分を切っている、他校のエース4人が飛び出した。
――1週目の400Mを72秒と、1kmを、3分00秒の、
ペースで走り、先頭集団は4人。
その集団から少し離れて、宮森、
宮森の真後ろに、金口が、ついて、
リキと、小田は、最後尾を走っていた。
「今の自分にとって、このペースは速い。
前半は、温存して、後半勝負!」
――レースは、そのまま進み、
1kmを通過。3分05秒で通過。
――レースの状況は、1週目と変わらず、
リキと小田は、最後尾で走り、
1kmを、3分13秒で、通過。
既に先頭とは、60m近く差が付いている。
―1kmを過ぎてから、1200m、1600mと、
先頭集団の4人は変わらないが、
少しづつペースが落ちてきた。
「よしっ!行くか」
――ここで飛び出したのは宮村!
一気に先頭に飛び出した!
――「ストーカーの金口」の異名を持つ、
金口も、宮村の真後ろに付き、
先頭集団へ。
「実力的には、周りの4人の方が、格上だ。
ただ合宿の最後で、悔いは残さない。
この4日間で、疲労が溜まってるのは、誰も同じ、
気持ちだけは、絶対に負けない」
――宮村を先頭に、先頭集団は6人で、
2kmの通過が、6分13秒。
――リキと小田と林は、3人で並走していて、
2kmを6分26秒で通過。
「ここから前を追いたい」
――懸命に腕を振る、リキだったが、
この4日間の合宿の疲労もあり、
リキの体は、限界に達していた。
――先頭集団は、宮村を先頭に、2200Mを通過。
ここで、周りの4人が、一気に前に出て、
ペースアップ!
「ここで付いていかなきゃ」
――頭では、分かっていても、体が動かない。
宮森も、この4日間の練習で、
限界に達していた。
――金口は何とかペースアップには、
対抗するが、先頭までは、ペースが上がらない。
――そしてラスト1周。苦しみながらも、
何とか腕を振り、先頭の4人がゴールした後、
金口が少し遅れて、6番目でゴール。
――宮村が7番目。林が9番、小田が11番。
リキは最下位の12番だった。
――先頭集団の4人は結局、ラスト1kmは、
ペースアップをして、
先頭は、9分12秒でゴール。
――金口が、9分32秒。宮村が9分35秒。
林が、9分38秒。小田が、9分45秒。
そして、リキが、9分48秒だった。
「クソッ!最後、遅れた」
――宮村は悔しそうに、声を上げた。
中乃崎の、4人は合宿をやり切った、と言うよりは、
悔しそうな表情をしていた。
――そして合宿も、もう終わり。
「今年も無事、4日間の、蔵王合宿を、
終えられて良かったです。
来年も是非、よろしくお願いします」
――西喜怒中の顧問、桂の挨拶が始まった。
「それでは、最後に、各校の男女、
1人づつ、今年の合宿の感想を、
前に出て、話して下さい。
――1日目は、主将だったが、
前に出る選手に、決まりは無い。
――顧問の金子と、宮森が、相談をして、
何と、リキが前に出て、話す事になった。
「それでは次。中乃崎中の、大山リキくん」
「はい」
――リキは指名こそされたものの、
動揺していて、緊張していた。
――とりあえず思った事を話そう。
「神奈川県の、中乃崎中の2年、大山リキです。
私は、元々帰宅部に所属していて、
今年の6月の前に、陸上部に入部しました。
初めての、合宿は、キツくて、辛かったですが、
チームの皆さんの、支えもあって、
何とか乗り越えられました。
ただ、最後の3kmのタイムトライアルで、
失速してしまったのが、悔しくて……悔しくて……
――そこまで話したら、リキの目から、
涙が溢れてきた。
――自分の弱さを沢山知りました。
だけど、私自身はまだまだ、もっともっと、
成長できるって、実感しました。
この4日間で、沢山、学んで成長できた事を、
また活かして、もっと強いランナーに、
私は、なります。
4日間、ありがとうございました。
――リキは何とか、涙を流しながら、
しっかりとした、声で話し切った。
――そして、沢山の拍手に包まれた。
――座っていた場所に戻ると、宮森が、
「良くやった」と、短めに声をかけてきた。
――普段、滅多に褒めない宮森の言葉に、
リキはますます涙を流した。
「辛かったけど、良い合宿だったな」
――よーし!忘れ物は無いか。
それじゃあ、帰るぞ!
――金子が声をかけ、16時頃に、
帰宅する事になった。
――帰宅途中にバスで、リキは色々考え、
良かった事、悪かった事、
全てをノートに書いた。
「もっと速くなりたい」
――リキはそう強く思った。
――そしてバスで、5時間近く揺られて、
21時頃に、自宅に到着した。
「それじゃあリキお疲れ様」
――金子の掛け声の後、
チームメイトも声をかけてきた。
――リキはまた、涙を流しながら、
バスを見送った。
――久しぶりに、家に帰ると、
家族が真っ先に、玄関まで来てくれた。
――まずは、風呂に入り、その後、夕飯を食べ、
部屋の机で、のんびりしていた。
「本当に凄い、4日間だったな」
「練習はキツイし、足は攣ったり、
色々あったけど、何とかやり切った。
でも、最後のタイムトライアルの、
悔しさはずっと忘れない」
「あの悔しさをバネにもっと成長してやる」
――さしてそのままリキは、疲れで眠りについた。




