リキの戦い(テスト)が始まる!リキは無事0点を取れるのか!?
今日は、学校の中間テストだ。
七月の期末テストに向けて、
リキの目標は、ただ一つ、
オール0点で、全てのテストをこなす事だ。
一学期の通信表は、夏休みの直前の、
終業式で、渡される。
ここで、オール1を取る為の、
土台を作ってやる。
ーーそれでは、数学のテストを始めます。
戦い(テスト)が始まった。
リキは、他の生徒が使っている、
シャープペンシルでは無く、
いつも使ってる、「マイ鉛筆」で、試験に臨んだ。
そう、それは、「コロコロ鉛筆だ」
記号問題で、「間違う事」が難しい場合は、
リキは、これに頼る。
体の気を指先に集中させて、鉛筆を転がすのだ。
ーーここである意見が聞こえてきそうだ。
そもそも0点取るなら、
白紙で、提出すれば良くね?って。
いや、違う。
リキは、「大真面目」に、
オール1を目指すと誓った。
テストが白紙なのは、リキのポリシーに反する。
ーーテストは空欄無しで全部埋める。
大真面目に、全力を尽くして、
空欄を全て埋めて、0点を取る、
これがリキの正義なのだ。
ーーリキは順調に間違い続けた。
ーーだが……
リキの目に映ったのは、記号問題の回答だった。
「AとBの選択肢これはどっちだ?」
「考えろ。今までのテストの選択記号のパターン。
作った先生の気持ち」
ーー感じ取れ間違いを。
リキは目を瞑って考えた。
今までのテストの選択肢問題は、
この前、調べたら、数学は、
Aの方が若干多かった。
ここはAか?それとも。
集中しろ。俺ならできる。間違えられる。
リキは集中した。
だが、間違いは分からなかった。
こうなったら、最終手段だ。
コロコロ鉛筆に命運をかける。
リキは、ABCDと4つ、
書いてある鉛筆を投げた。
ーーコロコロコロコロ
出たのはCだった。
Cの場合どうするか?
リキの答えはこうだ。
「大真面目に、本気で、コロコロ鉛筆を転がした、
だからCでも、もう一度は転がさない。このまま回答する」
何とリキは見事に間違ったのだ。
リキは、回答を全て終わり、
テストを何度も見返した。
よし!俺の自己採点では、間違いなく、0点だ。
全て間違ってる。
ーー流石リキである。
リキは、テストが終わったからと言って、寝る事は無い。
大真面目に、オール1を目指すのだ。
その為にも、ここで寝る事なんてありえない。
戦い(テスト)は、チャイムが鳴るまで、終わらないんだ。
ーーリキはいつも通り姿勢を、
正したまま悟りを開き、チャイムが鳴るのを待った。
ーーピーンポンパンポーン
ーーピーンポンパンポーン
ーーチャイムが鳴った。
数学のテストは、まず終わった。
だが、まだ油断するのは早い。
まだまだ戦い(テスト)は続く。
リキは、気合いを入れて戦い続けた。
ーー残す最後のテストは「国語」
リキの特に苦手な教科だ。
リキのポリシーは、空欄を作らず全部埋める事。
勿論、作文問題も、文字数までは、しっかり書く。
ーー文字数を埋めて、評価が0点の作文をかかないと行けない。
どうすれば0点が取れる?
リキは大真面目に考えた。
そして出した結果がこれだ。
作文を文字数まで「あ」で埋め尽くしたのだ。
ーー流石リキ、発想が違う。
これで、0点の可能性は高くなった。
いや、高くなったじゃダメだ。
しっかり間違わなければ。
クソ。やっぱり、記号問題は、難しい。
間違ってるか、当たってるかも分からない、
ーー元々、勉強なんてしてこなかったリキに、
分かる回答なんて、殆ど無いのだ。
クソ。本気で0点を目指して始めて知った。
勉強する事の大切さを。
勉強さえしっかりしてれば、
必ず間違えられたのに。
リキは、自分の甘さを、痛い程痛感した。
ーーチャイムが鳴った。
戦い(テスト)が終わっても、
リキの表情は晴れなかった。
記号問題さえ、間違えられたら、行けたのに。
結果は、テストが返ってくるまで分からないな。
「さて、テストも終わったし、掃除の時間」
リキは大真面目に掃除をした。
勉強の評価に関係ない事は、
先生からの、評価が高いのも、リキの特徴である。
挨拶、姿勢、人間性。どれを取っても、
リキに敵う人間がいるのかどうか。
それぐらいの男だ。
リキは、手慣れた様子で、掃除を済まし、
いつも通り、ダッシュで教室を出た。
昨日は、家まで、12分かかった。
今日は、ベスト更新してやる。
帰宅部としての誇りを胸に、
今日も全力で帰宅をした。
信号は使わない。
何度もシミレーションと、
帰宅を重ね、
信号が無い最短コースで帰るコツを掴んだ。
ーータイムを狙うのも良いが、
安全に帰宅して、家に帰るのも、
帰宅部の仕事。
時には、冷静になって、立ち止まる事も大切だ。
ーーリキは今日も走った。
そしてタイムは、11分42秒。
僅か18秒だが、ベストを更新した。
ーー戦い(テスト)の後にこのタイムとは、
流石リキである。
だが、リキは、この脚力こそが、
「オール1」を取る事を、難しくさせるとは、
まだ知らなかった……