夏といえば、海?それとも山?駅伝部は合宿です。
――8月中に1Km3分切りを達成する。
そう、目標を設定した。
「スピードを強化。
それを維持する足腰作り。心肺力。
これさえあれば俺は、もっと強くなれる」
――リキは練習を重ねた。
――中乃崎には、絶対的エースは、
いないが、3Kmのベストが、9分22秒の、
3年の陸上部、宮森を、筆頭に、
9分40秒までの、
ランナーが6人揃っていて、
総合力が、高いチームだ。
――練習では、宮森や、リキが積極的に、
前で、引っ張り、秋の駅伝に向けて、
チーム全体で切磋琢磨している。
――そして、8月を目前にして、
山形県の蔵王で、
4日間の合宿が行われる事になった。
「うっひょー!明日からここで、
4日間合宿をするのかー!」
――嬉しそうに、同じ陸上部の、
小田陽太が、そう言った。
――高地と言う事もあって、かなり酸素が薄く、
練習するのは、トレイルコースで、
高低差もあるので、中々の練習になりそうだ。
――駅伝部のメンバーは、旅館やホテルではなく、
一軒家の宿舎に、4人から5人に分けて、
4日間過ごす。
――リキは、2年の小田と、3年の宮森、そして、
同じく3年の金口と同じ部屋になった。
「おい。明日から、合宿が始まるが、覚悟はいいか?」
大丈夫っすよ!今年も乗り越えて見せます。
――金口の、問いかけに、小田が明るく答えた。
「おいおい。そう言って、
去年お前、ぼろぼろじゃ無かったか?」
「この合宿で力を付けた者が、
秋の駅伝の代表に、近付く。
心して練習するように」
――リキと、小田は、元気に返事をした。
「おいおい。なんでお前が引っ張ってんだ?」
あぁ?悪いか宮森?
「あぁ、悪いね。実力が無い奴が、
張り切ってるとムカつく」
何だと!
――金口は、宮森に飛びかかろうとした。
やめましょうよ。リキだって、初めての合宿だし、
良い雰囲気で、行きましょうよ。
「チッ」
「ムカつくんだよ。リキと小田はともかく、
普段は陸上すらやってない奴らが、
夏には、駅伝部に入って、チームを引っ張るのが。
お前らが、練習してる時も、俺らは走ってんだ」
――金口は、卓球部に所属していた。
粘りがある走りが特徴で、後ろをつかれたら、
ずっと離れない。
何だよ?じゃあ俺は、邪魔者だってか?
「あぁ、そうだ。まぁ、俺に言われるのが、
嫌だったら、実力で証明すればいい」
分かった。俺は、お前をこの合宿で超えてみせる。
――金口は、宮森に宣戦布告した。
合宿前から、部屋の雰囲気は最悪だ。
「まぁ、勝手に言ってればいいよ。
とりあえず、飯行こっか」
――夕飯は、バスで近くの、レストランに向かった。
うわぁ。やっぱ、結構、広いですね。
「あぁ、バイキング形式だ」
ひやっほー!
――そう言うと、小田が真っ先に、
料理を取り始めた。
男子駅伝部の合計は、36人。
女子駅伝部の合計も、36人だが、
メンバーが、多すぎる為、
秋大会のメンバー候補の、
男女、12人づつが、合宿に参加した」
「あっ!リキ君だ!明日から合宿だね」
あっ!葵。お互い目標に向けて頑張ろうな。
「うん」
――そう言うと、葵は先に料理を取りに行った。
おい。リキ彼女か?
「だと、良いんですけどね……」
宮森先輩。こいつ振られたんですよ。
ハッハー!!!ざまぁみろ!!!
――そう言うと、宮森は満面の笑みで笑った。
「じゃあ、皆、席に着いたか?
それじゃあ、明日から、合宿だが、
張り切って行こう。
ある程度の所まで、頑張るのも大切だが、
痛い所があったら、まず、俺に話せ。
怪我なく、合宿を乗り切るぞ!」
「それじゃあ。いただきます!」
――いただきます。
――金子の掛け声と共に、夕飯が、始まった。
――隣の、小田が凄い勢いで、食べ始めるが、
リキは、のんびり食べていた。
サラダに、ハムエッグ、焼き魚。味噌汁。ごはん。
そして、フルーツと、中々バランスは良さそうだ」
「あの、宮森先輩って、
昔から陸上やってたんですか?」
あぁ?
――リキは5月の終わり頃に、陸上部に入ってから、
宮森と、殆ど話した事は無く、
何故か気になって、話しかけた。
「すいません。答えたく無かったら良いんです」
いや、別に謝らなくてもいいよ。
まぁ、小2の頃から、陸上クラブに入ってたかな。
「始めたキッカケとかあったんですか?」
おい。お前今日はどうした?
いつもは殆ど話さないのに。
まぁ、当時好きな女子が、陸上クラブに入ってて、
それで、陸上始めたかな……
――少し恥ずかしそうに話す、宮森を見て、
リキは笑いそうになった。
って、おい!何言わせんだ。
――夕食を終え、宿舎に戻り、
風呂に入って、自由時間を過ごした。
「おい。そろそろ22時だ。消灯するぞ。
明日は、朝の5時から、練習開始だ、
早めに起きろよ」
「それじゃあ、おやすみ」
――宮森が、そう言い、
すぐに、眠りについたが、
リキと、小田は中々眠れなかった。
「おい。リキ起きてるか?」
――小田が小声で声をかけた。
何だよ。小田?
「いや、ごめん。寝れなくてさ。
少し、話ししない?」
良いけど。
「あのさ。宮森先輩どう思う?」
どうって?
「いや、あの態度とかさ。雰囲気も悪くなるし、
あまり良くないと思って」
うーん。そうかな?
確かに言動はキツイところあるけど、
結局、宮森先輩が煽って、
金口先輩に、火をつけたのは確かだよ。
それに実力は、本物だしね。
「そ、そうか」
うん。話してみると気さくな所も、
意外とあったしね。
それじゃあごめん。俺寝るから。
「おう。お休み。リキ、明日から合宿頑張ろうぜ」
――そう言って、2人は就寝した。
そして、蔵王合宿がスタートする。




